宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

地球に似た惑星は、やはり太陽に似た恒星を回っている?

2015年02月23日 | 地球外生命っているの? 第2の地球は?
生命が住める惑星(ハビタブル惑星)の探索は、
現在、太陽と比較して質量が半分以下の“M型矮星”と呼ばれる恒星に対して、
集中して行われようとしています。
地球に似た惑星“グリーゼ581”

これらの恒星は、銀河系恒星の7~8割を占めています。

なので、質量が太陽と同じ位の“G型矮星”に比べて、
「恒星からの距離が、水が液体の状態で存在できる範囲“ハビタブルゾーン”」
にある惑星を、観測しやすくなります。

でも、今回のシミュレーションでは、
地球のような環境の惑星を探すのに、
“M型矮星”は適していないという違った結果が出たんですねー

惑星に地球生命のような生命体が住むには、
“ハビタブルゾーン”に入っていることが必要になります。

さらに近年の研究では、海と陸の比が地球に近い必要性が指摘され、
地球の場合の含水量程度(重量で0.01%程度)から、あまりはなれてはいけないと見られています。

重量で1%を超えるような水を持つ惑星は陸がない“海惑星”となり、
気候が安定せず、栄養素の海への供給も制限されてしまいます。

一方、金星のように水が欠乏した“砂漠惑星”では、生命は住めないんですねー



さらに、太陽と同じくらいの質量の恒星である“G型矮星”は、
誕生してからの初期段階で、ほとんど明るさが変わりません。

でも、質量が太陽より小さい“M型矮星”では、
その初期段階で明るさが1ケタ以上も減少してしまいます。

“M型矮星”を回る“ハビタブルゾーン惑星”のうち、
地球と同程度の水を持っている惑星は、明るすぎる初期段階で海が干上がってしまうんですねー

ただ、地球よりずっと水が多い“海惑星”は、その大量の水を保持し続けると考えられます。


今回の研究では、
中心の恒星が、太陽質量の0.3、0.5、1.0倍の質量の場合に惑星の分布をシミュレーションし、
中心の恒星の明るさの変化を考慮して、水の蒸発過程を見積もっています。

太陽質量の0.3倍の恒星1000個について計算したところ、
6万9000個の惑星が得られ、そのうち5000個は地球質量に近く、
ハビタブルゾーン”に入るのは55個。
でも、55のうち31個は“海惑星”で、23個は“砂漠惑星”、
そして地球と同じような含水量の惑星は、たった1個でした。

太陽質量の0.5倍の惑星1000個では、7万5000個の惑星が得られ、
9000個は地球質量に近く、“ハビタブルゾーン”に入るのは292個。
そのうち、地球と同じような含水量の惑星は12個でした。

太陽質量の恒星1000個の場合は、3万8000個の惑星が得られ、
8000個が地球質量に近く、407個は“ハビタブルゾーン”に入り、
そのうち91個は“海惑星”、45個は“砂漠惑星”で、
大半の271個は地球と同じような含水量でした。

地球質量程度で地球くらいの含水量を持つ惑星の数は、
太陽質量程度の“G型矮星”に比べて、太陽質量の0.5、0.3倍の“M型矮星”の周りでは、
1/10~1/100以下しかなかったんですねー

なので、地球のような惑星探しをするなら、
太陽型の恒星で探すべきということになります。

ただ、これは地球型の生命体の話になります。

地球とは似ていないが、
地球の生命とはまったく異なる仕組みの生命が住む惑星…
この可能性はどうなるのかは別の話ですね。
恒星の周りにできる惑星のシミュレーション結果


今回のプログレス補給船は、ショーットカット飛行で国際宇宙ステーションへ!

2015年02月22日 | 宇宙 space
国際宇宙ステーションへの補給物資を載せた、
プログレスM-26M補給船が、ソユーズUロケットで打ち上げられました。

ロケットは順調に飛行し、打ち上げから約9分後にはプログレスM-26Mを分離。
そしてプログレスM-26Mは打ち上げから約6時間後に、
国際宇宙ステーションのズヴィズダー・モジュールに入港し、
これから物資の搬出作業が行われることになります。


プログレスM-26Mは、ロシアのRKKエネルギア社が開発・製造した無人補給船で、
国際宇宙ステーションへの物資輸送を担っています。

打ち上げ時の質量は7,287キロで、
そのうち補給物資として2,370キロの水や食料、日用品、修理部品、燃料などが搭載されています。

プログレスM-26Mは約6か月の間、国際宇宙ステーションに滞在し、
最後はステーションで発生したゴミを積んで大気圏に再突入、
ゴミと共に燃え尽きることになります。

プログレス補給船の打ち上げからステーション到着までは、
これまで約2日間かかっていました。

でも、2012年のプログレスM-16Mから、
6時間で到着できる飛行プロファイルが使われるようになります。

以来いくつかの飛行で適用されていて、
プログレスとほぼ同型機のソユーズ宇宙船でも、2013年のソユーズTMA-08Mから採用されることになります。

ソユーズの船内は狭いので、
その中で2日間も過ごすというのは、宇宙飛行士にとって相当なストレスなんだとか…

なので、この6時間飛行プロファイルは、大きなストレス軽減策になったんですねー

こうしたショートカット飛行が可能になったのは、
ソユーズ・ロケットを近代化したソユーズFGの登場(2001年)と、
プログレス補給船を近代化したプログレスM-Mの登場(2008年)によるもの。

これにより、より高い精度での軌道投入や、軌道修正が可能になったんですねー

ここに、
事前にステーションの軌道を調整することや、
打ち上げタイミングを合わせることで、
打ち上げからドッキングまで、6時間という飛行が実現できたわけです。

ただ、この方法がいつも使えるわけではなく、
打ち上げ場所とステーションの軌道の関係上、6時間でドッキングできる機会は3日に1度しか訪れません。

また、打ち上げ前にステーションが、
デブリ回避などで軌道を変えた場合も、
この方法は使えなくなってしまいます。

その場合は打ち上げを延期するか、
今まで通りの2日かかる飛行プロファイルに切り替えることに…

さらに、ロケットが狙った軌道にプログレスやソユーズを投入できなかったり、
打ち上げ後に軌道修正に失敗した場合にも、2日かかる飛行プロファイルへの変更が必要になったりします。

ロシアは現在、新しい航法システムの開発と試験も進めていて、
いずれは4.5時間での飛行も可能になるようですよ。

チリを見通して検出した正体不明の有機分子

2015年02月21日 | 宇宙 space
東京大学と京都産業大学の研究チームが、チリが多く見通しが悪い環境にある星の光から、
正体不明だった大きな有機分子による吸収線を多数発見することに成功したそうです。


ガスやチリなどの星間物質を透かして見える星の光のスペクトルには、
特定の波長の光が遮られる“吸収線”が見られ、これが星間物質を知るカギになるんですねー

こうした中に、幅が太い“ぼやけた星間線”と呼ばれる微弱な吸収線が、
これまで観測されてきました。

でも、“ぼやけた星間線”を引き起こす有機分子の正体は、はっきりせず…

芳香族炭化水素やフラーレンが有力とされているのですが、
この正体を解明するには、チリを見通せる赤外線で分光観測を行い、
チリが多い環境で“ぼやけた星間線”の検出が重要になってきます。
星の光のスペクトルに現れた、わずかな吸収線から、
星間物質に含まれる大きな有機分子を探る。

研究チームでは、高感度な赤外線分光器“WINERED”を用いて25の天体を調査。

0.91~1.36μmの赤外線波長での“ぼやけた星間線”を、
15本も発見することに成功したんですねー

この波長帯での“ぼやけた星間線”は、これまで5本しか見つかっていないので、
系統的な赤外線による“ぼやけた星間線”の探査は、今回が世界で初めてになります。

今回のように、従来は検出が難しかった、
見通しの悪い環境での“ぼたけた星間線”を赤外線で調べていくと…

大きな有機分子の生成過程、
さらには宇宙における“生命の起源” なんてのも解明できるかもしれないそうです。
“はくちょう座OB2星団”の赤外線画像と、
星団内の3つの星の“ぼやけた星間線”のスペクトル(右下)。


火星の上空に巨大な謎の雲が出現

2015年02月20日 | 火星の探査
アマチュア天文家達が、
火星上空の高高度で奇妙な雲状のプルーム(煙流)を発見しました。
このことで火星大気の組成に関する謎が深まっているようです。

この現象が観測されたのは、2012年3月12日の火星上の“明暗境界線”上空でした。

“明暗境界線”とは、星表面の光が当たっている部分と、当たっていない部分の境目。

1つ目のプルームは、約10時間かけて形成され、その約11日後に消えています。

その間、プルームの形状は次第に変化し、
「2つの丸みを帯びた突起物」から複数の柱状になり、最終的には合体して1本の「指」の形になったそうです。

2つ目のプルームが出現したのは2012年4月6日のこと、
ほぼ同じ場所で見つかり、約10日後に消えることに…

これら2つのプルームは、
火星南部の起伏の多い高知の一部“キンメリア大陸”の上空、
光度約200~250キロに達する高高度に出現したそうです。

南北および東西の方向に500~1000キロの範囲で広がっていたんですねー

現在火星では、水と火山活動の痕跡を探すための詳細な探査が行われています。
理論上、この2つの要素を巡っては、何らかの形の生命を育んだ可能性があるからです。

これまでにも、チリや氷の結晶でできた雲は、火星の上空でたびたび発見されてきました。

でも、それらの雲はすべてが100キロより低高度で形成されたもので、
今回のように広範囲に及ぶ雲が発見されたのは初めてのことでした。
火星の南半球で発見された煙流
(右側の写真の黄色い円で囲まれた部分。左側はその拡大写真)は、
10時間かけて湧き上がり、1週間以上留まっていた。
火星で、これほど高い位置まで到達した煙流が観測されたのは初めてのこと。

今回の研究では、
プルームが水や二酸化炭素の微粒子で出来ている可能性があるとしています。

でも一方で、太陽から吹き付ける粒子が、地球磁場に衝突して地球大気中で発光する
“オーロラ”に似た現象が起きている可能性にも触れているんですねー

“キンメリア大陸”には、局地的で強力な磁場を持つ“帯状地”が存在することが、
火星周回機による過去の観測で示唆されています。

もし、このことが正しければ、
火星の“オーロラ”は、地球の“オーロラ”より1000倍も明るくなるようですよ。

無人補給船ATV-5(ジョルジュ・ルメートル)最後のミッションを完了。

2015年02月19日 | 宇宙 space

無人補給船ATVの5号機が、
2月15日、国際宇宙ステーションへの補給任務を終えました。

ATV5号機はヨーロッパ宇宙機関の無人補給船で、愛称は“ジョルジュ・ルメートル”。

任務完了後は、南太平洋上空の大気圏に再突入して燃え尽きています。
ATVは、この5号機が最後のミッションになり、
このあとヨーロッパ宇宙機関は、“ATV”の技術を活かし、
NASAの新型宇宙船オリオンの開発に参加することになります。


ATV5号機は2014年7月にアリアン5 ESロケットに搭載され、ギアナ宇宙センターから打ち上げられます。

8月には国際宇宙ステーションに到着し、
物資の補給や、スラスターを用いてステーションの軌道変更を行っていました。

約20トンの船体の中には、水や燃料、酸素、食料や生活必需品、実験機器などなど…
補給物資が約6.6トン搭載されていて、
これまでATVが運んだ中で最大の積載量だったんですねー


そして2015年2月14日、ゴミなどを搭載して国際宇宙ステーションを出航。

15日には南太平洋上空の大気圏に再突入して燃え尽き、ミッションを終えています。


ATVはエアバス・ディフェンス&スペース社が開発した無人補給船で、
2008年に1号機が打ち上げられ、2011年から毎年1機が打ち上げられていきました。

今回でATVの飛行は最後になるため、これからの国際宇宙ステーションへの補給は、
ロシアのプログレス補給船、スペースX社のドラゴン、オービタル・サイエンシズ社のシグナス、
そして日本のHTV(こうのとり)が担うことになります。

一方、ヨーロッパ宇宙機関による宇宙開発の取り組みが終わる訳ではありません。

ATVの開発と運用を通じて得られた技術は、
NASAが開発中の新型宇宙船オリオンのサービス・モジュール(機械船)の開発に活かされることになるんですねー

すでに開発は始まっていて、
2017年に実施予定のミッションで、オリオンの2号機に搭載されることになっています。

このミッションで無人のオリオンは、月の裏側まで飛行し地球に帰ってくるようですよ。