宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

“活動銀河核”に違ったタイプ

2012年08月15日 | 宇宙 space
天の川銀河を含めて、ほとんどの銀河の中心には大質量ブラックホールが存在します。

物質がブラックホールに落下するとき、物質は角運動量を持つため降着円盤と呼ばれる扁平な円盤をブラックホールの周囲に作るんですねー

そして降着円盤内のガスの摩擦熱によって、落下するガスは電離してプラズマへ
この電離したガスは回転することで強力な磁場が作られ、降着円盤からは荷電粒子のジェット噴射がしばしば観測されます。

こうした“活動銀河核”は、観測のうえで2つのタイプに分けることができます。
チリの放射を伴い明るく高速・高温ガスが見られるタイプと、ほどほどの勢いの(あるいは全く勢いがない)ガスを持つチリ吸収が見られるタイプです。

“活動銀河核”の統一モデルでは、この2種類の見かけ上の違いは、地球から見た銀河の角度によるものとされています。

1つ目のタイプは、銀河が正面を向いていて高速ガスがはっきり見える場合で、
2つ目のタイプは、横向の銀河で銀河中心部からの光がその周囲の物質ごしに見える場合です。

でも、こうした違いは全てのケースに当てはまるのか?

ハーバード・スミソニアン天体物理学研究所では、赤外線吸収の要因となる中心核周囲の物質が、
全体に均一で高密度の小さい環状構造なのか、希薄な物質が大きく広がっているのか、それとも高密度な塊が散らばっているのかを詳しく探ることにしたんですねー

NASAの赤外線天文衛星“スピッツァー”の赤外線分光装置のデータから、比較的近くにある20個の“活動銀河”の星生成とチリ吸収を調べられました。
中心に活動的な大質量ブラックホールを持つ銀河“NGC 1068”


すると、そのうちの一部で、光の吸収の要因となるチリが環状構造よりも大きく広がった分布をしていることが分かりました。

これは統一モデルに当てはまらないケースが存在することを意味するんですねー
でも、これらの“活動銀河核”では非常に活発な星生成が行われています。

まぁー このような“活動銀河核”は見過ごされやすいのと、まだサンプル数が少ないので何とも言えないのですが…

とにかく中心核の放射を遮る物質(チリ)の分布が、
これまでの考えと異なっている“活動銀河核”が存在することが分かったということです。
さらに調査を行い、サンプルを集める必要がありますね。