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大野麥風展 「大日本魚類画集」と博物画にみる魚たち

2013-08-08 21:30:00 | 美術
見てきました

東京ステーションギャラリー

会期は2013年7月27日から2013年9月23日。

今回は大野麥風(1888-1976)の展示です。
代表作は1937年に出版された『大日本魚類画集』
これで、原画を担当し、「原色木版二百度手摺り」といわれる色鮮やかな木版画集を生み出します。
『魚の画家』と呼ばれた画家。

今回、チケットから可愛らしい。

魚のかたち

さて。
大野麥風。
おおのばくふう、です。
東京で生まれ、最初に長原孝太郎の指導を受け、洋画を学びました。
1909年の第3回文部省美術展覧会で画壇に登場。
その後は、白馬会・太平洋画会・光風会などにも出品。
が、洋画から日本画へ転向。
1919年の第1回帝国美術院展覧会では、日本画で入選。
その後、木版画を手がけるようになり、1937年に代表作 『大日本魚類画集』を生み出しました。
今回、麥風の『大日本魚類画集』全72点に加え、初期の洋画や風景、その他画家の魚類作品など約150点の展示です。

展示の最初は麥風以外の魚類を描いた作家の作品が展示されていました。
栗本丹洲「テンス」
博学的視点で描かれた作品です。
マヌケな顔をしていて可愛らしいです。
色も赤く絵本なんかに出てきそう。
ベラの仲間だそうです。
栗本丹洲(1756-1834)は江戸時代中期-後期の医師。
医学館で本草学を教えていたそう。
また、虫、魚、貝などを研究。
日本で最初の昆虫図説「千虫譜」など彩色写生図集を残した人です。

高木春山「アカナマズ」
こちらその名の通り赤い。
ボケーっとした顔してます。
高木春山(????-1852)は江戸時代の博物家。
が、」江戸時代には無名だったそう。
国産振興のために国産振興のために本草学を志して曾槃に学んだという。
20年余をかけ、万金を投じて、日本の動植物の総合図譜『本草図説』を世に出すことを目指していたが、志半ばで没。
明治16(1883)年の水産博覧会に『本草図説 水産部』ほかが出品されて初めて名が知られたという人。

栗本丹洲にしても高木春山にしても江戸時代にここまでお魚のことを精密に描く人がいたんだな、と驚き。

杉浦千里「シマイセエビ」など
杉浦千里(1962-2001)
39歳の若さでこの世を去った杉浦さん。
ウルトラマンでおなじみ、円谷プロでも活躍された方です。
ウルトラマンや怪獣を愛し、博物画をライフワークとしていました。
日本美術学校で日本画を学ぶものの、細密画はほとんど独学。
鮮やかな色彩、緻密で質感も伝わるような表現力。
思わず鳥肌がたちます。
若すぎる死が惜しまれます。
この作品、八角形の部屋に展示されていたのですが、天井を見上げたら、あら。
なんだか青い光が波のように動いていました。

大野麥風「秋晴(もず)」
大野麥風展ですから。
まずは初期の作品が展示されていました。
柿の木にとまるもず。
穏やかで好きな感じの作品ですが、この後の魚の登場に期待しすぎて(笑)
なんか平凡、と思ってしまった。。ごめんなさい。

大野麥風「蕃女水浴」
木が生い茂る森の中。
水浴びをする3人の女性。
日本っぽくない。
というか、ゴーギャンっぽい。
不思議な南国の雰囲気漂う作品。

この辺りに展示されていた初期の作品はのどかな田園風景や小動物などのんびりとした感じものが多かったです

さて、階段下りて次の展示室へ。
『大日本魚類画集』です。
これは原色木版二百度手摺りという手間をかけ、1944年まで各回12点、6期に分けて計72点を制作。
監修は和田三造、題字は谷崎潤一郎と徳富蘇峰、賛助者には結城素明、村上華岳、小杉放庵、石井柏亭と豪華な顔ぶれ。
麥風はこれを作るにあたって、水族館での観察だけでは飽き足らず、和歌浦沖で潜水艇に乗り、魚の生態を観察し、細部にまでこだわった作品を作り上げました。
これまで展示されていた魚の絵はいわゆる博物画。
魚だけが描かれたもの。
麥風は博物画同様、細密に魚を描きますが、そこに背景を加えます。
魚が泳ぐ姿と棲んでいる環境までも描き出したのです。

大野麥風「飛魚」
これが一番ぐらいに好きかな。
愛くるしい顔をした飛魚が泳ぐ(飛ぶ!??)様子が描かれています。
背景の波も可愛らしい。
絵本に使われていそうです。

大野麥風「金魚」
この時期にもぴったり。
可愛くって涼しげで。
団扇にして商品化希望。

大野麥風「鯰」
とっても神秘的。
悠々と泳ぐ姿がなんか羨ましい。

大野麥風「キス」
よくよく考えると、これまで魚ってそこまでじっくり見たことがなかった。
今回、この展示でじっくり見ると新しい発見が多数あります。
その発見の一つ。
キスって平べったい顔しているのね。。
うーん、どっちかっていうとブスなのね。。

大野麥風「アマダイ」
パステルグリーンと青の背景。
色も鮮やかな中、悠々と泳ぐアマダイ。
まるでリトルマーメイド、な世界でした。

大野麥風「カワタナゴ」
カワタナゴは子を産む珍しい魚さん。
卵はそのまま体内で孵化。
産まれるときは、尾を先にして出てきます。
産まれるときに尾から出てくることから "逆子"を産むといって嫌い、妊婦に食べさせない地方もあるとか。
その一方で、子沢山に恵まれるからと、妊婦に食べさせる地方もあるとか。
うーん、難しいですなぁ。
そんな人間のことなど気にもせず泳ぐ魚が描かれています。
遠くに泳ぐ魚はシルエットで描かれていて、そんなところも素敵です。

大野麥風「メダカ」
メダカってある意味で一番身近な、というか、誰の思い出にも存在する魚だと思う。
目がぎょろっと大きくてかわいい。
集団で泳いでいるところもかわいい。
なんだかとっても和みました。

大野麥風「タチウオ」
暗い背景に青白くすーっと長い魚。
幻想的です。

というわけで。
お魚いっぱい。
とても楽しく見ごたえある展示でした。
毎日毎日暑くて出かける気も失せるけど。
こんな展示で癒されてはいかがでしょうか。
場所も東京駅だからお出かけついでに寄れちゃうし。
重要文化財の冷房の効いた建物でお魚鑑賞ってのもなかなか素敵な過ごしかただと思います。



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