『Emitt Rhodes』Emitt Rhodes (1970)

2005年06月05日 | 70's
宅録・ひとりでできるもん系のエミット・ローズの1stアルバム。
言わずとしれた小型ポール・マッカートニであります。声とメロディのセンスがもう直系。本人はどこまで意識的でどこまでが無意識だったのでしょうか?マイク・マクギアよりよっぽどポールの弟みたいです。
M-3 She's Such A Beauty とかは完全“マーサ・マイ・ディア“。M-4 “Long Time No See“はポールの特許的なベース・ラインも織り交ぜられたり、M-8 “Promises I've Made“に至ってはポールの手グセ、鼻歌グセだけで出来上がったような曲。しかもこれがまたええんですわ。似せようと思ったってここまで似せれませんぜ。才能。プラス70年代初期のSSW作品に見られるような、繊細で個人に語りかけてくるような親密さも持ち合わせてて、全曲極上です。

この人の音楽を形容する時はどんな言葉を使えばいいんだろう?優しげ?儚げ?声もポールから自己顕示欲を抜き取ったみたいな(しかし特に母音を伸ばした時の声質がポールにそっくり。ちょいビブラートなとこがです)、良い意味で欲の無い、悪い意味で少し女々しい声。曲のスケールもポールみたいに大胆なトンデモない転調とかはなく、ひたすら地道を素直にまっすぐ走る心地よさ。その弱さ、地味さ、コクの無さ、素直さががこの人の魅力ではないでしょうか。
ジャケなんかもキャラが出ている。火事の後の焼け残った窓からじーっとこちらを見つめている。ちと怖いよー。「僕に気づいてよぅ」とでも言いたげ。気づきましたとも。だから泣かないでね~、ぼうや(今にも泣き出しそうな表情なので)。

でもこのエミット・ローズ君、驚いた事にポールの良きライバルかつ同士である、かのブライアン・ウィルソンと同じ故郷を持つ男なんですね。そう、二人ともカリフォルニアの郊外はホーソーン出身なんですって!

M-1 “With My Face On The Floor“とM-2“Somebody's Made For Me“ が我がiPodのマイレート永久5つ星に認定されておられます。M-2の「どこかに君にとってのスペシャルな誰かが必ずいるハズさ、願ってみろよ、叶えられるさ」という歌詞が大好き。曲もめちゃめちゃポップですし。
全曲「あれ?これポールの曲じゃなかったっけ?レッド・ローズのB面??」みたいなすてきなトリップ感が味わえること請け合いなこのエミット・ローズ君の一世一代の名盤。是非!