探査衛星“ケプラー”の観測データから、天の川銀河にある太陽と似た恒星の約半数に、表面に液体の水を持った岩石惑星が存在する可能性があるのかもしれません。
この研究成果を発表したのは、NASAやSETI研究所などの研究チーム。
この推定が正しければ、天の川銀河には3億ものハビタブル(生命が居住可能)な系外惑星が存在する可能性があることになります。
そのうちのいくつかは、太陽から30光年以内という比較的近い距離にある可能性もあるそうです。
“ケプラー”が系外惑星の検出に用いるのはトランジット法という観測方法。
“ケプラー”が2013年5月までのメインミッションで発見した系外惑星の数は2300個近く。
姿勢制御装置の故障による主要ミッション終了後にも、2014年からは太陽光圧を姿勢制御に利用する“K2ミッション”を開始。
さらに数百個の系外惑星を発見しているんですねー
残念ながら“ケプラー”の運用は、燃料切れにより2018年の10月30日に終了…
でも、収集された膨大なデータは、今もなお分析が続いています。
“ケプラー”により確認された2800個以上の系外惑星のうち数百個は、惑星系の“ハビタブルゾーン”に存在することが分かっています。
“ケプラー”の観測データから対象としたのは、太陽と似たような年齢と温度の星を中心に±1500度の範囲にある恒星。
その恒星を回る地球半径の0.5~1.5倍の大きさを持つ系外惑星から、主に岩石や金属から構成される惑星(岩石惑星、地球型惑星)を絞り込んでいます。
その結果、導き出された推定は、保守的な見積もりでも天の川銀河にある太陽のような恒星の約半数に、地表に液体の水を保持することができる岩石惑星が存在しうるというもの。
この場合、天の川銀河には3億ものハビタブルな系外惑星が存在し、そのうち4つは太陽から30光年以内にあり、最も近いもので約20光年の距離にある可能性があることになります。
また、楽観的な見積もりに基づいた推定だと、約75%にまで増えるそうです。
これまでも、天の川銀河にあるハビタブルな系外惑星の数を見積もろうという研究はありました。
でも、今回の研究では、その精度を高める新しい要素が取り入れられています。
これまでの研究では、恒星からの距離に大きく依存する形で、その系外惑星がハビタブルかどうかを推定していました。
ただ、今回の研究で距離に加えて考慮しているのは、恒星の温度や恒星から出ている光の種類、さらに系外惑星が吸収する光の種類の関係でした。
この結果、“ハビタブルゾーン”内にあるかどうかを、これまでよりも正確に見出すことができたそうです。
このことを可能にしたのが、“ケプラー”のデータと、ヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星“ガイア”が収集した恒星のフラックス。
つまり、一定の時間に特定のエリアで放出されるエネルギーの総量と、その恒星から惑星に降り注ぐエネルギーの量についてのデータを組み合わせることでした。
“ケプラー”のデータが示唆していたのは、すでに数十億個の系外惑星があることでした。
今回の研究により分かってきたのは、それらの惑星のかなりの数が岩石惑星で、なおかつ水が液体の状態で存在できる“ハビタブルゾーン”の中にあるかもしれないこと。
もちろん、液体の水があるかどうかについては、まだ最終的な結論を出すことはできません。
そもそも惑星表面に水があるかどうかは、生命の有無を示す数多くのある要因の一つに過ぎないことです。
でも、ハビタブルな可能性を持つ系外惑星の数について、これほど高い信頼性と精度をもって計算された結果が出たことには、ワクワクしてしまいますね。
これは“ドレイク方程式”を解き明かす上で重要なものになります。
“ドレイク方程式”とは、天の川銀河に存在する人類とコミュニケーション可能な文明の数を推定するのに用いられる方程式。
1961年にアメリカの天文学者フランク・ドレイク氏が提唱したものでした。
多くの不確定要素があるので、数学的に厳密な方程式というよりは、宇宙生物学上の思考実験として考えられています。
ただ、その精度を高めようという努力は続いていて、SETI研究の多くの指針にもなっています。
今回の研究で計算上推定された3億もの系外惑星を全て見つけ、それが本当にハビタブルなのか、生命がいるのかを探したり、そして“ドレイク方程式”の答えを導き出したりするには、まだまだ時間がかかるはずです。
いまNASAでは、“ケプラー”に代わる系外惑星探査衛星“TESS”の運用を始めています。
“TESS”が目指しているのは、“ケプラー”よりもはるかに広い範囲を観測し、より多くの系外惑星を発見することです。
また、ヨーロッパ宇宙機関とスイス宇宙局が昨年12月に打ち上げた小型宇宙望遠鏡“CHEOPS”は、“ケプラー”などが検出・発見した系外惑星を、さらに詳しく観測することを目指しています。
さらに、NASAやヨーロッパ宇宙機関では、系外惑星の発見や詳しい探査を目指した計画がいくつも立案、計画されていて、中国が2016年に建設した世界最大の電波望遠鏡“FAST”でも、地球外知的生命体の探査が行われています。
私たちは、この天の川銀河で一人ぼっちなのでしょうか?
それとも、そうではないのでしょうか?
この疑問の解明には、まだまだ時間がかかるはず…
今回の研究により、少しだけゴールに近づいた気がしませんか。
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この研究成果を発表したのは、NASAやSETI研究所などの研究チーム。
この推定が正しければ、天の川銀河には3億ものハビタブル(生命が居住可能)な系外惑星が存在する可能性があることになります。
そのうちのいくつかは、太陽から30光年以内という比較的近い距離にある可能性もあるそうです。
太陽系外にある惑星を探す衛星
太陽系外にある惑星(系外惑星)を見つけることを目指して、2009年に打ち上げられたのがNASAの系外惑星探査衛星“ケプラー”です。“ケプラー”が系外惑星の検出に用いるのはトランジット法という観測方法。
トランジット法では、地球から見て惑星が恒星(主星)の手前を通過(トランジット)するときに見られる、わずかな減光から惑星の存在を探る。
トランジット法により推定できるのは、惑星の大きさや質量、密度など。
さらに、惑星の大気を通過してきた恒星の光を分析することで、その大気の組成なども知ることができます。トランジット法により推定できるのは、惑星の大きさや質量、密度など。
NASAの系外惑星探査衛星“ケプラー”のイメージ図。(Credit: NASA) |
姿勢制御装置の故障による主要ミッション終了後にも、2014年からは太陽光圧を姿勢制御に利用する“K2ミッション”を開始。
さらに数百個の系外惑星を発見しているんですねー
残念ながら“ケプラー”の運用は、燃料切れにより2018年の10月30日に終了…
でも、収集された膨大なデータは、今もなお分析が続いています。
“ケプラー”により確認された2800個以上の系外惑星のうち数百個は、惑星系の“ハビタブルゾーン”に存在することが分かっています。
“ハビタブルゾーン”とは、主星(恒星)からの距離が程良く、惑星の表面に液体の水が安定的に存在できる領域。この領域にある惑星では生命が居住可能だと考えられている。太陽系の場合は地球から火星軌道が“ハビタブルゾーン”にあたる。
まだ数千個の候補が確認待ちになっていて、さらに数十億個の系外惑星が存在することも示唆されています。天の川銀河にある太陽に似た恒星と液体の水を持つ地球に似た惑星
今回、NASAやSETI研究所、ブリティッシュ・コロンビア大学などの研究者で構成されるチームが調べているのは、太陽に似た恒星を回る地球に似た系外惑星の存在でした。“ケプラー”の観測データから対象としたのは、太陽と似たような年齢と温度の星を中心に±1500度の範囲にある恒星。
その恒星を回る地球半径の0.5~1.5倍の大きさを持つ系外惑星から、主に岩石や金属から構成される惑星(岩石惑星、地球型惑星)を絞り込んでいます。
はくちょう座の方向約1400光年彼方に位置するG型主系列星“ケプラー452”を公転している系外惑星“ケプラー452b”(イメージ図)。太陽に似た恒星の“ハビタブルゾーン”にあり、地球に近いサイズの系外惑星だと考えられている。(Credit: NASA Ames/JPL-Caltech/T. Pyle) |
この場合、天の川銀河には3億ものハビタブルな系外惑星が存在し、そのうち4つは太陽から30光年以内にあり、最も近いもので約20光年の距離にある可能性があることになります。
また、楽観的な見積もりに基づいた推定だと、約75%にまで増えるそうです。
これまでも、天の川銀河にあるハビタブルな系外惑星の数を見積もろうという研究はありました。
でも、今回の研究では、その精度を高める新しい要素が取り入れられています。
これまでの研究では、恒星からの距離に大きく依存する形で、その系外惑星がハビタブルかどうかを推定していました。
ただ、今回の研究で距離に加えて考慮しているのは、恒星の温度や恒星から出ている光の種類、さらに系外惑星が吸収する光の種類の関係でした。
この結果、“ハビタブルゾーン”内にあるかどうかを、これまでよりも正確に見出すことができたそうです。
このことを可能にしたのが、“ケプラー”のデータと、ヨーロッパ宇宙機関の位置天文衛星“ガイア”が収集した恒星のフラックス。
つまり、一定の時間に特定のエリアで放出されるエネルギーの総量と、その恒星から惑星に降り注ぐエネルギーの量についてのデータを組み合わせることでした。
“ケプラー”のデータが示唆していたのは、すでに数十億個の系外惑星があることでした。
今回の研究により分かってきたのは、それらの惑星のかなりの数が岩石惑星で、なおかつ水が液体の状態で存在できる“ハビタブルゾーン”の中にあるかもしれないこと。
もちろん、液体の水があるかどうかについては、まだ最終的な結論を出すことはできません。
そもそも惑星表面に水があるかどうかは、生命の有無を示す数多くのある要因の一つに過ぎないことです。
でも、ハビタブルな可能性を持つ系外惑星の数について、これほど高い信頼性と精度をもって計算された結果が出たことには、ワクワクしてしまいますね。
まだまだ時間がかかるけどドレイク方程式の答えに近づいている?
今回の研究は、天の川銀河にある“ハビタブルゾーン”内の系外惑星の数について、信頼性の高い推定を提供するために、恒星からの距離以外に複数の要素が考慮された初めてのものでした。これは“ドレイク方程式”を解き明かす上で重要なものになります。
“ドレイク方程式”とは、天の川銀河に存在する人類とコミュニケーション可能な文明の数を推定するのに用いられる方程式。
1961年にアメリカの天文学者フランク・ドレイク氏が提唱したものでした。
多くの不確定要素があるので、数学的に厳密な方程式というよりは、宇宙生物学上の思考実験として考えられています。
ただ、その精度を高めようという努力は続いていて、SETI研究の多くの指針にもなっています。
SETIは、地球外知的生命体による宇宙文明を発見するプロジェクトの総称。
今回の研究で計算上推定された3億もの系外惑星を全て見つけ、それが本当にハビタブルなのか、生命がいるのかを探したり、そして“ドレイク方程式”の答えを導き出したりするには、まだまだ時間がかかるはずです。
いまNASAでは、“ケプラー”に代わる系外惑星探査衛星“TESS”の運用を始めています。
“ケプラー”の後継機として運用を開始している系外惑星探査衛星“TESS”のイメージ図。(Credit: NASA's Goddard Space Flight Center---) |
2018年4月に打ち上げられたNASAの“TESS(Transiting Exoplanet Survey Satellite)”が狙うのは、地球からおよそ300光年以内にあり、恒星の明るさによって大気が照らされている惑星。調査する恒星の多くはM型矮星という銀河系に最も多いタイプで、私たちの太陽よりも小さくて暗い恒星。
また、ヨーロッパ宇宙機関とスイス宇宙局が昨年12月に打ち上げた小型宇宙望遠鏡“CHEOPS”は、“ケプラー”などが検出・発見した系外惑星を、さらに詳しく観測することを目指しています。
さらに、NASAやヨーロッパ宇宙機関では、系外惑星の発見や詳しい探査を目指した計画がいくつも立案、計画されていて、中国が2016年に建設した世界最大の電波望遠鏡“FAST”でも、地球外知的生命体の探査が行われています。
私たちは、この天の川銀河で一人ぼっちなのでしょうか?
それとも、そうではないのでしょうか?
この疑問の解明には、まだまだ時間がかかるはず…
今回の研究により、少しだけゴールに近づいた気がしませんか。
こちらの記事もどうぞ
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