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『マイ・ダディ』

2021年10月16日 | 映画(ま行)
『マイ・ダディ』
監督:金井純一
出演:ムロツヨシ,奈緒,毎熊克哉,中田乃愛,臼田あさ美,
   徳井健太,永野宗典,光石研,小栗旬他
 
イオンシネマ茨木にて。
 
これも“TSUTAYA CREATORS' PROGRAM”にちなむ作品だそうで。
2016年に準グランプリを受賞した企画とのこと。
あちこちで顔を見まくるムロツヨシですが、意外にも映画初主演。
笑いに走ることもなく、いたって真面目な彼を見られます。
 
小さな教会の牧師・御堂一男(ムロツヨシ)は、8年前に妻を亡くした。
教会を存続するためにガソリンスタンドでバイトしながら、
今は中学生になった娘・ひかり(中田乃愛)を男手ひとつで育てている。
ぶつぶつ文句を言いながらも教会での一男の仕事を手伝ってくれるひかりだったが、
ある日のミサ中に突然倒れ、急性骨髄性白血病と診断される。
 
動揺する一男にさらに衝撃的な事実が知らされる。
それは、一男とひかりは親子ではないということ。
妻と誰か他の男との間に生まれたのがひかりであるということを
ひかりはもとより一男にも知らせないまま妻は亡くなったのだ。
 
ひかりには決して知られてはいけない。知られないまま治療できるはず。
しかし、ひかりは抗がん剤による化学療法で快復したものの、しばらくして再発。
骨髄移植をしなければ命が危ういと医師(徳井健太)から宣告される。
 
ひかりの白血球の型は一男とは一致しない。
骨髄バンクに登録されている誰とも一致しない。
娘の命を救うため、一男はひかりの実の父親探しを探偵(小栗旬)に依頼するのだが……。
 
序盤、一男とひかりのシーン以外に、男女カップルのシーンがあります。
毎熊克哉演じるヒロは、路上でキーボードの弾き語りをする歌手志望の男。
ヒロのファンで、身も心も彼に捧げる女性・江津子を奈緒が演じ、
教会に集う人々の群像劇を想像させるものでした。
 
ここからはネタバレです。
 
同時期を描いていると思われた上記のシーンはミスリード。
ヒロの浮気現場に出くわした江津子が泣きながら辿り着いたのが教会で、
一男は亡き妻に瓜二つの彼女を見て驚く、かと思いきや違った。
ヒロと江津子のシーンは15年ほど前のシーンだったのですねぇ。
 
つまり、一男と江津子はそのように出会って結婚、ひかりが生まれます。
けれど、江津子は一男を騙していたわけではなく、
クズ男のヒロは自分はおたふく風邪のせいで不妊になったから
生涯子どもは持てないと江津子に嘘をついていました。
そのせいで江津子は、ひかりは一男との子どもだと信じていたのです。
なのにヒロが子どもを連れて歩いているところに遭遇して愕然とする。
そして一男にそのことを打ち明けようとしたまさにそのときに、
江津子は事故に遭って還らぬ人になってしまったという。
 
なんとも悲しい話です。
白血病はいまや不治の病という印象はありませんが、
適合するドナーがいなければ救えないこともある。
江津子が墓場まで持って行ったはずの秘密がこんな形で暴かれてしまう。
 
でも、ひかりは自分の母親が父親のことをどれだけ愛していたか知っていた。
父親が母親の愛を信じないのなら、騙されたと思っているのなら、
自分は実の父親の骨髄移植など受けたくないと言うのです。
 
一男の職業が牧師ということもあって、ちょっと宗教的
お涙頂戴に走っている感も若干あります。でも、ここは素直に泣きたい。
 
ヒロはクズだったけど、それでもそのときの浮気相手(臼田あさ美)と結婚して、
子どももいて、定食屋の主としてちゃんと働いている様子を見れば、
ヒロといるべきは江津子ではなかったのだという気がします。
 
いちばん驚いたのは、小栗くんの友情出演的な出方ですが(笑)。
こんなヌボーッとした探偵役でも絵になるのよねぇ。

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