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恒星が暗くなった原因を調べていくと、惑星が生まれる現場で起こる衝突が関わっていることが分かってきた

2018年09月22日 | 宇宙 space
若い恒星の周囲には円盤があり濃いガスが回転しています。

このガスが恒星や惑星の材料になるのですが、ここ数年間で鉄の量が10倍も増えていることが恒星のX線観測から分かったんですねー

なぜ、円盤内で鉄の量が増えたのでしょうか?


ヒントは恒星が暗くなった原因にある

地球から約450光年彼方に位置する“ぎょしゃ座RW星A”は、誕生から数百万年ほどしかたっていない若い恒星です。

この恒星は数十年周期で明るさが変化していて、暗い期間が1か月ほど続いていました。

そして2011年のこと、この変光パターンに変化がみらます。恒星が暗い期間が約半年も続いたんですねー

さらに、2014年の中頃にも暗くなり、最も明るい状態に戻ったのが2016年11月。
でも、その2か月後の2017年1月に再び暗くなってしまいます。

MITカブリ物理学宇宙研究所の研究チームは、可視光線で明るかった2013年と、可視光線でもX線でも暗かった2015年および2017年に“ぎょしゃ座RW星A”を観測。観測にはNASAのX線天文衛星“チャンドラ”使われています。

その結果明らかになったのが、2017年に星が暗くなった原因は、高密度のガスによって星の光が遮られたことでした。


大量の鉄はどこから来たの?

鉄原始からの強い放射が見られたのが2017年のX線観測でした。

星が明るかった2013年と比べると、少なくとも10倍以上の鉄が星を取り囲んでいる円盤に含まれていることが分かります。

そこで、研究チームが考えた鉄の由来は、2つの原始惑星の衝突で生じた残骸にあるというもの。
少なくとも一方は惑星になれるほど大きく、部分的に鉄を含んでいたそうです。

“ぎょしゃ座RW星A”のような非常に若い恒星の周囲には、ガスやチリ、微小天体などで構成される円盤“原始惑星系円盤”が広がっています。

こうした円盤内には原始惑星も存在している可能性もあり、成長途中の2つの天体が衝突すると惑星の残骸ができます。

その残骸が中心にある恒星へ落ち込んでいくと、チリとガスの厚い層が形成されるんですねー
この厚い層が星からの光を一時的に遮っていたということです。
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残骸に取り囲まれた“ぎょしゃ座RW星”のイメージ図とX線スペクトル
惑星が若い恒星へ向かって落ち込むことは、コンピュータ・シミュレーションによってかなり前から予測されていました。

このデータの解釈が正しければ、今回の観測は、若い恒星が惑星を飲み込んでいる様子を初めて直接とらえたものになりそうです。

今後の観測で恒星の周囲の鉄の量が変化するかどうかが分かれば、鉄の供給源になった天体の大きさが分かる可能性もあります。

たとえば、今後1年から2年の間に鉄の量が変わらなければ、供給源になった天体の質量は比較的大きいと考えられます。

系外惑星とその形成プロセスを理解するために、現在多くの研究が進められています。

恒星や他の若い惑星との相互作用で、若い惑星がどのように破壊される可能性があるのか?

また、惑星が生き残る要因が何かの理解が進めば、私たち地球の生い立ちを知ることが出来るかもしれませんね。


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