一燈照隅

日本が好きな日本人です

関大尉を知っていますか。

2009年01月25日 | たまには読書
「関大尉を知っていますか」ジャネット妙禅デルポート著 光人社

関大尉とは今更説明する必要もないでしょうが、昭和十九年十月二十五日フィリピンのマバラカット基地から飛び立ち、神風特別攻撃隊敷島隊の隊長として始めて米空母に体当たり攻撃を敢行しました。享年二十四歳

著者は南アフリカ生まれ23歳に日本の仏門で僧籍に入られた女性です。
特攻隊についてはこれまでも外人の著書がありますが、この本は著者が関大尉自身として爆弾を抱いて最後の突入までを表している内容で、これまでの特攻の本と少し違います。
関大尉の生家の有る愛媛県伊予西条や伊予三島にも伺い、子供時代から関大尉に話しかけるように書かれています。

いくら仏門に入ったと言っても、南アフリカ出身の女性がここまで特攻隊のことや日本人の精神を書いていることが凄い事と思います。
と同時に、戦後60年以上過ぎて、英霊達の思いが忘れ去られた日本になってしまってるのではないでしょうか。

プロローグに「失敗の高貴ー日本史における悲劇の英雄」から以下の引用が書かれています。


「戦闘における戦士の心理を説明したり、納得したりしようとする際によく言われる、敵愾心(てきがいしん)や戦死した戦友の仇討ちをしたいという願望は、特攻隊員の心の中に重きをなしていなかったように思われる。
彼らはしばしば、神聖な祖国の土を外敵に踏みにじられないための国防の義務とか、親族を守るために自らの命を捧げることとかを語ってはいる。しかし、これらのことは敵軍兵士にたいする心底からの嫌悪感や西洋人にたいする人種的な敵愾心のような形にまではなっていないようである。
むしろ彼らの言葉は、日本人として生まれてこのかた受けた恩恵にたいして、報恩をしなければならないという気持ちを表現しているのではないだろうか。恩恵を受けてきた、今も受けているという気持ちと、いざという時に必要とあればどのような犠牲を払っても、その恩に報いたいという気持ちが、平戦時を問わず何世紀にもわたって、日本人のモラルの力強い底流をなしていたと思うのである。
太平洋戦争中、報恩の気持ちは特攻隊員にだけ特有のものではなかったかもしれないが、『恩』の意識こそは特攻隊員の心を強力にかりたて、彼らに自己犠牲を、報恩のための究極の道と確信させたものであったと言えよう」


上記の文のようにこの本では分かりやすく書かれていますが、原文はアイヴァン・モリス著「高貴なる敗北ー日本史の悲劇の英雄達」中央公論社 に以下のように書かれていました。

カミカゼ攻撃隊員の心理を覆うものの中に、敵への憎悪、復讐欲―戦友の死を見て復讐心を起こすという動機が、しばしば、戦時の兵士たちの憎悪の激情を説明、もしくは容認する際に言及される―は、ほとんど現われてこない。
彼らは、外国がもたらす汚れから日本の清らかな土地を守るため、また家族を防衛するため生命を捧げる義務があると、しばしば書いている。ところが、ここから敵兵に対する憤怒の情が生まれることがない。また、西洋人に対する人種的敵意が出てこない。むしろ、義務感、すなわち誕生以来彼らの上に与えられた数々の好意に報いなければならないという責任感が強く前面に押し出されているのである。
感謝の負目を認識するというこのような意識を、「恩」の感覚と言う。その「恩」に報いるためにいかなる犠牲をも惜しみたくないという断固とした態度が、日本人の道徳観の基礎を成しているものである。「恩」を知ること、および報恩の決意は、数世紀にわたって、平和時においても戦時においても日本人の心に強力な反応を喚び起こすものであった。太平洋戦争の期間、この恩の動機は特にカミカゼ攻撃隊員に強く働いていたようである。もちろん、これは彼らのみに限られるものでないことは確かだ。しかし彼らが熟慮の結果集団的自己犠牲の道へ進んで行ったことは、報恩の意識の強さを量る尺度になる。






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3 コメント

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凄い人 (70代の青年)
2009-01-26 10:52:32
特攻隊員で有りながら唯一「志願者」でない特攻隊員ではないと思って居ます。

海軍士官学校での「近代戦争」の歴史・作戦・教育を受けた人が100%の死亡確率の作戦に疑問を感じての出撃をされた。

作戦指導者・大西中将本人が「下道」と言われて居る様に最悪にして最高の愛国心の発露を実践された恩人達。

この人たちを忘れた戦後の日本人は彼等の心・犠牲心・愛国心は美化しなくても語り継がれなければならないと思います。

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ご親族は健在。 (02-888)
2009-03-20 13:38:49
さなえもんと言うバンド(音楽)のメンバーの1人に関大尉のご親族がいますよ。

さなえもんオフィシャルブログ
http://ameblo.jp/sanaemonblog/
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Unknown (1560)
2010-07-03 11:45:00
昨年ジャネットさんに会いました。
カナダに住んでいらっしゃいます。
お元気そうでした。
名古屋の徳川町に住んでいたことがあるそうです。
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