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古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

ささらみづ、さざれみづ

2023年06月30日 | 日本古典文学-坤儀

 (五月雨歌中に 後徳大寺左大臣)
をしのゐるなつやまかげのさゝらみづいはなみたかしさみだれのころ
(万代集~「和歌文学大系13」明治書院)

やまのゐの-すそわけいてし-さされみつ-いつくなるらむ-さみたれのころ
(正治後度百首_後鳥羽院宮内卿~日文研HPより)

おとなしの-やまのしたゆく-ささらみつ-あなかまわれも-おもふこころあり
(古今和歌六帖~日文研HPより)

江鴨
なかれても入江にあさきさされ水それにもたたぬ鴨の足かな
(草根集~日文研HPより)

 (野酌)
さかつきにかけをうかへてさゝれ水心をのへに出にけるかな
(丹後守為忠朝臣家百首~群書類従11)

いつとなく-しほたれやまの-さされみつ-くれゆくままに-おとそへつなり
(散木奇歌集~日文研HPより)

やまさとは-ほそたにかはの-さされみつ-おとなふさへそ-さひしかりける
(御室五十首_生蓮~日文研HPより)

はつせかは-たにかくれゆく-さされみつ-あさましくても-すみわたるかな
(清輔集~日文研HPより)

いはまもる-かたやまかけの-さされみつ-せかねとやとの-うちにこそすめ
(正治初度百首_実房/静空~日文研HPより)

みはかくて-やまたのいほの-さされみつ-あるかなきかに-よにやすむらむ
(延文百首_有光~日文研HPより)


ささみづ・ほそみづ(細水)

2023年06月29日 | 日本古典文学-坤儀

たいしらす 
はるしれと谷のほそみつもりそくるいはまの氷ひまたえにけり
(山家集_西行~日文研HPより)

なはしろの-しめかこひする-をやまたに-またひくものは-あせのほそみつ
(夫木和歌抄_信実~日文研HPより)

五月雨を 崇徳院御歌
五月雨は/たな井にもりし/さゝ水の/あせこすまてに/成にける哉/
(続古今和歌集~国文学研究資料館HPより)

 水辺草花といふことをよめる 藤原能盛
ふく風にこはきか露のちるまゝにいてそひにける谷の細水
(月詣和歌集~続群書類従14上)

みそらゆく-かけをいはまに-うつしもて-つきにこゑある-たにのほそみつ
(正治初度百首_経家~日文研HPより)

氷未深
太山路(みやまち)や氷の下のささ水のさやくなかれもみゆる月影
(草根集~日文研HPより)

やまさとは-たにのほそみつ-つららゐて-いはうつなみの-おとたにもせす
(夫木和歌抄_師時~日文研HPより)

したくくる-たにのほそみつ-むすひあけて-いはうつよりも-きみはつれなし
(夫木和歌抄~日文研HPより)

 (遣水)
かきなかす宿のさゝ水よもすから岩間行なる音そさやけき
(丹後守為忠朝臣家百首~群書類従11)


いさらゐ(いさら井)

2023年06月27日 | 日本古典文学-坤儀

ゆくとなき-こゑさへすすし-やまかけの-いはのとたえの-いさらゐのみつ
(春夢草~日文研HPより)

納涼
むすふまの手にまく水の玉ゆらも消えて夏なき山のいさら井
(草根集~日文研HPより)

 (水辺納涼)
  右 参議右近中将義澄
むすぶ手にはやくの夏ぞ忘らるる来(こ)ん秋風にいさら井(ゐ)の水
(文亀三年三十六番歌合~「新編日本古典文学全集49」小学館)

いさらゐははやくのこともわすれじをもとのあるじやおもがはりせる
(源氏物語・松風~国文学研究資料館HPより)

なき人のかげだにみえずつれなくてこゝろをやれるいさらゐの水
(源氏物語・藤裏葉~国文学研究資料館HPより)


岩井

2023年06月26日 | 日本古典文学-坤儀

河原院にてよみ侍りける 大江嘉言
里人のくむだに今はなかるべし岩井の清水水草ゐにけり
(後拾遺和歌集~バージニア大学HPより)

なにとなくくむたひにすむ心かないは井の水にかけうつしつつ
(山家集~日文研HPより)

落花の歌あまたよみけるに
山おろしのこのもとうつむ春の雪はいはゐにうくもこほりとそみる
(山家集~日文研HPより)

河原院のいつみのもとにすすみ侍りて 恵慶 
松影のいはゐの水をむすひあけて夏なきとしと思ひけるかな
(拾遺集~日文研HPより)

せきとむる-いはゐのしみつ-そこきよみ-なつのよそなる-まつのしたかけ
(新葉集~日文研HPより)

したくくる-いはゐのみつの-すむやとや-なつをはほかの-ものときくらむ
(俊成祇園百首~日文研HPより)

納涼
日数さへつもる岩井にすむ水の底の心もしらぬ夏かな
(草根集~日文研HPより)

てにむすふ-いはゐのしみつ-そこみえて-かけもにこらぬ-なつのよのつき
(続古今集_実氏~日文研HPより)

なつのつき-いはゐのみつに-かけすみて-あきおもほゆる-まつのしたかせ
まつかけの-いはゐのみつに-あきかけて-すすしくやとる-よはのつきかな
(建仁元年十首和歌~日文研HPより)

秋ちかくむすふ岩井の水の音も涼しさまさる夏の夕暮
(詩歌合~日文研HPより)

あききぬと-いはゐのみつは-いはねとも-むすふてにてそ-まつしられぬる
(為忠家初度百首~日文研HPより)

むすひあくる-いはゐにやとる-つきかけは-こころもうつる-かかみなりけり
(三井寺山家歌合~日文研HPより)

年暮れて岩井の水もこほりとぢ見し人影のあせもゆくかな
(源氏物語・賢木~バージニア大学HPより)


石井

2023年06月25日 | 日本古典文学-坤儀

馬酔木なす栄えし君が掘りし井の石井の水は飲めど飽かぬかも
(あしびなす,さかえしきみが,ほりしゐの,いしゐのみづは,のめどあかぬかも)
(万葉集~バージニア大学HPより)

しかの山こえにて、いしゐのもとにてものいひける人のわかれけるをりによめる 貫之
むすふてのしつくににこる山の井のあかても人にわかれぬるかな
(古今集~日文研HP)

山寺なる石井によりて、手にむすびつつ飲みて、「この水のあかずおぼゆるかな」といふ人のあるに、
 奥山の石間の水をむすびあげてあかぬものとは今のみや知る
といひたれば、水のむ人、
 山の井のしづくににごる水よりもこはなほあかぬ心地こそすれ
(更級日記~新編日本古典文学全集26)

わくかこと-めにはみゆれと-わかやとの-いしゐのしみつ-ぬれまさりけり
(古今和歌六帖~日文研HP)

別れにし石井の水のますかかみあかぬかけさへなとにこるらむ
(光明峰寺摂政家歌合~日文研HP)

むすふての-あかぬしつくも-かけみえて-いしゐのみつに-とふほたるかな
(新後拾遺集~日文研HP)

たまほこや-いしゐのしみつ-てにむすひ-かくてもなつは-すきぬへきかな
(俊成五社百首~日文研HP)

石井筒

あふことは-かたやまかけの-いしゐつつ-むすふこころは-いつかとくへき
(右兵衛督家歌合~日文研HP)

 泉をよめる
いしゐつゝ隙もる水にたはふれてつてにも夏を聞わたる哉
(散木奇歌集~群書類従15)

いしゐつつ-むすふしつくの-ささなみに-うつるともなき-ゆふつくよかな
(鴨長明集~日文研HP)

井氷
夜はにたか汲みししつくそ石ゐつつあまるたるひと今朝はなるらん
(草根集~日文研HP)