一燈照隅

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兎の手品(東京裁判8)

2006年06月28日 | 東京裁判
東京裁判の弁護側冒頭陳述で清瀬一郎以外、高柳賢三弁護人も行うことになっていましたが、裁判所により、全文却下となりました。
しかし、これは最終弁論での朗読は認められました。
文章的に難しい部分もありますが、国際法を以てこの裁判がいかに不当なものか過去の例などを出して説明して格調高いと言えるでしょう。


「兎の手品」の比喩は今日の流行であるやうだ。イギリス国会において国内輸送機関の国有に関する政府の計画を批判するにあたつてレデイング卿は、政府は比較的短い期間に「国有といふ帽子の中から社会主義の兎を」とり出す事に頗る堪能であることを示したといつた。又全印議会においてアチヤリア・クリバラニ氏は、イギリス側の提案した憲法草案を批判して、ヒンドスタン語でイギリス人は都合の好いときにいつでも帽子の中から兎や卵をとり出すといつた。私もこの世界的流行を真似て検察側の議論を特徴づける精巧に編み上げられた詭弁の網を一気に解消せしむる為に兎の手品にたとへる事を許されたい。手品師は通常の帽子を借りてきて、これを、テーブルの上に置く。そしてこれに向つて何やら呪文を唱へる。さて帽子をとりあげる。するとテーブルには小さな兎が、うようよ走りまはつてゐる。帽子の中にもともと兎がゐたのではない。手品師が兎をその中に入れたまでである。

検察側の議論はまさにこれと同様である。検察側は普通の帽子、即国家国民を拘束する国際法といふ綺麗なそして上品な周知のシルクハツトを持つてきて、これをテーブルの上に載せる。そしてこれに向つて呪文を唱へる。その呪文の中から「違法」とか「犯罪的」とか「殺人」とかいふ言葉が次第に大きく響いてくる。そして帽子をとりあげると、たちまち裁判所の中には、国内法のここかしこから借りて来た新生の国際法理論が現はれて、観衆を驚かせる。どこからそれらをもつてきたかは重要ではない。もともとそれらの理論がシルクハツトの中になかつたことだけは確かである。検察側に於てそれらを、シルクハツトの中に入れたのである。

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3 コメント

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一般アメリカ人 (J)
2006-06-28 17:52:37
一般のアメリカ人は東京裁判をどんな風に捕らえているのでしょうか。

内容を知っているのでしょうか?

知っていて恥ずかしいと思わないのでしょうか。

まぁ、WBCのアメリカの報道を見ていたら、

何となく『なるほどねぇ』とは思ったのですけど。
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追加 (J)
2006-06-28 18:04:47
WBCのときもフェアプレイを求める日本人を見て思ったんですけど、

実は日本国民の性質って、

本質的には戦前とあんまり変わらないんじゃないでしょうか。

以前は、戦前の一般の日本人も宣伝や統制などによって誤判断したようなイメージがありましたけど、そんなことはないような気がしてきてます。
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Unknown (まさ)
2006-06-28 20:40:10
Jさん、

アメリカ人の殆どが知らないと思います。

歴史におけるアメリカの恥になりますから。単純に真珠湾攻撃が騙し討ちで、アメリカは反撃したとしか思っていないでしょう。

東京裁判の記録を見れば、決して騙し討ちでない事が分かります。



国民性は簡単に変わらないと思いますよ。

2600年以上も天皇が続いているのが証拠です。

戦前と今も変わっていません。

今回のワールドカップを見ればよく分かると思います。大会が始まる前のマスコミや国民の熱狂ぶり。

直前の親善試合でドイツと引き分けただけで、日本チームは決勝トーナメントまでやれると思い込んだ人がどれだけ居たことか。

ところが、予選突破できなかったらジーコの采配を問題にする。

戦前も全く同じでマスコミや国民が政府や軍を突き上げていたのが事実です。

敗戦と共に手のひらを返したのが本当でしょう。

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