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重力波の検出から出た疑問「なぜブラックホールは大質量化できたのか?」

2016年02月22日 | 宇宙 space
偉大な科学の発見の後には、多くの新たな疑問がつきもの。
っというお話。

「ブラックホール同士の合体によって生じた重力波を検出」
という発表があったばかりですよね。

でも、この発表以降、
研究者は今回の重力波の検出が何を意味するのかなど、
あれこれ考え始めているんですねー

特に、太陽質量の30倍前後のブラックホールの作られ方が、
問題になっているようです。


ブラックホール連星

初めて検出された重力波は、
太陽36個分と29個分の質量を持つブラックホール同士の合体によって、
生じたものと見られています。

この質量は重力波の周波数から見積もられた値なんですが、
こうした質量を持つブラックホールがどうやって作られるのかは、
はっきりしていません。

ブラックホールは大質量星が超新星爆発を起こした後に誕生します。

天の川銀河において、
伴星を持つブラックホールのうちで最も大質量のブラックホールは、
太陽の10~20倍の大きさです。

宇宙最大の恒星は太陽の約100倍の質量を持って誕生するのですが、
恒星風によって物質が宇宙空間に吹き飛ばされてしまうので、
星の一生の最終段階では、質量が太陽質量の10倍程度になってしまいます。

つまり、今回レーザー干渉型重力波検出装置“LIGO”が検出したような、
大質量ブラックホールは形成されないことになるんですねー


ブラックホールが大きくなった理由

では“LIGO”が検出したブラックホールは、
どうやって大質量になったのでしょうか?

その疑問については早くも論説が発表されていて、
2つの崩壊する大質量星からできたと仮定すれば説明がつくそうです。

この大質量星は、
金属(ホウ素より重い元素)がとても少ない小さな銀河に、
あるはずだと考えられています。

それは金属が少ない星は、
一生のうちあまり質量を失わず、質量を多く残して一生を終えるので、
大きなブラックホールを形成しやすくなるからです。


重力波とガンマ線

研究者たちは、
この天体についてもっと多くのことを調べるために、
重力波源を様々な波長の電磁波で観測して特定しようとしています。

ただ、“LIGO”の観測で分かっているのは、
満月2000個分の広さの領域のどこかということ。

しかもブラックホールの合体では、
相当量の電磁波は生成されないと予測されているので、
観測は容易ではないんですねー

ガンマ線天文衛星“フェルミ”は、
“LIGO”による重力波検出の0.4秒後から1秒間続いたガンマ線を、
検出しています。

これは非常に興味深い現象なんですが、
“フェルミ”も、このガンマ線がどこから発せられたのかは分からないので、
重力波とガンマ線との関連は確かなものになっていません。

ブラックホール同士が一定の条件で合体すると、
ガンマ線バーストを起こすという理論予測があるので、
両者の関係性をはっきりさせることには、
意味があるんですねー

なので今後望まれるのは、高エネルギー現象の観測と、
重力波信号の検出とを同時に実施することだそうです。
パンスターズ望遠鏡のような光学望遠鏡でも、
数十億個もの銀河を探査して重力波を放出している
ブラックホールの発見を目指している



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