もく窓

~良い映画と究極の手抜き料理を探して~  

パイの物語

2013年02月15日 | 

お気に入り度:銀       ヤン・マーテル著/唐沢則幸訳 竹書房
映画ライフ・オブ・パイの原作本です。
唐沢則幸氏の訳が生き生きとしていてとても美しいと思いました。
ブックカバーのボートとウミガメやサカナの群れの絵も素敵です。

さて、映画と本、どちらに軍配を挙げるかというと、 、 難しいです。
インドを旅立つ前までの第1部は本のほうが圧倒的に面白いです。
1~3部に分かれていますので
第1部は何度も読み直すことと思います。
インドのこと、動物のこと、宗教のこと
知らなかった世界が拡がります。
情景描写は美しいし、人物描写は楽しくて
思わず噴き出して何度も笑ってしまいました。

第2部のボートでの漂流になってからが長すぎました。
細かく丁寧な描写の中に
三つの宗教の挿話が織りこまれているのでしょうけれど
読み取ることが出来なかったので、ただ長かったです。
この世のものとは思えない美しい映像で魅せてくれた映画のほうが良かったです。

ラストの第3部も映画のほうが良いです。
短い告白と一すじの涙、アン・リー監督すばらしいです。
だって、本のほうは
日本の運輸省の二人とパイ君の会話がおとぼけ漫才みたいで
それが面白いなら良いですがつまらないうえに腹立たしいです。
ヒンドゥー教ではブッダは敢えて偽の宗教を広めたとされているので
日本人二人は仏教国の代表として登場したのでしょうか。
それとも無宗教の代表としてでしょうか。
それともビスケットのやり取りは禅問答でしょうか。


映画と本、軍配を挙げるのは出来ません。
どちらも出会えて良かった作品でした。





 



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