茶がゆについて、親友のみえちゃんから問い合わせがあったので、
少し調べてみることにした。
私は、奈良の吉野の出身で、山また山、吉野杉に囲まれて育った。
急勾配の山肌に、家が点々とする山村で、大昔は田んぼもあったらしいが、
水のやりくりがままならないせいか、気候条件があわないせいか、
どこも作る家はなくなったという。
杉の木がいっぱい植わったところに、昔の田の後があったりした。
さて茶がゆは、子どもの頃から、母がよく炊いてくれた。
お鍋に茶袋に入れたほうじ茶をぐつぐつ真っ黒になるまで煮て、
そこにといだお米を入れ、さらに煮る。
お米が、ふわっとしたら出来上がり。
きゅうりのひね漬け(古漬けのこと)とちりめんじゃこを醤油であえて、
このお茶がゆで食べるのが、夏のお昼ご飯のメインメニューで、
何杯でも食べられた。それから、川へ勇んで泳ぎに行ったものだ。
さて、この茶がゆについて、ちょこっと調べてみた。
茶がゆも地域によって、いろいろあるようで、
和歌山では、さつまいもを入れた芋がゆ。
それから、奈良でも塩を加えるところがある。
奈良市のお茶粥のお店なんかは、塩入ってたんじゃないかな。
四国の香川でこんな記事があった。
「田んぼがなく米が採れない塩飽の島々では、古くからこの茶がゆを常食としていた。米は魚を売って手に入れる貴重品。茶がゆは米を「食い延ばす」ための手段だった。」
ちなみに、ここの茶がゆは、釜に湯を沸かして高知県大豊町産の
「碁石茶」を煮出し、米とサツマイモを入れて三十分ほど煮込めば出来上がり。と書いてあった。
結局、昔から米が豊富ではない地域で、少しでも腹をふくらませるために、お茶で炊いたのが茶がゆらしい。米ではなく、芋を入れたり麦などを入れたりするのも、母の子ども時代(戦時中)には、よくあったそうだ。庶民の生きる知恵のようなものだろう。私の場合、父が高血圧だったのもあって、どうも塩分の入っている料理は避けたくなる。茶がゆも、塩を入れるとたしかに口当たりはいいのかもしれないが、ほうじ茶の香りはそれだけで充分おいしいと思う。
また、茶がゆについてご存じの方いましたら、教えてください。
それと、私の出身大学の先生が書いていたのだが、米を入れたらかき混ぜないで、中火から弱火でじっくり煮るそうだ。そうすると、粘りが出ずさらっとしたおかゆができあがる。でも、実際には、米が底に沈んで鍋の底にくっついたりするので、2~3度はかき混ぜたほうがいいと思う。また、残りご飯で母はよく作っていた。こちらは、米から炊くのと比べると、かなり粘りのあるおかゆになるけれど、電子レンジなんてない時代に、暖かくして食べられる良い方法だった。