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『はい、泳げません』

2022年06月13日 | 映画(は行)
『はい、泳げません』
監督:渡辺謙作
出演:長谷川博己,綾瀬はるか,伊佐山ひろ子,広岡由里子,
   占部房子,上原奈美,小林薫,阿部純子,麻生久美子他
 
『劇場版 ブルーバースデー』を観て以降、1本も映画を観ていません。
の病室で本を読む時間はあるだろうと、文庫本を何冊も携えて行ったのに、
字なんてまったく目に入って来ないから、1冊も読めず。
 
まだまだ映画を観る気にも本を読む気にもなれないし、
物理的にもそういう時間を取ることは難しいけれど、
もう緊急の電話がかかって来ることはないから、劇場に行けないこともない。
 
徐々に日常を取り戻したいなぁと思い、
弟の部屋と3軒隣の実家に寄った後、レイトショーを観に行くことにしました。
6月に入って初めて観る映画がこれ。109シネマズ大阪エキスポシティにて。
 
原作はノンフィクション作家である高橋秀実の同名エッセイなのだそうです。
監督は『舟を編む』(2013)の脚本を担当した渡辺謙作
 
大学で哲学の教鞭を執る小鳥遊(たかなし)雄司(長谷川博己)は正真正銘のカナヅチ。
顔に水を付けることはできても、水に顔を浸けることはできず、
水面に顔を近づけるだけでバタバタ暴れ出すほどほど水が苦手。
 
そんな雄司がふと目にした水泳教室のポスター。
泳げるようになりたいとなんとなく思って申し込みに行ったものの、受付で怯む。
そんな彼にコーチの薄原静香(綾瀬はるか)は「必ず泳げるようにする」と断言。
初心者コースに入会した雄司は、賑やかな主婦たちに囲まれて静香の指導を受けるのだが……。
 
雄司はバツイチで、離婚の原因になったと言えるのは、
妻の美弥子(麻生久美子)との間の一人息子を溺死させてしまったから。
それがトラウマで泳げないのかと思ったら、もともとカナヅチだったせいで、
息子を助けようとして自分が溺れて頭を打ってしまったんですね。
 
こういう話にこういうツッコミは駄目だろうと思いますが、
美弥子が関西弁である必要はなかったように思えて仕方ありません。
麻生久美子は比較的がんばってしゃべっていたとは思うけど、
それでも妙なイントネーションのときがいくつかあって、そっちに気を取られてしまうのです。
映画化に当たっては標準語でしゃべってもよかったような気が。
 
泳げない雄司を叱咤する静香ですが、彼女は彼女で道路を歩くことに恐怖を感じています。
お互いのトラウマを克服する展開かと思いきや、静香のそれはそのままで、
この設定も別に要らないのではと思いましたが、
パッタリ音信の途絶えた雄司に決死の覚悟で静香が会いに行くシーンがあったから、有効ですね。
 
哲学の教授らしく、人はなぜ生きるのかなんて話もあり、今は特に考え込む。
日々のちょっとした楽しさを感じたいという学生の話を聞けば、
弟にももっと長生きしてほしかったなぁと思わずにはいられません。
 
初心者コースにかようおばちゃんたちが強烈。
伊佐山ひろ子日活ロマンポルノの人気女優だったとか、みんな知ってる〜?と言いたくなる。
今年70歳なんですね。いつまでも活躍してほしい。
 
子どもを死なせてしまった雄司が、子持ちの女性(阿部純子)との新しい恋を見つけ、
果たして自分はこの親子を守れるだろうかと葛藤する。長谷川博己演じる雄司がとてもよかったです。
 
水の中なら「無」の気持ちでいられるかも。そんなことも思います。
優しい作品でした。

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