雅工房 作品集

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監督の器 ・ 小さな小さな物語 ( 789 )

2016-04-03 16:37:26 | 小さな小さな物語 第十四部
今シーズンのプロ野球も、あとは日本シリーズを残すばかりとなりました。
子供の頃からのプロ野球ファンとしましては、今年のプロ野球の集大成である日本シリーズにも興味があるのですが、その反面、贔屓チームは早々にどこかへ行ってしまい、残念ながらストーブリーグの方が気になっているのも事実です。
ところが、監督交代と後任人事が大々的に報じられたものですから、しばらくは、プロ野球関係のニュースが楽しめそうです。

それにしても、今年は多くのチームで監督の交代があるようです。既に後任監督が決定しているチームだけでもそこそこの数ですから、コーチ陣をはじめ来季に向けてのチーム作りの話題には事欠かないことでしょう。
去る監督、新しく就任する監督、引き続き采配を振るう監督も含めて、報じられている範囲で考えてみても、やはり、監督には監督の器というものがあるような気がします。それは、何も監督に限ったことではなく、あらゆるチームや組織にとって、チームリーダーにはそれなりの器が求められることは当然ですが、ここでは、プロ野球の監督に絞って考えてみたいと思います。

以前に、あるプロ野球解説者が、「監督の采配によって勝敗が左右される試合は、年間にせいぜい二、三十試合だ」と話されていた記憶があります。試合数は記憶相違があるかもしれませんが、もっと少ない数字だったような気もします。
つまり、年間百四十試合だとすれば、残りの百十試合余りは、誰が監督であっても大差なく、素人が監督面して座っていても、強い方が勝ち弱い方が負けるものだというのです。
この話、とても興味深いと思うのです。
監督の能力など年間の成績には大した影響はないという取り方もできないことはありませんが、実は、優勝チームと二位、三位のチームとの差は、ほとんどの年が十ゲームも開きませんから、二、三十試合程の勝敗を左右させる采配は、とても重要だといえるのです。さらに重要なことは、残りの百試合を越える試合は、戦う時点でのチーム力の差にほぼ比例するとすれば、試合に臨むまでのチーム編成やコンディション調整など、監督を中心としたチーム作りこそが重要であり、むしろこの部分に監督の器の大小は現れるのかもしれません。

プロ野球の監督といえども人間であり、感情もあり性格もあるはずです。強気の人、慎重な人、早読み出来る人、粘り強い人、叱って育てる人、褒めて育てる人、等々様々であり、またそれらの特徴も一方的ではなく、混在しているはずです。
さらに、プロ野球となれば、勝てば良い、というわけにはいかない半面もあります。興行成績を無視してはプロスポーツは成り立たないはずです。
また、チームの成績を浮上させられないまま辞任に追い込まれた監督が、若手の育成やチームの体制を強化し続けていて、監督交代後に花開くことがあります。反対に、鋭角的な成績向上を見せ、華やかなスポットライトを浴びた監督の後任が、戦力や人材を食い散らかされた後始末に追われ、貧乏くじを引かされたことになる姿も時々目にします。
いずれにしても、来年も、プロ野球には十二人の監督がチームを率います。それぞれの監督が、どの場面でどのような動きを見せるのか、私たちには見えない部分でどのような施策を行っているのか、好き勝手に、そして無責任に、想像させていただくのが実に楽しみです。

( 2015.10.21 )

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