monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「麻の葉流す」用例

2015年06月30日 | 日本国語大辞典-あ行

 「麻の葉流す」という用語の日本国語大辞典・第二版用例よりもかなりさかのぼる用例が以下のとおりあります。

みそぎする河瀬に秋やかよふらん麻の葉ながす袖ぞ涼しき
(延文百首、御製、夏十五首、夏祓、35)
『新編国歌大観 第四巻 私家集編2 定数歌編 歌集』角川書店、1986年、540ページ


「竹の落葉」用例

2015年06月30日 | 日本国語大辞典-た行

 「竹の落葉」という用語は日本国語大辞典・第二版では、『無言抄』(1598年)からの例を早い用例としてあげていますが、300年以上さかのぼる用例があります。
 語釈は「夏に竹の新葉が生え、それまでの葉が落ちたもの。」として、夏の季語となっていますが、この和歌用例を見る限り、季節感はありません。

このさとは柴こる山の遠けれは竹の落葉をかかぬ日ぞなき
(宝治百首、里竹、3347)
『新編国歌大観 第四巻 私家集編2 定数歌編 歌集』角川書店、1986年、435ページ

いつのまにかはるものともみえなくにたけのおち葉ぞ庭につもれる
(延文百首、覚誉、雑十首、庭竹、794)
『新編国歌大観 第四巻 私家集編2 定数歌編 歌集』角川書店、1986年、551ページ


「むせぶ」用例

2015年06月30日 | 日本国語大辞典-ま行

 「むせぶ」という単語には「①煙や異物で喉(のど)が息苦しくなる。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では、『清輔集』(1177年頃)からの例を早い例としてあげていますが、もっとさかのぼる用例があります。

すくも掻きおのれふすぶる蚊遣火(かやりび)の煙(けぶり)にむせぶ賤(しづ)の男(を)やなぞ
(一八二・某年五月五日■子内親王歌合、十二番・蚊遣火、右・宣旨)(■=示へん+某)
『平安朝歌合大成 増補新訂 第二巻』同朋舎出版、1995年、1255ページ

蚊遣(かやり)火をま近(ぢか)く立(た)てて(ゝ)山がつのお(を)のれ煙にむせぶ何ぞも
(夏十五首、蚊遣火、肥後、494)
『和歌文学大系15 堀河院百首和歌』明治書院、2002年、94ページ


「帆影」用例

2015年06月30日 | 日本国語大辞典-は行

 「帆影」という単語の用例は日本国語大辞典・第二版では14cの例を早い例としてあげていますが、もっとさかのぼる用例があります。

 京極殿の池にかゝり火ともして人びとこ舟にのりてあそふ蔵人為資かかちとりしたるにやる
波さはく風にまかせて行舟の帆かけにみゆるかちとりや誰
(巻第二百七十七・赤染衛門集)
塙保己一編『群書類従・第十五輯(訂正三版)』続群書類従完成会、1987年、659ページ


「夕立つ」用例

2015年06月30日 | 日本国語大辞典-や・ら・わ行

 「夕立つ」という用語には「夕立の雨が降る。」という語釈があり、日本国語大辞典・第二版では、『今昔物語』(1120年頃か)の例が早いのですが、100年以上さかのぼる用例があります。

ゆふだちて夏はいぬめりそほちつつ秋のさかひにいつかいるらん
(4・古今和歌六帖、第一、ゆふだち、509)
『新編国歌大観 第二巻 私撰集編 歌集』角川書店、1984年、202ページ