もく窓

~良い映画と究極の手抜き料理を探して~  

貧乏神髄

2007年10月29日 | 
 川上卓也著    WAVE出版 2002年
『貧乏するなら田舎が良いなあ。せっかく会社を辞めたのだから、思いっきり異なる環境に身を置きたいものだ。~ (略) ~見つかった物件というのが、すでに誰にも貸されていなかった貧乏長屋。よく見れば心なしかその全体は傾いているし、障子戸は骨が折れている。天井からは蜘蛛の巣が幾重にも垂れ下がり、壁はひび割れ崩れていて、畳はボロボロなの勿論、膨らんだり歪んだりしていました。室内を素足で歩けるようになるまでは二日を要し、床が抜けては驚き、厠を覗けば絶叫し、水の張られたままの風呂には大小各種の昆虫が溺死状態で~ (略) ~。それだけに、なんとか寝転がれる程度に掃除が進み、酒瓶をラッパ呑みしながら寝袋にくるまって過ごしたはじめての夜は、胸がいっぱいになりました。しかしまあ、なんでこんなボロボロの家に住む気になったかと言えば、都会暮らしでは得ることの出来なかった陽当たりに惹かれてのことなのでした。貧乏長屋は南向きに建てられていて、車一台が通るのもやっとこという道を挟んだ先には、畑と田んぼが広がっていました。』

 川上卓也さんのHP 「耐乏PressJapan」

Miss White 白い人

2007年10月25日 | 

 金川富子著   新書館 1972年
著者の金川富子さんについて何かご存知の方は教えていただければと思います。
若いときに読んだこの絵本が手元に一冊あるだけで、著者について何も分かりません。どういう方なのか、また別の本を出してないのかとても気になります。小さなことでもご存知の方はどうぞ教えてください。よろしくお願いします。


       

パンズ・ラビリンスのパンフレット

2007年10月24日 | 映画館
 お気に入り度:金
水曜千円デーの有楽町シネカノン。「パンズ・ラビリンス満席です!チケットの無い方は入場出来ません!」とお兄さんが声を嗄らしていました。早目にチケットを買っておいて正解。欲しかったパンフレットも買えました♪
パンフレットは16cm四方と小さくて800円はチョット高いんじゃない、と思いましたが中を見たら内容がとても充実していて、けっして高くはなかったです。
むかしむかしとお伽話風のあらすじで始まり、迷路があったり、映画の背景となったスペイン内戦についての解説もあるし、怪物図鑑のページにビダル大尉も載っているし、とても楽しめるパンフレットでした。

今日、二回目を見てお気に入り度:金に変更です。
二度目ですと怖さや気味悪さが薄らいで、美しい画面と良く出来た怪物達をじっくり堪能出来ました。
怪物達は気持ち悪さとどことない可笑しさが程よく入り混じっていて完璧でした♪
まずはナナフシ。虫好きには堪りませんネ。素晴らしいです! これだけでも見る価値有りです。オフェリアでなくとも追いかけていってしまいます。
そして大蛙。ふてぶてしい感じが素晴らしかったですね。やっつけられて中身が出てきた時に黒いボチボチが付いていたのは食べていたダンゴ虫だったんですね。今回は目を背けずにじっくり見たので分かりました~。あ~、また思い出してゾクゾククラクラします~。
お次はペイルマン。垂れ下がった皮膚が醜くいし子供を食べちゃうというんだから怖いです。ヨロヨロとしか動けないところやイナイイナイバアを思わせる動作や目玉を目の所に入れればいいものを手の平にいれるところ、また食べ物に手を出さなければ気付かずに眠っているところなどユーモラスな部分も少々ありました。でも、人の形をしたものが人を食べようと追いかけるのは怖いだけでなく不気味で気持ち悪くなりました。妖精を二匹食いちぎっちゃうし。この妖精を食べる場面は映像で見せないで欲しかったです!! 
そしてパン。怖いような、可笑しいような、誠実なような、ずる賢いような、亀のような、兎のような、宇宙人のような、油断ならない顔をしていて、どう見ても、角がなければ山羊には見えない御面相でした。
そしてそしてビダル大尉。口が裂けたビダル大尉が鏡を見るシーン、最初に見たときは怖さしか感じませんでしたが、二度目の今回は笑ってしまいました。縫うシーンは針を刺すとこよりも糸を引っぱるとこのほうが鳥肌がたちました。お酒が染み出てくるところがまたゾワッとしました。ビダル大尉は沁みて痛いのに、観客へのサービスのつもりなのか、もう一回飲むんですね。で、また染み出てくる。はぁ~、思い出すだけで疲れる映画です。
このお酒にオフェリアが入れていたのはドクターが母親に処方した薬でした。これを飲んだ大尉はフラフラになってしまうんですよね。これが意味するのは? 一回目に見たときは、ドクターが薬と偽り毒薬を処方していたのかと思いました。医者の倫理を捨てるほどフランコ政権への憎しみが強いのかと勝手な想像をしましたが、二回目の今回は、毒も薬も匙加減ということで2滴が適量の強~い薬をたくさん入れたせいだと思いました。が、薬のビンが大写しになっていたのがやはり少~し気になります。
ビダル大尉、恐ろしい存在ですが、どこか憎みきれないところがありました。敵に対しては冷酷で残虐極まりないですが、部下には細かいことまで厳しく言いますが理不尽な要求ではなかったし、戦闘では死を恐れず勇敢でした。悪役に深みがあって冴えてると主役も引き立ちますネ。大尉役の俳優さんもオフェリア役の子役さんもピッタリでした~。

二回目もラストは涙が抑えられませんでした。
死を前にしたオフェリアが最後に空想した夢は、過酷な現実の中で彼女が切望していたものでした。両親が迎えてくれる温かく輝かしい世界でした。
オフェリアは何も報われませんでしたが哀れとは思いません。想像力を持った人間の素晴らしさを痛いほど感じた映画でした。





今日の庭

2007年10月22日 | 庭・菜園
千両の実が色づくのが例年よりも早いように思う。
椿の蕾も大きくなっていて、今朝一つ咲いていた。
柿は当たり年で小さな木なのに30個くらい実った。
柚子とフクレは色づくのが早いが、例年並の出来。

    

今夏はオニヤンマと青蜂を見なかった。
オニヤンマは、お隣さんが池を埋めてしまったせいで来なかったのかもしれない。
だとすれば、来年も来ないな。毎年、ホバリングしながら網戸越しに我家を覘いてたのに。
青蜂は、今年は庭に紫蘇の花がなかったせいかもしれない。
夏の終わりに青蜂が飛んでいる様子は光り輝いていてどんな宝石よりも美しい。
来年は紫蘇を忘れないで蒔こう。


一泊ドライブ 18・19日

2007年10月19日 | 雑記
初めて鹿沼インターから121号を通って、日光へ行ってきました。
ここの杉並木は長~いですネ。車で走れど走れど続く杉並木に驚きました。地元の方が守ってこられたのですが、やはりお金がかかるようです。杉並木を守るために日光杉並木保護財団でオーナー制度を始め、平成19年5月末現在544本の杉に428名のオーナーがいるそうです。平成17年2月末で719本の杉に552名のオーナーというので、オーナーは減っているんですネ。では私が一本と思ったら、一本一千万だそうで、、。

では気を取りなおして、、鹿沼インターから日光へドライブするなら、途中のちょっと入ったところにある小代行川庵というお蕎麦屋さんがお薦めです。お座敷から池の鯉を眺めながら手打ち蕎麦を頂くことができ、そして地元のお母さんたちがやっているので安い!です。平日なのにお客さん多かったです。
今回は日光の中心街は素通りして、いろは坂から金精峠へ向かいました。今年は二週間ほど紅葉が遅れているそうで湯の湖より下は紅葉していませんでした。で、紅葉している高い所はガスっていて残念。
翌日も朝起きたときは青空でしたがすぐに曇ってしまいました。群馬県側に下り、
吹割の滝を見て赤城山を越えて前橋インターから関越道で帰宅。


悔しいことに帰ってきた翌日から一週間も晴天が続いたヨ~。日頃の行いが、、、

パンズ・ラビリンス

2007年10月14日 | 映画館
 お気に入り度:銀  ギレルモ・デル・トロ監督 2006年
出演 イバナ・バケロ、マリベル・ベルドゥ、セルジ・ロペス

子守唄が聴こえ、血を流し倒れている少女。逆回しで流れた血が戻っていくとカメラは少女の瞳の中へ吸い込まれていくようにして回想が始まります。
スペイン内戦後の混乱が続く中、再婚した母と共に新しい父親の元へ行った少女オフェリアの現実の体験と空想とが交互に描かれていきます。
望まぬ再婚をし身重で体調もすぐれない母親はオフェリアの理解者となりえず、新しい父は冷たく恐ろしい存在で、オフェリアは孤独です。家政婦メルセデスの秘密を目にし、徐々にメルセデスを慕ってゆきます。
オフェリアが空想の世界で大ガエルから鍵を手に入れると、家政婦メルセデスは倉庫の鍵を使って人民戦線側に薬品を渡します。オフェリアが空想の世界で剣を手に入れると、メルセデスはナイフを使ってビダル大尉を切り裂きます。
オフェリアは剣を手に入れる時に妖精が鍵の場所を間違えたのに自分で正しい場所を捜し当てます。そして妖精が止めるのを振り切り、禁じられていた食べ物を口にします。知識の実を口にし彼女の視野が広がったことを、グロテスクで恐ろしくてチョットコミカルな映像で見せてくれます。成長して視野が広がると危険なものを察知できます。察知できないほうが知らぬが仏で暢気にしていられるのですが、察知できるからこそ怖さも感じ危険から逃げ切ることも出来るのです。
メルセデスはビダル大尉の部下に追われ、、、。そしてオフェリアは、、、
冒頭のシーンにお話が繫がり、空想を織込んだ回想が終わると、ラストはオフェリアの最後の空想です。アンデルセン童話のマッチ売りの少女が最後に見た夢のように美しく温かな金色の世界、オフェリアにとって現実よりも死のほうが安らかであったと思うと余計に切ないラストでした

細部までとても良く練られている作品で、観る人の想像力に訴えてくるものが多く、見終えたあとに何度もぐるぐると思い返して、まさにラビリンスに迷い込んでしまう作品でした。
また、映像は美しいのですが監督の猟奇趣味が良く出ている部分があり、PG-12指定でしたがR-15にしたほうが良いかと思いました。

ところで、冷酷で残虐なビダル大尉は父親のことでトラウマを抱えているようでしたネ。
wikiによると『反乱軍は、当初からフランコが全権を握っていたわけではなかったが、フランコが独伊の支援をとりつけていたこと、フランコと並ぶファシスト側の指導者であったエミリオ・モラ・ビダルの事故死(1937年6月)などが重なり権力の集中が進み ~ ~ ~ ファシズム体制を固めた。』とあるので、映画のビダル大尉はエミリオ・モラ・ビダルの息子という設定なのでしょうか。時計のエピソードも何だか気になって、、、
色々と気になることがいっぱいの映画でしたが、もう一つ分からなかったのが、オフェリアがビダル大尉のワインに入れていた薬は、ドクターが母親に処方していた薬だったでしょうか? 母親が具合が悪かったのはドクターのせいでしょうか?
よく変な勘違いをするので、教えていただければと思います。

パンフレットが売り切れで買えませんでした。きっとパンフレットも細部まで良く出来ているんでしょうね。
はぁ~残念、、、このパンフレットは欲しかったなぁ


(追記)十日後、2回目を観に行きパンフレット買えました♪

最近読んだ本

2007年10月12日 | 
「びんぼう草」 群ようこ著 1990年 新潮社
七編からなる短編集。びんぼう草という題の短編はないです。
『満員電車に乗る日』『おかめ日記』『シジミの寝床』が面白かった。

「12皿の特別料理」 清水義範著 1997年 角川書店
お料理にまつわる12の短編集。
美味しそうでもなければ面白くもなかった。
『鱈のプロバンス風』と『ぶり大根』はちょっと面白かったけど、五十を過ぎたオッサンがこれを書いたかと思うと、、。

「漱石先生大いに悩む」 清水義範著 2004年 小学館
本当にあんな手紙が出てきたんじゃないかと思いながら読める楽しいお話でした。著者の漱石に対する親愛の情が感じられる佳い作品で、お薦めです


きをそ

2007年10月10日 | 日記
てぼどえびゃうえをひあぼうちょをわつりちえっちけもせと、やよくのせぢえっとなぢすご。めちまろいもせと、CTさきょわなきっこ。すえたうしゃうなせわぽえほのくちはったせもせと、かもこえなうかうさくなおたごおれ。すかせなうなえしゅくごおるさうぢすごたせさうあうちえだのなぢせわぽえほえろにえさうぢす、へたもずおわせわせちこいっちけもせと。

ハゴロモ

2007年10月08日 | 
 よしもとばなな著    2003年 新潮社
「人の意図しない優しさは、さりげない言葉の数々は、羽衣なのだと私は思った。いつのまにかふわっと包まれ、今まで自分をしばっていた重く苦しい重力からふいに解き放たれ、魂が宙に気持ちよく浮いている。」

出てくる人は皆少し変わっていて、ごく普通の食べ物が美味しそうで、これといった大きな事件はないのですが途方に暮れていた主人公が少しずつ自分を取り戻してゆきます。荻上監督の映画「めがね」と通じるものを感じました。ハゴロモのほうがストーリーも登場人物の設定もハッキリしていますが。

思うに、ハゴロモは映画化出来ますが、逆に、「めがね」は小説では表現できない、映画でしか表現できないものだったんですね。
ハゴロモ、なかなか面白くて読んで良かったです。なぜか「めがね」をもう一度観たくなりました。

めがね

2007年10月03日 | 映画館
 お気に入り度:銅  荻上直子監督 2007年
南の島へ一人で行ってボーっとしてみたいと、誰もが一度くらいは思ったことがあるんじゃないかしらん。実際の女性の一人旅は危険が付きまといますが、映画ならば安心です。与論の海、きれいですよ~。


この映画、どうしても荻上監督の前作かもめ食堂と比べてしまいました。
ちょっと残念に思ったのは、、、食べ物がかもめ食堂ほど美味しそうじゃなかったことです。
かもめ食堂のおにぎり、鮭、トンカツ、シナモンロールそしてコーヒー、どれもが食べたくなるほど美味しそうでしたが、めがねのチラシ寿司三段弁当もバーベキューもカキ氷も食べた~いと思わせる何かがなかったです。伊勢海老も、あんな立派なのを一度食べてみたいなぁとは思いますが、”あ~、食べた~い”という気持ちにはなりませんでした。どうしてなんでしょう。
お料理を作る過程がが少なかったせいでしょうか。
パン生地にシナモンシュガーを振って巻く、切って成形する、焼きあがったものをオーブンから出す。
手を水で濡らす、シャモジで御飯をすくう、梅干を芯に入れて握る,海苔を巻く。
鍋肌から衣を付けたトンカツを油の中へ滑らせる、キツネ色に揚がったものを包丁でサクッと切る、キャベツの乗った皿に盛り付けレモンを添えてすぐにお客さんのところへ運ぶ。
思い出すだけでも食べたくなっちゃいました。
で、めがねのほうは、、、
チラシ寿司の仕上げに絹サヤ(?)飾ってましたね。チラシ寿司なら酢を振ってウチワで扇ぐシーンが欲しかったな~。
採れたて野菜を大鍋で茹で上げていましたね。茹でる前の新鮮な泥付野菜を洗うとこから見せて欲しかったな~。
バーベキューでタケノコの半切りを焼いてましたね。高級お肉も。外でするバーベキューって皆でわいわいと豪快にやるものと思っていたら、静かに食べてるバーベキューでしたね。わいわいと食べるなら安いお肉でも美味しいけど、静かに頂くなら高級お肉なんでしょうね。周りが海なのでお肉よりお魚のほうが良かったと思うけどな~。
バーベキューも朝御飯もカキ氷も皆静かに黙々と食べてましたね。美味しいものに言葉はいらないってことでしょうか?? でも、美味しさがいまひとつ伝わってこなくて残念でした。

勝手なことを言いついでにもう一つ。
民宿ハマダの主を小林聡美さん、タエコ役を薬師丸ひろ子さんにしたほうが合っていたように思います。光石さんには薬師丸さんがやった新興宗教の宿みたいなところの御主人を。
サクラ役はもちろん、もたいさんを措いて考えられません

ところで、加瀬亮演じるヨモギがドイツ語の詩をくちずさんでいましたね。
パンフレットに原文か訳が付いているものと思っていたら、残念ながら付いていませんでした。どなたかご存知ないでしょうか。
ドイツ語の詩は載ってなかったですが、めがねのパンフレットは前回のかもめ食堂のパンフレット同様、こだわって作ってありとても素敵です。「なんとなく不安になってきて、そこから80m走ったら右に」の地図が入ってます♪ 表紙の裏は、メルシー体操の図解でした♪
     


 まだTVで一度も見たことのない、私にとって幻の"パスコのCM