自分は マゾステイックな 人間だと 思っていた。
だから オレ様主義の 旦那に キュンと なって 惚れたのだと 雅美は 思っていた。
、
「夜めし 食べた後 でかけようぜ。
しっかり化粧の練習でも しとけよ。 アホ」
、
そう 行って 出かけて行った 旦那の 言葉に
彼なりの愛情の 深さを 感じ キュンと なった 雅美は、
昼間 デパートで 口紅の新色を 買いに行きました。
、
チークの塗り方も 丁寧に教えてもらい
気持ちも晴れやかに 台所に たって 夕飯の支度に とりかかりました。
、
今日は
♪チンジャーロース
♪水餃子
♪きゅうりとトマトのサラダ
♪こんにゃくの 土佐煮
にしよう。
、
と 料理を 始めた 雅美の心の中で
なにか ざわざわ っと いやな感じが しました。
、
私は 本当は サドステックな 人間なのかもしれない・・・。
こんにゃく 料理を するとき
雅美は いつも そんな 思いにかられるからです。
、
油をひかない フライパンを 熱して
こんにゃくを 入れると
こんにゃくの 水分が 炙られて ぱちぱちいい始めた。
雅美は フライパンの取っ手を もち 前後にゆらした。
こんにゃくが 苦しそうに キューンと 鳴った。
「まだまだよ。 あなたには もっと 苦しんでもらわないと。
そうしないと おいしくならないでしょ?」
、
雅美は こんにゃくが もがいているのを じっと 眺めていました。
「まだだめよ。苦しくて 苦しくて たまらなくなるまで 我慢しなさい」
、
こんにゃくは もう一度 苦しそうに キューンと鳴った。
、
「そうよ、苦しんで、苦しみ抜いたとき 与えられた調味料を 存分に 吸い込むのよ」
、
雅美は こんにゃくに 酒・みりん・しょうゆ を大1加えた。
、
そして また フライパンを ゆすり始めた。
こんにゃくは 生き返ったように 調味料を上を 駆け回った。
、
水を くれ。水分を くれ。
こんにゃくは そういいがら 酒を吸った。みりんを吸った。
最後に しょうゆも しっかり吸った。
、
「どう? しっかり 吸うのよ。
細胞のひとつひとつまで しみ渡らせるのよ」
雅美は こんにゃくを 大事そうに見回し ちゃんと、しみ込んでいるかを 確認した。
、
フライパンの調味料が どんどん減って、こんにゃくが ふっくらと 満足げに し始めたころ、 雅美は 火を止めた。
、
かつをぶしを 一パック ぱらっと かけて
最後に フライパンを ゆすり お皿に盛った。
、
旦那が 帰ってきたら 言ってみようかしら。
「私の化粧より あんたの 髪型っ、 なんとか してよ」
雅美さんは 旦那さまには 言えなかったそうです。
隠れ サドステイック(笑)