NPO法人美濃の森造隊だより

人と森林との最適な関係を探るため、岐阜県恵那市を中心に人工林の間伐をしながら森造りを行なうグループの活動報告です。

夏の終りとバーベキュー(8月22日)

2009年08月25日 | 間伐
明け方激しい雨音で目が覚めました。
夏の終わりを告げる秋雨前線がゆっくり南下しながら日本列島のあちこちで雷雨を発生させていたようです。
しかし幸い出かける頃に雨は止み、北西の空に青空も覗いていました。
少し早めに中野方の鈴村さん宅に着くと、既に榎君が来ていました。
準備をしている内に横井さんと天野さん、少し遅れて宇井さんが到着してこれで今日のメンバーは全員集合です。
鈴村さんは木工所で仕事があるので打ち合わせだけをして後で合流となりました。
天野さんが本格的な間伐作業は初めてなので、梯子、ロープを使った基本的な間伐方法を学んでもらいながら横井さん、榎君3人で森の奥での間伐。
私と宇井さんと後で合流をした鈴村さんとで家の直ぐ裏の松の大木の伐倒を行ないました。
松の大木は明るい家側に枝を広げ傾いていますので、チルホールを使って森側に強引に倒さなくてはなりませんが、何しろ重量があるので牽引能力2.5tのチルホールを使いました。
ロープをかける位置も出来るだけ高くと家の二階まで上れる大きな梯子を持ち込みました。
梯子もチルホールもロープも全て大型で重く、足場の悪い山の中で持ち運び設置するのはとても大変です。
掛木になった松もありました。

これはチルホールを画面右手前に再設置して引き倒しました。
これくらいの松になると倒れる時には地響きがします。

ようやく予定していた松を切り倒す頃には3人とも口を利く元気もありませんでした。
蒸し暑さにも参りました。
庭に戻り、山から引いた水場でヘルメットに水を汲み頭から被るとやっと少し生き返りました。
休んでいる内に奥で間伐をしていた3人も戻って来て、バーベキューの開始です。


手前の水場から竹を割った樋で流しソーメンから始まりました。
それから焼肉と全て鈴村さんの畑で出来た野菜のバーベキュー。
そして秘伝のたれで焼き上げた大きな五平餅。

日が山入端に隠れるまでたっぷりと味わいました。

目の前の田圃では稲穂が実り、西日に羽を輝かせて赤とんぼが群れを成して飛び、すっかり秋の風情です。
少し勢いの衰えた西日と芳しい草の匂いが短い夏の終わりを告げていました。

翌日少し遅めの午前中に鍋山の棚田の間伐現場に行ってみました。
空気が入れ替わり、季節が変わった鍋山での風景です。
栗が実っていました。
もう少しで収穫ですね。
栗きんとんは8月下旬から出回るようですが、地元の栗を使った栗きんとんは9月の半ばから11月まで味わえるそうです。


鍋山を見上げると、空が高くなっていました。


夕方、すっかり実った美乃坂本旧中仙道脇の田圃から見た笠置山です。
昨日はあの山の左手麓で木を切っていました。
昔の旅人もこれと同じような風景を見ていたのでしょうか。

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これから(8月16日)

2009年08月19日 | 間伐
今日は先週少し作業をした鍋山の棚田跡地で間伐作業をしました。
参加したのは私と今年から仲間に加わってくれた榎君です。
このブログを見て参加したいとやって来てくれました。
榎君は現役の岐阜県立森林文化アカデミーの学生です。
宮城県でサラリーマンをしていたのですが、森林に係る職業につくために岐阜県にやって来て林業技術を学んでいます。
気骨のある若者?ですね。



間伐作業は順調に進みました。
車を降りてから現場まで10分程歩いて上るのですが、重い荷物の運搬は榎君担当です。
力のある仲間と仕事をするのは本当に快適です。



早目のお昼にして、木漏れ日の洩れるようになった林内で風に吹かれながら、この風の快適さは都会では絶対に味わえない贅沢だよね、お金を出して締め切ったジムでランニングマシーンを相手にダイエットに励むなんて馬鹿らしい事をしないで、山で汗を流せば直ぐに痩せるよなどとおしゃべりに花を咲かせました。
風のこと、水の事、自然農のこと、全てが分子レベルで循環し関係し合っていること、そして生活の事、林業のこれからの事を沢山語り合いました。
(どちらかというと私の方が一方的に語ったかもしれません。)
最近山に入ると身体を動かしているよりおしゃべりをしている時間の方が多いなあ。

午後からもう一汗かいて早めに山を下りました。
のんびりした間伐でしたが、森が生き生きとしてきました。
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棚田跡地での間伐(8月9日)

2009年08月12日 | 間伐
昨日(8月8日)あまりの暑さに負けて早めに作業を切り上げたので、帰りに小栗さんの家に寄りました。
丁度在宅でしたので、以前からお願いしていた森の健康診断チームリーダー実習用と森の健康診断間伐体験用に新しい間伐地を案内していただきました。
今回の現場は自宅から少し車で林道を登り、荒れた林道を更に歩いて少し上った所にある棚田の跡地でした。

そして今日改めて詳しく現場を見るために山に入りました。

雨水でえぐられ夏草で覆われた林道を歩いて上って行くと、棚田の名残である石積みが草の間に見えてきました。
そしてその上の田圃の今の姿です。




棚田の一番上まで来ると、田圃はほとんど森に還っていました。


この奥の棚田を取り囲んだ山の斜面を間伐しました。
ここは斜面がスプーンでえぐられたような地形で表土の流失がひどく、直ぐにでも間伐が必要だったからです。

施工前の状況です。


施工後の状況です。

ここのように傾斜が急で表土の流失が激しい場所では、間伐だけではなく間伐材を積極的に使った土留めの対策が必要に思えます。
しかし足場もままならぬこの場所では今回は間伐だけで精一杯でした。

斜面を降り棚田に戻りここでも少し間伐をしました。
少し落ち着いて周りを見回すとあちこちに小さな水の流れがあり、石垣を崩している所もありました。
今年は雨が多いので余計に水の流れが目に付くのかもしれません。
山の中腹で石垣まで積んで水田を造り、米を収穫しようとした先人の努力と執念の跡は、夏草に覆われ水に崩され、元の山林に戻ろうとしているようです。
高度経済成長期に大きく変わった日本人の価値観がもたらした結果が眼前にありました。
今その価値観が揺らいでいます。
しかし、新たに進むべき道はまだはっきりとは見えて来ません。

今日も蒸し暑く、午前中だけで2ℓの水を消費してしまいました。
作業中のなんでもない生ぬるい水がとてもおいしく感じ、休憩がとても幸福な時間に感じます。
普段は何気なく過ごしてしまう時間が、この場所では濃密に過ぎて行くようです。
しかし、流石に体力の限界を感じ、今日は午前中で山を下りる事になりました。
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ヘボ取人に出会う(8月8日)

2009年08月10日 | 間伐
夕立山に近い新しい間伐地に着くと車が止まっていました。
運転手さんに声を掛けると、夏の暑さを避けるため標高の高い山中にミツバチの巣箱を置いていて、様子を見に来たそうです。
幸い我々の現場とは道を挟んで反対側に巣箱はあるようで、問題は無さそうです。
車が去ってからゆっくり準備して現場に向いました。
現場に着いて荷を降ろし、作業の段取りを相談したりチェンソーの目立てをしていると一人の若者が近づいてきました。
先程の運転手さんの知人だそうです。
この若者はヘボ取人で、我々の行く先に巣があって我々が知らずに踏み荒らしてしまわないか心配で告げに来との事でした。
巣まで案内してもらうと幸い間伐地から離れていて、こちらも心配ありませんでした。
若者によればここら当たりはヘボの巣がまだありそうで探しているというので、早速ヘボ取の技を見せてもらいました。


写真は既に蛙の肉に寄って来たヘボに鳥の肉片を掴ませようとしているところです。
地面を少し窪ませ、枝を組んで皮を剥いた蛙が吊り下げられています。
その向こうに同じようにして鶏肉が吊り下げられています。
蛙の肉に寄って来たヘボを枝先に止まらせ、予め先を紙縒り状にした綿で印をつけた鳥肉片を掴ませようとしています。
鶏肉片を掴んだヘボは一旦近くの枝に飛び移り、体制を整えて一気に巣へと戻って行きます。
その素早さは想像以上で、あっという間ヘボの姿をに見失ってしまいました。
しかし、ヘボ取人はその後を追ってどんな山の中でも駆け抜けなくてはなりません。
簡単には出来る技ではないようです。

ヘボ取人になるのは諦めて、間伐に戻りました。
今日も松を中心に伐倒しました。

松の切り株です。
切ってから30分もしない内に松脂がたっぷり染み出して来ました。
今盛んに成長しているようです。
少し心が痛みます。
こんな木を切ってしまっていいものだろうかと疑問が頭をよぎりました。

今日の蒸し暑さはかなりのものです。
少し身体を動かすと直ぐ休みたくなります。
どうやら動いている時間の倍以上の時間を休憩しているようです。
2ℓのペットボトルに持って来た水が午前中で2/3無くなりました。
そんな訳で今日もおしゃべりしている時間が長くなりました。
山でのこんな時間の過ごし方も楽しいものです。
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