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天王星の自転軸はどうやって横倒しになったのだろう? シミュレーションから分かった天体衝突のシナリオ

2018年09月23日 | 天王星・海王星の観測
今回は、望遠鏡を使って発見された最初の惑星“天王星”のお話し。

天王星は太陽系7番目の惑星で、太陽からあまりにも遠いので公転に84年もかかるんですねー
不思議なのは、天王星の自転軸の傾きがほぼ横倒しになっていること。

天体の衝突が原因として考えられていたのですが、シミュレーションの結果からより詳細な衝突のシナリオが明らかになったようです。

かするように衝突したのは地球の2倍の天体

天王星の自転軸は公転面に対して97.9度傾いていて、ほぼ横倒しの状態で太陽の周りを回っています。

この大きな傾きの原因として考えられているのが、約40億年前に起こった天体衝突です。
ただ、その詳細なシナリオは分かっていませんでした。
ハッブル宇宙望遠鏡が2000年に撮影した天王星。
ハッブル宇宙望遠鏡が2000年に撮影した天王星。
今回の研究では、天王星の自転軸の傾きに影響を与えたとされる衝突を、コンピュータ・シミュレーションによって詳しく調べています。

50通り以上の衝突シナリオのシミュレーションから分かったのは、衝突は正面からではなかったこと。
地球の2倍以上の質量を持つ天体が、元々の天王星にかするように衝突したようです。

この衝突はとても強く、天王星の形を作り直し天体を横向きに傾けてしまいます。

でも、天王星の大気を宇宙空間に吹き飛ばしたり、公転軌道を大きく変えるほど強くはなかったようです。

衝突による影響は他にもあり、惑星の内部に溶けた氷や、偏った岩塊が残された可能性もあるんだとか。このことが天王星の磁場が傾いていて中心からズレている原因なのかもしれません。

一方、投げ出された岩や氷は再び集まり、天王星の輪や内側の衛星になることに。
さらには、衝突以前から存在した衛星の軌道を変えてしまった可能性もあるんですねー

天王星くらいの大きさの岩と氷の核を持つガスタイプの系外惑星は、NASAの系外惑星探査衛星“ケプラー”によって数多く発見されています。

なので今回のシミュレーションは、太陽系内の天王星の進化を説明するだけでなく、系外惑星の研究にも役立つことになりますね。


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