NPO法人美濃の森造隊だより

人と森林との最適な関係を探るため、岐阜県恵那市を中心に人工林の間伐をしながら森造りを行なうグループの活動報告です。

森の中でひっそりと艶姿 (11月23日)

2010年11月25日 | 間伐
今年2月に佐々良木の足立さんから紹介された、同じく佐々良木の佐々木さんの森にやっと入りました。
現場は佐々良木寺張りの裏山、道路沿いの元桑畑です。
元と言っても50年前の事で、今は堂々とした人工林です。
舗装された道路沿いで傾斜もゆるく、木々は程よい程度の込み具合と高さがあって、小規模な間伐体験に最適な現場でした。
でももう今年中には間伐体験も無さそうなので、作業に入る事にしました。

現場に隣接してこんな紅葉がありました。


地面までが落ち葉で赤く染まっています。
眩しいくらいの艶姿です。


そしてこれが今回の間伐現場です。


掛木になりましたが、右に回転させ倒しました。


作業終了後の現場です。


間伐体験用に目星をつけていた現場だけあって、ここでは実に快適な作業が味えました。
差し込むようになった木漏れ日は温かみがあり、切り口から立ち上るヒノキの香りや足元の枯草の甘い匂いも甘美で、掛木は教科書通りに処理出来、危険程度も想定内。
ひょっとすると今まで一番快適な間伐現場だったかもしれません。
やはりこの現場は間伐体験用に残しておくべきだったかもしれません。

ところで、昼食も水も忘れてしまったので昼時に近くの道の駅「らっせいみさと」へ行くと、駐車場は一杯で、溢れる人混みで食堂にも入れず、結局自動販売機でペットボトル飲料のみしか買えず引き上げて来ました。
いい天気と紅葉に誘われ出かけた人々が、車で行ける手頃な場所に集中していたようです。
混雑にはまり込んでしまった人達は、その後の秋の休日を楽しく過ごす事が出来たのでしょうか。
最近山の中ばかりで休日を過ごしている身にとって、混雑や人混みにはとても落ち着かない気分にさせられます。

帰り道での鍋山の全景です。
人工林ばかりで紅葉が少なく、なんとなく温かみが感じられません。
この風景にいつかもう少し紅葉を散りばめてみたいですね。

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講演依頼 (11月21日)

2010年11月24日 | 間伐
今日も中野生産森林組合の作業です。
現場は前回と同じです。

相変わらず人工林の周りや林床の潅木を丸刈りにしましたが、前回と違うのはチェンソーが3台新品になって、チャップスも3本新調されていた事です。
そして更に驚く事に、12月18日の理事会で森林についての講演を頼まれてしまいました。
予想以上の展開の速さです。
私が講演なんか出来るのかという不安もありますが、面白くなってきました。
環境や森林に今までまったく興味の無かった60過ぎの男たちに、いったい何を語ればいいのでしょうか。
さてどうなる事やら。
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静かな森 (11月20日)

2010年11月24日 | 間伐
割り箸作りで御世話になった小栗さんの「まだ間伐したい所があるんだけれど」という言葉が気になっていたので、出掛けてみました。
朝から暖かく快晴で、天気は申し分なし。
こんな風にふと思いついて気楽に山に向う事が出来るのは、地元に住んでいる者ならこそですね。
今回の現場は、小栗さんの自宅から谷沿いに上り、大きな堰堤を越えて行きます。
堰堤を越えた直ぐは、足元がぬかるみミズゴケが生え倒木が苔むした手付かずの長い時間が流れてきた静かな森を行き、そこを過ぎ急な尾根に取り付いて20分程息を切らして今回の現場に到着です。

現場の森です。
20年ほど前に植林した場所ですが、ヒノキの勢いが天然木の勢いに押され気味です。
こうした状況では、ヒノキの勢いを盛り返すのか、天然林に戻すのかの判断が難しいところです。
結局半分はヒノキを優先し、半分は天然木を優先させました。


小栗さんが昼食で山を下りている間、私は現場から更に山頂近くにある林道まで上ってみました。
途中で見かけた森です。
あまりに細いので自重で曲がってしまったヒノキが見えます。
人工林がゆっくりと自らの死を選んでいるかのようです。


下る途中では、暗い林内からの外の明るさが際立っていました。


早々と作業が終わり、再び現場に上って来た小栗さんとおしゃべりをしていると、昔はこんな山でも必ず誰かに出会ったものだ、薪集めのおばさんや子供、山仕事の男たちと出会っておしゃべりをしたもんだ、今ではもう誰にも会わない静かな山になってしまったという話になりました。
山に人が通わぬようになり、人工林は、ある場所では自然林に覆われかけ、細く育ちすぎた木は曲がり折れて天然木に場所を譲り、まるで山全体が人の痕跡を消そうとしているかのようです。
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名古屋港から中野方への間伐体験ツアー (11月14日)

2010年11月16日 | 協力
「名古屋みなと建設工事安全連絡協議会」の一行74名を迎えて、中野方のグリーンピア跡地で間伐体験が行なわれました。

中野方の秋は深まって来ています。
朝の木曽川です。

水面のかすかな航跡は、水鳥が飛び立った跡です。

中野方川沿いの山々です。
曇り空でくすんで見えますが、見事に色付いています。
ここら辺りでも、全山広葉樹の山はあまり多くありません。


大型バス2台に分乗しやって来た皆さんを前に、今回の主催者「中野方まちづくり委員会」、「杣組」の皆さんが歓迎の挨拶です。


挨拶の間に早くも昼食の準備が始まりました。
大勢の皆さんを迎えたので、舞台裏のスタッフも大忙しです。


挨拶の後は、「杣の杜学舎」の鈴木さんの人工林の問題点と対策概論を聞き、早速間伐現場に入りました。

まず間伐作業のデモンストレーションを見て。


夫々8班に分かれて間伐作業の体験です。

狙ったところに倒すのが大切です。

あっという間に午前が終わり、きのこご飯が絶品の不動滝の御弁当、具沢山の豚汁、秋刀魚の炭火焼、猪のスペアリブ、サツマイモのホイル焼きのお昼ご飯になりました。
このボリュームですから、全てを食べつくす前に午後の予定が始まってしまい、慌ててまた現場に戻るはめになりました。

午後からは伐倒木の玉切りを行い、簡易集材機を使った集材、運搬の様子を見学しました。


午後3時には全て無事終了しました。
食事を含めて盛り沢山のメニューで、あっという間に1日が終わってしまった感じです。
少し盛り込み過ぎだったかもしれません。
参加者の皆さんは間伐体験を楽しく堪能出来たのでしょうか。
この体験が、参加者皆さんの森林との関わりの次のステップになればいいですね。

帰り道、再び木曽川の鏡のような水面に写った晩秋の風景です。
もう直ぐ紅葉が落葉に変わり、足早に秋と冬が交代します。


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無意味で危険な作業 (11月7日)

2010年11月09日 | 間伐
中野生産森林組合の森林作業に参加しました。
今回の現場は、恵那と竹並の境界にある低い丘陵地帯を複雑に延びた道路沿いに細長く位置し、20年生程、樹高5、6mの間伐が必要な人工林です。
現場の周囲には転々と小さな工場や田が広がり、道路沿いには不法投棄のゴミも目に付きます。
今回の作業は、間伐ではなくこの人工林の下刈りでした。
現場に着くと、皆一斉に刈払い機で林の中の低い潅木や草を刈り始めました。

今までのところ、中野生産森林組合の作業はほとんどがこの人工林の下刈りです。
どうしてこんなに一生懸命下刈り作業をするのでしょうか。
しかも理由の説明はありませんので、作業員は何のために下刈り作業をしているのか知らずに漫然と作業をしています。
驚くべき事に、どうやら指示している側も合理的な理由を知らない様子です。
ただ今までそうして来たからというだけの理由で、無益で有害な作業が続けられています。
人工林での下刈りは、植栽したばかりのひ弱な苗木を守るためにだけ必要です。
20年もたった人工林で必要なのは、せいぜい除伐です。
しかも数十年後のヒノキの価値を考えたら、今はそれさえ必要ないかもしれません。
間伐の目的の一つが下層植生を育てる事なのに、必要な間伐はしないでせっかく育った下層植生を根絶やしにする矛盾。
これはいつか正す必要があります。

作業方法もかなり問題があります。
皆が一斉に狭い場所で刈払い機を使い、安全作業の為の適切な間隔が保たれていません。
間伐をしているグループが掛木処理に悪戦苦闘しているので見に行くと、使っているチェンソーはチェーンブレーキが壊れています。
チェンソーの扱いも実に乱暴で、チェンソー用の防具も身につけていません。
これは流石に見かねて、作業を止めるようアドバイスしました。
全ての生産森林組合という組織がこんな様子だとは思えないのですが、多くはこの程度の意識と技術の可能性があります。
だとすると、日本の林業衰退の原因が外部からの要因ではなく、少なからず内部にあったのだと思わざるを得ません。
これは直ぐにでも現場での教育と意識改革が必要です。
かなり困難な仕事になりそうですが、何とか少しずつでも改善していきたいものです。
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恵那山初冠雪 (11月3日)

2010年11月06日 | 遊び
快晴の昼下がりの根ノ上湖にやって来ました。
ボート乗り場では、乗り手の居ないボートと無人のボート小屋が日向ぼっこをしながら眠っています。


そこへ白鳥2羽が舞い降り、湖面を悠々と泳ぎ始めました。


あわててその白鳥を追いかけボートで湖面に滑り出ると、初冠雪の恵那山が姿を現しました。


とうとう主役の冬が登場しました。
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時雨 (10月31日)

2010年11月04日 | 間伐
台風14号は東海地方を掠めて海上を北上したため、恵那では土曜日(30日)の昼前には雨が上がりました。
そこで、間伐作業中に折れた楔を打ち込む小型トビの柄を以前切り倒したリョウブの木で作ろうと思い立ち、馬禿に上りました。
馬禿はこんな具合で北東方向の見晴らしが良くなりました。
正面の一番奥には御嶽山、手前左の山並みの膨らみ部分は二ツ森山、右手には阿寺山系の山並み、そして一番手前に恵那の市街地が一望出来ます。

山に囲まれ静に佇む小さな街並み、ちょっぴり愛おしい故郷です。

日曜日(31日)は、久しぶりに三郷の里山に入りました。
ところが、天気は台風一過の晴天どころか時雨模様で、9時頃には冷たい小雨が降り始めました。
仕方なく拓志館でしばらく待機し、なんとか降り止んだのを見計らって現場に出向き、先ずは火を熾しました。

屋根が無くても火があれば小雨程度なら何とか凌げます。

天気は一向にはかばかしくありませんが、作業に入りました。
今回は雑木林の中のヒノキの伐採です。

広葉樹が大きく枝を張り出している林での伐採は、通常の間伐のような具合には行きません。
倒すのにはかなり苦労します。

田が日陰になるからと依頼されて林縁でウラジロガシを切りました。
ドングリが沢山ついていました。
今まで山ではほとんど見かけませんでしたので、何だかもったいないような気がします。
幹は斧や鍬の柄に再利用しようと思います。




里山が大分明るくなって、中を歩くのが楽しくなってきました。
手入れをすれば気持ちのいいこんな里山が、きっと他にもいくらでもあるのでしょうね。
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