RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

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人間国宝展 -生み出された美、伝えゆくわざ-

2014-02-07 21:30:00 | 美術
見てきました

東京国立博物館

会期は2014年1月15日から2014年2月23日。

今回の「人間国宝展」
同じく東京国立博物館で開催の「クリーブランド美術館展
東京都美術館で開催の「世紀の日本画」
この3つの展示で『日本美術の祭典』とされています。
昨日、「クリーブランド美術館展」を書いたので、今日は同じく平成館で開催中のこちらの展示を。
"日本伝統工芸展60回記念「人間国宝展 -生み出された美、伝えゆくわざ-」"

生活の中で用いられる器や衣服、道具に美を求める工芸。
日本では古くから、陶芸・染織・漆芸・金工・木竹工・人形などの工芸が発達し、その芸術性は今日においても高く評価されています。
そういった工芸の技を伝承し、発展に尽くし、工芸史に残る作品を作り出してきたのが"人間国宝"
今回は国宝・重要文化財といった歴史的に評価されてきた古典的な工芸と、現代の人間国宝の作品を一堂に集め、「わざ」の美を見る展示となっています。
展示は歴代人間国宝104人の名品を紹介するもの。
こういった展示、ほとんどなかったため、ちょっと期待。

で、人間国宝についてですが。
人間国宝とは重要無形文化財の保持者。
歴史的、芸術的に価値の高いものが無形文化財とされ、より重要なものが重要無形文化財。
工芸では183件の指定があり、これまで166名の方が人間国宝とされているそう。

《第1章 古典への畏敬と挑戦》
ここでは人間国宝の作品と、彼らの目指した古典の作品やその造形に影響を与えた作品が展示されています。

「奈良三彩壺」
加藤卓男「三彩花器「爽容」」
最初に出迎えてくれたのはこちらの作品。
奈良時代に制作された重要文化財「奈良三彩壺」は唐三彩の影響を受けたもの。
緑、橙、白の3色がバランスよく、しっかりどっしりした形です。
加藤氏のものはそれに学んだもの。
色使いは同じですが、ゆったりしたシルエットに釉がすーっと垂れ、一味違った美しさを出しています。

喜多川平朗「木画紫檀双六局(正倉院宝物模造)」
昭和31(1956)年に室町時代に途絶えた織りの技法を復興したもの。
ひし形の文様で透き通る織物。
柔らかそうで触ってみたい。
どれだけの技術と根気が必要なのか。。
敬服です。

「金銅唐花文鋺(興福寺鎮壇具のうち)」
国宝です。
興福寺出土品で、鎮壇具とは、地の神を鎮めるために埋められたもの。
唐草文が優美な印象を与え、底の魚々子は鏡に映して展示されていますがそちらも素晴らしい。

増田三男「金彩銀壺「山背」」
金属の壺です。
走りゆく鹿の文様がなんだか可愛らしい。
こちらにも魚々子が施されています。

木内省古「木画紫檀双六局(正倉院宝物模造)」
木画です。
木画とは木地に種の異なる木で文様を表す技法。
これは当時の材料や工具、工法を可能な限り当時のまま復元したもの。
とても繊細で、組み合わせも美しく惚れ惚れしてしまいます。

秋山逸生「輪花文縞黒檀印箱」
80歳での代表作。
素晴らしいです。
小さな箱ですが、側面に花のような文様が施されそれがとにかく美しい。
一つ一つの装飾も緻密で鳥肌が立ちます。
欲しい!!!

前田竹房斎(二代)「六合花籃」
竹細工です。
幾何学模様が美しい。
二重になっているのですが、竹ひごを染め分け使っているため、その陰影も美しい。
竹らしい繊細で、でも強くしなやかな様子が感じられます。

吉田文之「紅牙撥鏤尺」
奈良時代に作られた重要文化財「紅牙撥鏤尺」の復元になります。
鮮やかな朱色が目に眩しく滑らかな線が美しい。
繊細で優美です。

相州正宗「刀 金象嵌銘 城和泉守所持 正宗磨上本阿(花押)」
国宝です。
そして人間国宝、小野光敬が研いだもの。
刀も研がなければ美しさは減ってしまいますからね。
そういったところでも活躍されているんだなぁと。

「唐衣 萌黄地亀甲菊花模様二陪織物 表着 紅地入子菱菊花模様二陪織物」
十二単一式のうち唐衣と表衣。
紅色に白のドット、萌黄色に白のドット。
重ねて綺麗にあうように出来ています。
江戸時代(17世紀)のもので、一式揃ったものとしては現存最古のものだとか。
皇女和宮が着用したそうです。
かわいい。

美濃「志野茶碗 銘 広沢」
重要文化財です。
ほんのり橙色で暖かい表情を見せています。
銘は、三日月文から月の名所である京都嵯峨野にある広沢の池からとられたそう。

荒川豊蔵「志野茶碗」
緋色が強くおせんべいのような色。
丸みがあり柔らかな印象です。

上野為二「縮緬地友禅訪問着「歓喜」」
鶏と花が表された華やかな友禅。
裾に掛け軸がありその掛け軸から鶏が飛び出しているなどなかなかおもしろいです。
花も単純化されたものがちりばめられ幻想的でした。

山田栄一「訪問着 牡丹模様中振袖」
薄い青にピンクの牡丹が華やかです。
着たときに模様がどう出るのか見てみたい。
欲しいです。

松原定吉「地白江戸風物文着尺」
文明開化の東京を表したちょっと変わったもの。
新橋や江戸橋、不忍池などが見えます。
山口晃的な印象。

濱田庄司「白釉黒流掛大鉢」
白地の大皿に黒い釉で模様がつけられています。
"流し掛け"という方法で柄杓で釉薬をかけるのだとか。
大胆で力強い印象を与えます。

「黒釉褐彩牡丹文瓶」
艶のある黒釉。
牡丹文とまるまるとした形が可愛らしい。

そしてトーハクが日本工芸史を代表する古美術の名品を選んで展示するコーナーがありました。
「火焔型土器(新潟県十日町市笹山遺跡出土)」
国宝です。
誰もが教科書でみたことあるはず。
燃えさかる焔を表現していますが、何度見ても素晴らしい。
その造形センスや装飾の立体的なこと。
これほど素晴らしい作品が縄文時代にできるってことがもうね。。
今見てもかっこいい。

「金銀鍍宝相華透彫華籠」
こちらも国宝。
華籠とは、諸仏を供養する散華供養のための紙の花びらを盛る器のこと。
透かし彫りが立体的で美しく、花と唐草が見事に調和しています。

《第2章 現代を生きる工芸を目指して》
日本の工芸は時代の流れと共に変化していきます。
伝統工芸も「用の美」にあった美とわざを目指していくことになります。
ここでは現代にあった新たな技術、新たな表現を目指した作品が展示されています。

平田郷陽「抱擁」
赤ん坊を抱きかかえて座っている女性を表現した人形。
胴体は単純化され大きく表現されています。
赤ん坊に顔を寄せ目を閉じている母親の顔はとても穏やか。
シンプルですが、とても美しく優しい作品です。

荒川豊蔵「瀬戸黒金彩木の葉文茶碗」
瀬戸黒に金彩の木の葉が施された小ぶりの茶碗。
色彩の組み合わせが美しい。

香取正彦「鳳雛薫爐」
香炉です。
前漢時代の青銅器を祖形とするそう。
鳳凰が伸びやかで今にも飛び立ちそう。

内藤四郎「柳文銀壺」
器胎は銀板を打ち絞って成型しているそう。
丸く艶やかで輝いています。
美しい。
欲しい。

鹿島一谷「布目象嵌露草文銀四分一接合水指」
金工なのにその色使いからは別のものかと思うほど。
銀色の上に可憐な露草が施されています。
布目状の切り込みを意図的に残し、陰影をぼかしているとか。
色使いも素敵です。

齋田梅亭「截金波頭文飾筥」
1967年のものですが、このデザインが!!と驚きます。
とにかくおしゃれでカッコイイ。
載金の交錯する線のスピード感、リズム感。
素敵です。

《第3章 広がる伝統の可能性》
最後です。
ここでは伝統の「わざ」をベースとしながらも、新しい創作性やデザインを重視した美の造形が展示されています。

鹿児島壽蔵「志賀島幻想箕立事」
真っ先に目に付く不思議な造形。
人魚が逆立ちをしているかのような。。
これ、志賀村の漁村にあった夫婦愛の象徴である箕立ての習慣を人形にしたもの。
うん、、変わってる。

野口園生「月の出」
こちらも変わっている、かな。
3人の女性が月見をしている木彫りの人形なのですが。
横から見てびっくり、薄い、平べったい。
人形の顔は穏やかで悠然とした様子です。

西出大三「木彫截金彩色合子「香牛」」
牛のかたちをした合子です。
全体を彩色しカラフルでかわいらしい。
施された金箔もアクセントとなり華麗なようすをみせています。

徳田八十吉(三代)「耀彩壺「恒河」」
丸い壷。
チラシなどにも使われている作品です。
藍色の球体の中央に縦に白い筋が入り、外側に向かって黄色、橙、緑、青とグラデーションになっています。
宇宙的な色合い。
藍色の球体を切り裂いて新しいものが生まれそうな、そんな印象です。

佐々木象堂「�椈型鋳銅置物「三禽」」
細く骨のような禽、3匹。
象形文字が立体化したかのようなフォルムです。

寺井直次「漆額 極光」
この作品、成田空港の貴賓室(VIP第一室)におかれているもの。
作者が開発したアルミを素地とする金胎漆器です。
飛ぶ鶴とオーロラが美しく、日本の玄関にはぴったりのテーマかな。

生野祥雲齋「竹華器「怒濤」」
くるりと巻貝のように巻かれた竹細工。
竹のしなやかさがとても美しい曲線を生み出しています。
ダイナミックでありながら、繊細で流麗。
作者は、日本有数の竹工芸産地である別府で、名工として知られた佐藤竹邑齊に入門。
死に物狂いの修業により、わずか2年で独立を果たしたそう。
素晴らしい努力の影にこういった素晴らしい作品があるんですね。

「クリーブランド美術館展」のほうが期待していったのですが、おもしろさとしては「人間国宝展」かな。
期待が少なかったからなのか。。
でも単純に、美しいもの、すごい技のものが多くて。
人もクリーブランドより多かった気がします。
予定していた時間を大幅にオーバーしての鑑賞となりました。
おすすめです。



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