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モバライダー mobarider

低質量の球状星団にも見られる化学的な異常

2016年05月10日 | 宇宙 space
球状星団は化学組成が似通った星で構成されている。

っと、長い間考えられてきたのですが、
近年になって、より複雑な性質を持つことを示す証拠が増えているんですねー

最新の観測研究からも、
決して単純でない球状星団の特徴が明らかになっています。


星団の定義

今回、ボローニャ大学の研究チームが行ったのは、
低質量の球状星団“NGC 6362”の観測。

そして、この球状星団“NGC 6362”が、
これまで考えられていたような単純な星団ではないことを示す、
研究成果を発表しています。

“NGC 6362”は、さいだん座の方向約2万5000光年の距離にあり、
年齢は135億歳、質量は太陽5万個分と計算されています。
球状星団“NGC 6362”

研究チームではヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡“VLT”を使って、
星団の周辺に存在する200個以上の巨星のスペクトルを取得し、
星の運動や化学組成から、星団に属する星160個を特定しています。

さらに、星団中の星それぞれについてナトリウムの割合を調べたところ、
その割合が大きく異なる2種類の星が混在していることが分かります。

このことは、他の大きな星団で観測される化学的異常が、
小さな球状星団である“NGC 6362”でも見られたことになり、
こうした異常を示す星団としては、
“NGC 6362”が一番軽い天体ということになるそうです。

そして、この研究から明らかになったことは、
太陽5万個分の質量を持つ星団でもナトリウムが豊富な星を形成できること。

つまり“NGC 6362”は、
球状星団というものを正しく定義する最低質量の理解において、
重要な根拠の1つを提示したことになるんですねー

なお、質量が球状星団より少なくとも1桁小さい散開星団では、
こうした異常は見られませんでした。

なので、今後の星団の形成と進化に関する理論は、
この星団の性質も説明できるようなものにする必要があるということです。


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