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もく窓

~良い映画と究極の手抜き料理を探して~  

あい 永遠に在り

2015年09月29日 | 

高田郁著  2013年

あいって、関寛斎の奥さんの名前なのよ、
史実とは少し違うかもしれないけど
妻の目から見て書かれているので面白いの。
と、知人に薦められお借りした一冊。



 関寛斎って、 、 名前は聞きますが、どちらさまでしょう?
 知らないのか?!  佐倉の順天堂で学んだ医者だョ。オランダ医学を学んでどこかの藩の御典医にまでなったのに、北海道へ開拓に渡って最期は自殺したのさ。
 、 、 そうなのネ 、 。  ちょっと気が重くなったけど読んでみますヮ。

 

〇〇子さん、貸していただきありがとう♪
とても良かったです。

信念を貫き徹す夫をしっかりと支える妻、
愛に溢れた綺麗で清々しい作品でした。
妻のあいは寛斎よりも先に亡くなるので
寛斎の最期は書かれていませんでした。
図書館で探したら
寛斎関連の本、色々ありました。

☆◎ 奥山秀峰「伝記関寛斎物語」
作者が小学校の教員をされていたので
とても読みやすく分かりやすいです。
あいさんの写真も載っています。

◎ 司馬遼太郎 胡蝶の夢」
関寛斎と陸別の項あり。

〇 城山三郎「人生余熱あり」
七十過ぎの身でなぜ~突然の終止符の項。

◎ 乾浩「斗満の河-関寛斎伝」
晩年、北海道に渡ってからのことも
詳しく書いてあります。

◎ 徳富蘆花(健次郎)「みみずのたはごと」
関寛翁 一~四の項。
ネットの青空文庫で読めます。

☆◎ 関寛「命の鍛錬」
こちらも青空文庫で読めます。
本人が灌水浴を薦めている文章を
ぜひ読んで
驚いていただきたい。
http://www.aozora.gr.jp/cards/001026/files/46834_27498.html

最初に読んだ時、余りの凄さに
ワハハ、、と笑ってしまった。

そして二度目に読んで
高潔の極みの美しさに
泣いてしまった。





冬の朝、お湯で顔を洗ってましたが
この冬からは水にします。
「命の鍛錬」は何度読んでも落涙するくらい惹き込まれてしまいますが
凡人の、否、凡人にもなれない私が出来るのはこの程度ですヮ。

 


 


まあまあ面白かった本

2013年04月03日 | 

「蔦かずら」          鳥越碧著 2002年

「漱石の妻」          鳥越碧著 2006年

「ここに地終わり海始まる」 宮本輝著 1991年

「三千枚の金貨」       宮本輝著 2010年

 
三千枚の金貨は見つかるのかどうか
早く知りたくて読み進めるのですが、 、
本筋とは関係ない小さな出来事や
チョイ役の背景まで懇切丁寧に描写してあって
これがまた読み応えがあって面白いのですが
早く結末が知りたくて
じっくり読みたい気持ちと読み急ぐ気持ちとで
揺れながら読み終えました。
先に読んだ「ここに地終わり海始まる」のあっさりした世界とは
かけ離れていて
著者が思ったことはぜ~んぶ書き込んだ感じです。
宮本氏はこの本を書き終えた後はさぞかしスッキリして
満足したでしょうと思った一冊でした。
もう一度ゆっくっりと読み直したいですが
少し間を置いてからにしますヮ。





森博嗣

2013年04月02日 | 

「トーマの心臓」   森博嗣著/萩尾望都原作
お気に入り度:銅
小説や歴史書を漫画にしたものは目にしていましたが
漫画を小説にしたものは初めてでした。

高校生の頃におモーさまの漫画を読んだことがあったので
最初のほうは、わざわざ小説にしなくてもと思いながら読んでいたのですが
読み進むうちに、日本人としては何か引っかかる部分があり
中盤に近づいて、 、 驚きましたョ。まさかの設定。
わざわざ小説にした価値ありの一冊でした。
おモーさまの原作漫画を読んでない方は
漫画を先に読んでから、小説をどうぞ。

 

 

 



「銀河不動産の超越」  森博嗣著
 お気に入り度:鉄
面白かった~。何度も吹き出して笑ってしまった。
国立新美術館を連想するような部屋に住んでみたいです。
残念だったのは最後が大団円で締めくくってあったことです。
ここまで書かなくても、ファンタジー小説の終わりは
ハッピーエンドの予感が感じられるくらいのほうが良いですヮ。
読み手が想像する楽しみを奪わないでほしいです。

 

 


アウトサイダー

2013年02月17日 | 

原題:The Outsiders       S.E.ヒントン著/中田耕治訳 集英社文庫
お気に入り度:鉄

同じ本が翻訳でこんなに違うとは驚きです。
翻訳によって少年像が大きく変わります。
少年の目を通して一人称で語られてゆくのですが
唐沢氏の訳では『ぼく』であったのが、中田氏では『おれ』です。
第6章でダラスがチェリーの話をするところは話の内容が違っています。
中田氏の訳では衝撃的な言葉が出てくるのですが
これは単に不良が強がって言ってると理解したほうが良いのでしょうか。
唐沢氏の訳では、飛びかかろうとしたとなっていて
そのあとのジョニーの反応も違っています。
原文はどうなっているのでしょうか。


小説の出だしは、
「映画館の暗がりから明るい陽の光のなかへ踏み出したとき、
                     ぼくの頭のなかには二つのことしかなかった。 ポール・ニューマン。それと、うちに帰ること。」

「映画館の暗がりから、いきなり外の明るい日ざしに出たとき、
             おれの心にあったことはふたつだけ。ポール・ニューマンのこと。家に帰ること。 」

上の唐沢訳ですと、閉じられた空間である映画館から
開放的な外の空間へ出たというというふうに感じますが、
下の中田訳では単に暗いところから明るくまぶしいところに出た感じがします。
また、ぼくとおれではずいぶんと違った印象を受けますし
年齢も違って感じますが本の中では14才の設定です。
どちらが原作の味わいに近いのか分かりませんが
唐沢訳の「アウトサイダーズ」のほうが好きです。

上のブックカバーの写真↑はコッポラ監督の映画から主人公ではなく
なぜかダラス役のマット・ディロンの写真が使われていますヮ。
映画は観てませんので、さっそく観てみます。
映画ではダラスが主役なのかしらん。

 



 


アウトサイダーズ

2013年02月16日 | 

原題:The Outsiders    S.E.ヒントン著/唐沢則幸訳 あすなろ書房 2000年
お気に入り度:銀
1967年、スーザン・エロイーズ・ヒントンが17才で出した処女作で
コッポラ監督により映画化されているそうです。

ウェストサイドストリーへのオマージュ作品ですが
一人の少年の目を通して描かれているので
多感な時期の悩みや不安や夢が
生き生きと胸に迫ってきます。
中高生に読んでもらいたい一冊でした。



ウェストサイドストーリーの舞台初演が1957年、映画の初公開が1961年なので
著者のスーザンは中学か高校の頃に観たと思います。


 


パイの物語

2013年02月15日 | 

お気に入り度:銀       ヤン・マーテル著/唐沢則幸訳 竹書房
映画ライフ・オブ・パイの原作本です。
唐沢則幸氏の訳が生き生きとしていてとても美しいと思いました。
ブックカバーのボートとウミガメやサカナの群れの絵も素敵です。

さて、映画と本、どちらに軍配を挙げるかというと、 、 難しいです。
インドを旅立つ前までの第1部は本のほうが圧倒的に面白いです。
1~3部に分かれていますので
第1部は何度も読み直すことと思います。
インドのこと、動物のこと、宗教のこと
知らなかった世界が拡がります。
情景描写は美しいし、人物描写は楽しくて
思わず噴き出して何度も笑ってしまいました。

第2部のボートでの漂流になってからが長すぎました。
細かく丁寧な描写の中に
三つの宗教の挿話が織りこまれているのでしょうけれど
読み取ることが出来なかったので、ただ長かったです。
この世のものとは思えない美しい映像で魅せてくれた映画のほうが良かったです。

ラストの第3部も映画のほうが良いです。
短い告白と一すじの涙、アン・リー監督すばらしいです。
だって、本のほうは
日本の運輸省の二人とパイ君の会話がおとぼけ漫才みたいで
それが面白いなら良いですがつまらないうえに腹立たしいです。
ヒンドゥー教ではブッダは敢えて偽の宗教を広めたとされているので
日本人二人は仏教国の代表として登場したのでしょうか。
それとも無宗教の代表としてでしょうか。
それともビスケットのやり取りは禅問答でしょうか。


映画と本、軍配を挙げるのは出来ません。
どちらも出会えて良かった作品でした。





 


空飛ぶタイヤ

2013年02月14日 | 

お気に入り度:銀       池井戸潤著  実業之日本社 2006年

三菱自動車工業のリコール隠しによって起きた
横浜の母子死傷事故を基にしたお話でした。
これぞ池井戸節! 池井戸さん本領発揮 ♪♪

 






 

 


星に降る雪/修道院

2013年02月13日 | 

お気に入り度:鉄        池澤夏樹著

星に降る雪、修道院、共に出だしがステキなので
中盤からなんか変になってきたなぁと思ったけど
最後まで我慢して読んじゃったヮ。
池澤作品はもう読まないと思う。


 

 


光の指で触れよ

2013年02月01日 | 

お気に入り度:鉄        池澤夏樹著   中央公論社 2008年

「すばらしい新世界」の続編というので、とても期待して読んだら
う~~ん、期待外れでした。
パーマカルチャーやコミュニティー、レイキなどについて書かれているのですが
中途半端で散漫な感じがして、結局は
浮気をしてしまった男の長い長い言いわけゴタクを聞かされてるように感じました。
それに、、 、  
アユミさん、あんなことをして良いのでしょうか。

すばらしい新世界の家族がこんな風になるなんてガッカリ~。
結末も気に入りません。別れて欲しかったですョ

 

 

 


すばらしい新世界

2013年01月25日 | 

お気に入り度:銀      池澤夏樹著  中央公論社 2000年

小学生の子供がいる若い家族の目を通して
現代社会の様々な問題が語られていました。
十年ほど前に読売新聞に連載されてたのに
読みませんでした。悔やんでます。
もっと早くこの本と出合いたかったです。
しばらくは池澤さん漬けになりそうです

 

 

 

 


池井戸潤

2013年01月22日 | 

「下町ロケット」を知人から薦められて
図書館に何度も行きましたががいつも貸し出し中で
仕方なく他の本を借りてきたので池井戸氏の本を10冊ほど読んでしまいました。
どれも読み始めたら止められない面白さでした。
銀行って本当にこんなとこなのかしらん。

最終退行
果つる底なき
MIST
鉄の骨
おれたちバブル入行組
銀行仕置き人
BT'63
不祥事
銀行総務特命
シャイロックの子供たち
下町ロケット



読んだ中では、
「おれたちバブル入行組」と「シャイロックの子供たち」がお気に入り度:銅です。
知人お薦めの「下町ロケット」も面白かったです。
中小企業が大企業に挑むんですから、カッコいいです。

 


 


きみのためのバラ

2012年01月15日 | 

池澤夏樹著       2007年

 


清涼な空気に包まれるような短編集でした。
が、「レシタション」だけは違った雰囲気を持っていました。
下手なたとえをすれば、
極上のコーヒーを飲んで至福のひとときを味わっていたら
実は麻薬入りだったという感じでしたョ。

 

 

 

 

 

 

 


かくれみの街道をゆく

2011年11月15日 | 

関宏夫著       崙書房 2002年

帝国大学国文科生で二十四才の正岡子規は
明治二十四年三月二十五日~四月二日の間、房総を旅して
「かくれ蓑」「隠蓑日記」「かくれみの句集」を残しました。
この房総旅行で手にした蓑と武蔵野旅行の笠を
子規は根岸庵の柱に終生掛けていて、ありし日を偲んだそうです。

著者の関氏は「かくれみの」三題の現代語訳に留まらず
房総へ旅立つきっかけとなった漱石の「木屑録」や、その後の子規の房総に関する作品、
そして子規の交友関係、また当時の房総の状況など様々な方向から
子規の房総旅行を読み解いています。
明治前期の房総風土記としても楽しめます。
著者関氏の子規と蓑と房総への愛情が感じられる作品でした。

  
山はいがいが海はどんどん。菜の花は黄に、麦青し、すみれ、たんぽぽ、つくづくし。」
海に囲まれ、北部は平坦ながら川・沼・湿地が多く
南部は九十九谷と云われる山々が連なり起伏が多い房総は
子規が旅した明治24年には未だ鉄道も無く、道路事情も悪かった時代なので
子規の房総旅行は馬と船に少し乗っただけで、あとは自分の足で歩いた旅だったそうです。
日焼けして真っ黒になって房総旅行から帰ってきた子規は
房総には何事かござると人に聞かれて、上記の返答をしたとのこと。
山はいがいがは鋸山を表しているのですが
房州の起伏の多い道を実際に歩いたイメージも重なっているようで
微笑ましく感じる一節です♪

 


「 蓑一つ 十年前房総に遊びし時のかたみなり。
春の旅は菜の花に曇りていつしか雨の降りいでたるに、
宿り求めんには早く、傘買はんもおろかなり
いでや浮世をかくれ蓑著んとて、とある里にて購ひたるが、
著て見ればそゞろに嬉しくて、雨の中を岡の菫に寝ころびたる其蓑なり。」
蓑掛けし病の床や日の永き  明治三十二年四月十七日    

 

 

子規が好きだった曲亭馬琴の「南総里見八犬伝」の一節も載っていました。
「 濁世煩悩色欲界、誰か五塵の火宅を脱れん。
~略~
観ずれば夢の世、観ぜざるも亦夢の世に
いずれか幻ならざりける。 」  

 

 


ぶどう酒びんのふしぎな旅

2010年10月01日 | 
  影絵/藤城清治
  原作/H・C・アンデルセン
  訳/町田仁
  講談社 2010年
アンデルセンの童話は大好きですが、このお話は読んだことがありませんでした。
藤城氏の影絵は今まで興味がなかったのですが、この絵本はお話と絵がとても合っていて素晴らしいと思いました。
特に8ページ、14ページ、25ページ右の絵はお気に入りです。

藤城氏がこのお話を絵本にするのは60年ぶり、二度目だそうです。
86才でこの美しい絵本を作り上げたことも素晴らしいですが、
26才で初めての絵本を出す時に、この渋くて地味なお話を選んだこともスゴイと思いました。
また、あとがきの中で、初めての絵本の発売日翌日に影絵をコマーシャルに使いたいと言ってきた品川の木造二階建ての町工場が後のソニーで、井深氏と盛田氏に説明を受けたというエピソードは、両者の物を見抜く力と先見の明を感じて、天才はスゴイと思いましたョ。


イモムシハンドブック

2010年09月09日 | 
セサミストリートの住人?  スネているペット?
スライムの又従兄?  ガンダム?  ウルトラ怪獣?
表紙のユーモラスな写真に魅かれて、買っちゃいました。
(左上の可愛いのか気持ち悪いのかスタイリッシュなのか微妙なのは無視しました^^)

本を開くと、、  ウヘ~っと絶句して本を落とすとこでしたョ。
表紙から想像して、もう少し可愛い写真を期待してたら、、
普通に図鑑で、当然なのかもしれませんがとてもリアルな写真ばかりでしたヮ。
せっかく買ったんだからとパラパラめくっていたら、、
58ページと79ページを、、見てしまって、、
見てしまったことを、買ってしまったことを、後悔しましたの。
2週間ほど捨てておいたのですが、
再び手に取って、最初の「本書の使い方」から読んで、少しずつ写真と説明を見ています。
少しずつこの本に慣れてきました。
今日、庭のフヨウに付いていた毛虫を調べたのですが載ってませんでした。
虫の名前が知りたいときは、図鑑よりもネットが一番ですネ。
「フヨウ 毛虫」で検索かけて、すぐにフタトガリコヤガと判明しました。
載っている種類が少ないだけでなく、この本を薦めていたP氏が
「あの図鑑は原寸の写真があるので、かなり判りやすいですよね。
ただ、幼虫は齢数によってもかなり形が違うので、
載ってる種類でも判別がつかないことも多そうです。」と言ってますし、
フヨウに付いていたフタトガリコヤガも載っていませんが、
この本は作った方の愛情が何となく感じられて、
大切に取っておいて時々手にすると思います
P.58とP.79は二度と見ませんが。





本の表紙の幼虫の正式名は左上からアオバセセリ(48mm)、リンゴドクガ(35mm)、ウラギンシジミ(20mm)、コスズメ(80mm)、クロモンアオシャク(20mm)、ウストビイラガ(15mm)