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探査機“ドーン”が主要ミッションを終了

2016年07月06日 | 宇宙 space
2007年に打ち上げられた探査機“ドーン”。

これまでに小惑星ベスタと準惑星ケレスの周回探査を行ってきましたが、
6月30日に主要ミッションを完了したようです。

史上初の探査機

NASAの探査機“ドーン”は、
2007年9月にデルタIIロケットで打ち上げられ、
キセノンイオン・スラスタ3基を使って、
火星軌道と木星軌道の間にある小惑星帯へ向かいます。

そして、2011年7月から2012年9月まで小惑星ベスタを、
その後2015年3月からは準惑星ケレスを、それぞれ周回しながら探査してきました。

“ドーン”は2つの天体を周回した史上初の探査機になり、
総航行距離は56億キロにも及ぶんですねー
数字で見る探査機“ドーン”。 
航続距離56億キロ、6万9000枚の画像と132GB以上の科学データ、
イオンエンジンの運転時間4万8000時間。


ベスタとケレス

ベスタとケレスは、どちらも小惑星帯に位置する大型の天体です。

“ドーン”の探査によって分かってきたことは、
ベスタは乾燥していること。

そしてケレスは、
質量比で最大で25%ほど水の氷を含んでいる可能性があることでした。

また、ベスタにはエベレスト山の2倍以上も高い山があり、
ケレスにはオッカトル・クレーターに謎の光点が見つかるなど、
数々の興味深い地形もとらえてきました。


水の存在

オッカトル・クレーターの光点については、
正体が炭酸塩鉱物らしいという研究結果が発表されています。

これほど多くの炭酸塩鉱物が、地球外で見つかったのは初めてのことでした。

主成分の炭酸ナトリウムは、地球では熱水環境で見られる物質です。

なのでケレスの内部が、これまでの想定よりも温かく、
地下には液体の水が存在していた可能性も考えられるんですねー
表面の物質の違いが分かるように疑似職で表現されたケレス。
オッカトル・クレーターに光点が見えている。

炭酸ナトリウムの他にオッカトル・クレーターで検出されたのは、
重炭酸ナトリウム(重曹)やアンモニア塩でした。

これらの物質は、宇宙生物学的な研究対象として関心の高い…

簡単に言うと、地球外生命が存在する可能性がある、
土星の衛星エンケラドスの間欠泉にも見られる物質なので、
ケレスへの関心も高まりそうです。

また、ケレス全体の地形の分析から、
大型のクレーターのほとんどは深さが2キロ以上あり、
数十億年にわたって崩れていないそうです。

このことから、ケレスの地下には最大40%(体積比)の氷が含まれ、
残りは岩や低密度の物質の混合物らしいことが分かってきます。

NASAによる低コストで効率の良いミッションを目指したディスカバリー計画、
その1つが太陽系内の探査ドーン・ミンションでした。

主要ミッションは終わってしまいますが、
“ドーン”の役割が終わってしまう訳ではありません。

主要ミッション終了後には、
当初、小惑星アデオナに向かうという計画案もあったのですが、
引き続きケレスの周回探査を続けるようです。

そして、史上初の小惑星に永久にとどまる人工物となる予定です。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 準惑星ケレスはどこで生まれた? 議論を呼ぶ探査機“ドーン”が発見したアンモニア



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