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超新星残骸に大量のニッケル…  究極的核融合プロセスの初証拠かも

2015年04月12日 | 宇宙 space
X線天文衛星“すざく”が、超新星残骸“3C 397”から大量のニッケルを検出しました。

このことは、陽子と電子が合体する“電子捕獲”が、
Ia型超新星爆発で起こることを示す初の観測的証拠になるそうです。

“すざく”がとらえた超新星残骸“3C 397”のX線画像。
可視光と赤外線の背景画像と合成。

今回の研究では、JAXAのX線天文衛星“すざく”を使って、
わし座の方向約3万3000光年彼方にあるIa型超新星残骸“3C 397”を観測。

Ia型超新星とは、恒星の燃えカスである白色矮星を含む連星系での、
爆発的核融合による超新星爆発です。

この爆発では、ケイ素やカルシウム、鉄など、
私たちの人体と生活に欠かせない元素が生成されるんですねー

今回“すざく”は“3C 397”から初めて、
クロム、マンガン、鉄、そしてニッケルによる輝線の検出に成功。

とりわけニッケルの全質量は、太陽の重さの1割に相当し、
この量は、過去に観測された他の超新星残骸と比べて、3倍から5倍という膨大なものになります。
“すざく”が観測した“3C 397”のX線スペクトル。

白色矮星は、主に炭素と酸素で構成されています。

通常の元素は、
それぞれ陽子と中性子の数は等しいのですが(炭素は6個ずつ、酸素は8個ずつ)、
超新星爆発時に、それらを材料にした核融合で生成されたはずのニッケルは、
陽子よりも中性子の数が2個多いんですねー

この差分の中性子は、どこから来たのか?

ネオンの同位体22Ne(陽子10個、中性子12個)など、
中性子を多く含む元素も、その供給源になります。

でも、白色矮星に含まれる量はわずかで、
今回検出された大量のニッケルを生成するには、とても足りません。

なので、「中性子が新たに作られている」と考えることが出来き、
そのプロセスが、陽子が電子を飲み込む“電子捕獲”になるんですねー

“電子捕獲”は、特に高温・高密度の極限環境でのみ起こる、
超新星核融合の最終プロセスになります。

Ia型超新星で“電子捕獲”が起こることは、
日本の理論天文学者を中心に、古くから提唱されてきました。

それが、今回の研究で初めて、
その確かな証拠をとらえたことになるんですねー
Ia型超新星における核融合反応。



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