monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

寄弓恋

2010年01月19日 | 日本古典文学-和歌-春

いかでかく思いひそめけむ梓弓わがこころをも引きかへさばや(亀山殿七百首)

あづ さゆみ引きはりもちてゆるさずと我が思ふ妹は知るや知らずや(古今和歌六帖)

手もふれで月日へにける白真弓(しらまゆみ)おきふしよるはいこそねられね(古今和歌集)

置きて行かば妹はま愛(かな)しもちてゆくあづ さの弓の弓束(ゆづ か)にもがも(万葉集)
おくれゐて恋(こ)ひばくるしも朝猟(あさがり)の君が弓にもならましものを(万葉集)

梓弓すゑのたづ きはしらねども心は君に寄りにしものを(万葉集)

梓弓ひきみひかずみ昔よりこころは君によりにしものを(新勅撰和歌集)

あづ さゆみ引けばもとすゑわが方によるこそまされ恋しきことは(古今和歌六帖)

わが心ひけば本末(もとすゑ)よるも寝ず打つや弓弦(ゆづ る)のおとをだに聞け(草根集)

みちのくの安達の真弓引くやとて君にわが身をまかせつるかな(後拾遺和歌集)

たがかたに心いるとも梓弓あらぬかたにもひく心かな(続後拾遺和歌集)

なにゆゑかあづ さの真弓かくばかり憂き人にしも心引くらむ(延文百首)

いさやまた人のつらさもしら真弓ひくかたにこそ心よるらめ(光明峯寺摂政家歌合)

あだ人の心のすゑもしらまゆみ引けど寄り来ぬ恋の道かな(宝治百首)

みちのくの安達の原のしら真弓こころこはくも見ゆるきみかな(拾遺和歌集)

我が恋は安達の真弓もとよりやこころづよさのためしには引く(宝治百首)

いつまでか人に心をつき弓のゆるむかたなきもの思はまし(為尹千首)


賭射(のりゆみ)

2010年01月18日 | 日本古典文学-和歌-春

春たてば梓の真弓引きつれて御垣(みかき)のうちにまとゐをぞする(永久百首)

とねりこが鞆(とも)うちならすあづ さゆみ射て引きわたる春は来にけり(六百番歌合)

引きながす手束(たづ か)の弓の矢をはやみ鞆音(ともね)に的(まと)のなりかはすかな(永久百首)

かすみしく春のはじめのあづ さ弓もろ矢しつるぞうれしかりける(永久百首)

あづ さゆみはるの日ぐらし諸人(もろひと)の夜(よ)に入(い)るまでもあそびつるかな(永久百首)


春暁

2010年01月17日 | 日本古典文学-和歌-春

山の端もそらもひとつに見ゆるかなこれやかすめる春のあけぼの(新勅撰和歌集)

かすみゆくさかひも見えぬ雲ぢかな春のながめのあけぼのの空(正治二年初度百首)

天つそらひとつにかすむ山の端のかぎりやいづ く春のあけぼの(明題和歌集)

よもの山かすみのころもすそ野までたちかさねたる春のあけぼの(快明詠百首和歌)

春はただかすむばかりの山の端にあかつきかけて月いづるころ(拾遺愚草)

月かげを 霞にこめて山の端のまだ明けやらぬしののめの空(続千載和歌集)

梅が香はまくらにみちてうぐひすの声よりあくる窓のしののめ(風雅和歌集)


初春の月

2010年01月16日 | 日本古典文学-和歌-春

春霞たなびくけふの夕月夜(ゆふづ くよ)きよく照るらむ高松の野に(万葉集)

暮るる夜のかすみにふかき山の端を しらせて出づる春の月かげ(夫木抄)

ながむればそこはかとなくかすむ夜の月こそ春のけしきなりけれ(玉葉和歌集)

見るほどに空にかすみのへだつれば光にあかぬ春の夜の月(夫木抄)