ここでも数回書いたと思うけれど、
私は十数年前に心の病気で社会から隔離された生活を送ることを余儀なくされていた時期があった。
よく「お先真っ暗」とかいう表現を使うことがあるけれど、
その頃の私はそれとまったく逆の状態で、
それはもう本当に「真っ白」な世界だった。
もし「真っ暗」な世界なのだとしたら、
少しの光でも見えれば・・・と、希望でも持てそうな気がするのかもしれないけれど、
そこはもうこわいぐらい真っ白で、なんの色もなくて、
距離感もわからなくて、自分さえもわからなくて・・・
私はただ1人でしゃがみこんでいるしかない状態だった
その頃の記憶はウソみたいに自分の中から薄れてしまっているのだけれど、
ハッキリとおぼえていることが一つだけある。
実家の2階にある自分の部屋で隠遁生活を送っていた私は、
隣の兄貴の部屋の押入れにすっごい量の車のカタログを見つけ、
やおらそれを片付ける!という使命感のようなものを感じ、
押入れから全部引っ張り出してしまったので、
それはもう足の踏み場もないくらい部屋中カタログだらけになったことがあった。
メーカー別、車種別、年代別に並べていると、
私はある不思議な現象に気づいた。
同じカタログが3枚ずつある、のだ
そんなことだから邪魔になるんだ!と
3枚の内の1枚を残して、あとの2枚は廃棄処分扱いに・・・
自分でも不思議なのだけれど、
誰とも会話できず、どこにも行けず、生産的な行動はなにもできないはずの私が、
そういう「超単純作業」をただひたすら黙々とやることだけはできたのだ
1/3の量になったカタログを見て、
スッキリしていた私だったのだけれど、
休暇で帰ってきた兄貴がそれに気づいて母にすごい怒った、という話を、
随分経って母から聞いた時はビックリした
兄貴はそんなことを私に対しては一言も口にしなかったのだ
病気だった私を気遣って、ガマンしてくれたのだろうけれど、
普段、あまり交流のない兄貴に対して、
あの時は「感謝」したし、心から「申し訳ない」と思ったなぁ~
そういえば、私が小学生の時に、
海で拾ってきたキレイな石ころを兄貴が勝手に捨てたことがあった。
あん時は、なんだかすごい腹が立って、
包丁持って兄貴を追い掛け回したんだった
やっぱり「辰年、さそり座、O型」は激しい性格なのかな・・・