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JAXA、水星磁気圏探査機“MMO”を公開

2015年04月08日 | 水星の探査
今回JAXAが公開したのは、
ヨーロッパ宇宙機関との共同計画に使用する水星探査機“MMO”。

“MMO”は、このあとヨーロッパに送られ、ヨーロッパ宇宙機関が開発している探査機と結合。
2016年に打ち上げられる予定なんですねー

“ベピコロンボ”と呼ばれるこの計画では、
水星周辺の磁気圏や大気を探査する
“MMO”を、日本側が開発と運用を担当。

ヨーロッパ宇宙機関は、
水星の表面や地下を探査する水星表面探査機“MPO”と、“MMO”と“MPO”を水星まで送り届ける“MTM、
そして“MMO”を太陽の熱から守るためのシールドの開発を担当しています。

“MMO”の目的は水星の磁場を観測し、
どのようにして磁場ができたのかを探ることになります。

水星は地球と同じように磁場を持っているのですが、地球型惑星で磁場を持つのは地球と水星だけなので、両者を比べることで多くのことが分かるそうです。


また水星の周囲には、やはり地球と同じように磁気圏があり、
形や構造が、よく似ているんですねー

でも、予想をはるかに超える高いエネルギー電子が存在していたりします。

これは、地球とは異なるメカニズムのせいなのか、
それとも地球よりも太陽に近いせいなのか…

まだ分かっていないので、“MMO”による解明が期待されているんですねー


また、水星の表面には、
ほんのわずかながら、ナトリウムを主成分とする大気が存在しています。

“MMO”では、その大気の構造や移り変わりを観測し、
どのようにして生成され、そして宇宙空間へ消失しているのかも探ることになりなす。

さらに地球の近くでは見られない、太陽の近くの強い衝撃波を観測して、
そのエネルギー過程を解明することも狙っています。


機体は八角柱の形をしていて、
側面には太陽電池と、そして鏡が張り巡らされています。

これは、水星が太陽に近いためで、
探査機は強い太陽光にさらされてしまうのを防ぐため。

鏡を使い、太陽光を反射させて、入ってくる熱を小さくし、
また探査機から宇宙空間へ放熱する効率を上げることを狙っているんですねー

さらに機体の外に出ている機器には日よけが付けられていたり、
鏡が使えない場所には、特殊な塗料が塗られたりと、
太陽光に耐えるための工夫が随所に施されています。


“MMO”はヨーロッパ宇宙機関の探査機や推進モジュールと合体した状態で打ち上げられ、
一緒に水星まで旅をします。

そして水星の北極と南極を結ぶように縦に回る、極軌道に入ったところで分離。

“MMO”は、
最も水星に近い地点(近水点)が400キロ、最も遠い地点(遠水点)が1万2000キロ、
周期は9.2時間の軌道を回り、約1年間観測行うことになっています。


ベピコロンボ計画では、2016年にギアナ宇宙センターから、
探査機をアリアン5ロケットで打ち上げる予定になっています。

まず、ロケットによって地球脱出軌道に投入されます。

ただ、地球より内側の星に行くのには、加速ではなく減速しないといけないので、
“MTM”に装備されているイオン・エンジンを使い、減速するように航行。

さらに1回の地球フライ・バイ、2回の金星フライ・バイ、
そして5回の水星フライ・バイで、これら惑星の重力も使って徐々に減速し、
打ち上げから7年後の2024年に水星に到着するという、壮大な計画…

地球と水星は、距離としては近いのですが、
到達するためのエネルギー的には遠くなるんですねー

水星の周回軌道に入るのに必要なエネルギーを、
もし地球の外側にに向けて使ったとすると、
太陽の重力圏を脱出できてしまうぐらいになります。

“MMO”はすでに完成し、日本側での試験も完了した状態にあります。

このあと4月中旬ごろにヨーロッパへ輸送され、
“MPO”や“MTM”などの他の部分と結合した状態での試験が、
始まることになるのですが、なにかスケジュールが遅れているようです…