NPO法人美濃の森造隊だより

人と森林との最適な関係を探るため、岐阜県恵那市を中心に人工林の間伐をしながら森造りを行なうグループの活動報告です。

棚田跡地での間伐(8月9日)

2009年08月12日 | 間伐
昨日(8月8日)あまりの暑さに負けて早めに作業を切り上げたので、帰りに小栗さんの家に寄りました。
丁度在宅でしたので、以前からお願いしていた森の健康診断チームリーダー実習用と森の健康診断間伐体験用に新しい間伐地を案内していただきました。
今回の現場は自宅から少し車で林道を登り、荒れた林道を更に歩いて少し上った所にある棚田の跡地でした。

そして今日改めて詳しく現場を見るために山に入りました。

雨水でえぐられ夏草で覆われた林道を歩いて上って行くと、棚田の名残である石積みが草の間に見えてきました。
そしてその上の田圃の今の姿です。




棚田の一番上まで来ると、田圃はほとんど森に還っていました。


この奥の棚田を取り囲んだ山の斜面を間伐しました。
ここは斜面がスプーンでえぐられたような地形で表土の流失がひどく、直ぐにでも間伐が必要だったからです。

施工前の状況です。


施工後の状況です。

ここのように傾斜が急で表土の流失が激しい場所では、間伐だけではなく間伐材を積極的に使った土留めの対策が必要に思えます。
しかし足場もままならぬこの場所では今回は間伐だけで精一杯でした。

斜面を降り棚田に戻りここでも少し間伐をしました。
少し落ち着いて周りを見回すとあちこちに小さな水の流れがあり、石垣を崩している所もありました。
今年は雨が多いので余計に水の流れが目に付くのかもしれません。
山の中腹で石垣まで積んで水田を造り、米を収穫しようとした先人の努力と執念の跡は、夏草に覆われ水に崩され、元の山林に戻ろうとしているようです。
高度経済成長期に大きく変わった日本人の価値観がもたらした結果が眼前にありました。
今その価値観が揺らいでいます。
しかし、新たに進むべき道はまだはっきりとは見えて来ません。

今日も蒸し暑く、午前中だけで2ℓの水を消費してしまいました。
作業中のなんでもない生ぬるい水がとてもおいしく感じ、休憩がとても幸福な時間に感じます。
普段は何気なく過ごしてしまう時間が、この場所では濃密に過ぎて行くようです。
しかし、流石に体力の限界を感じ、今日は午前中で山を下りる事になりました。

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