RuN RiOt -marukoのお菓子な美術室-

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ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展 印象派を魅了した日本の美 (その1)

2014-07-23 21:30:00 | 美術
見てきました

世田谷美術館

会期は2014年6月28日から2014年9月15日。

今年注目の展示でしょう!!
ボストン美術館が所蔵する「ラ・ジャポネーズ」の修復後世界初公開。
19世紀後半から20世紀初頭、西洋では浮世絵をはじめとする日本美術が大流行。
大胆な構図、鮮やかな色彩は、西洋の美意識に根本的な革命をもたらし、ジャポニスムが生まれました。
今回はボストン美術館所蔵の絵画、写真、工芸など約150点の展示。
西洋の芸術家たちが、日本の美術からどのようなものを受け、新たな美を創造したのかを見ていく展示となります。

いや~、楽しみにしていましたとも!!

「来年お会いしましょう」
からチラシを大切に集めていたさ。笑
うきうきで行ってきました!!

2回に分けて書いていきます。
第1章から第3章を「その1」
第4章から第5章を「その2」
今日は「その1」です。

《1.日本趣味》
"ジャポニスム"
西洋諸国において日本への関心、日本の物品の収集、そして西洋美術における日本的な題材や様式の探求
これらを表す言葉として使用されました。
1850年代に日本との貿易が開始されたことにともない、多くの西洋人たちは美術や工芸品を通して、この島国を知ることとなりました。
やがて1870年代までには、"日本"に触れる機会が生み出されました。
日本の品物を扱う専門店や万国博覧会、そしてボストン美術館が開催し強い影響を及ぼすこととなった展示などです。
それは遠く離れた日本に対する人々の関心と急速に広まりつつあった好みに答えるものでした。
歌川広重、葛飾北斎らの浮世絵はその大胆な構図、描写力が新しい手法を模索していた当時の画家たちを強く引きつけました。
また陶芸、七宝、蒔絵などはデザイナーたちの関心の的となります。
それら日本文化の影響はすぐさま西洋美術の表現に見出されるようになりました。

歌川広重「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」
何度も見ているものだし、何度もこのブログで取り上げている作品。
雨の中、身をかがめて急ぐ人が描かれています。
雨は細い線で表現され、強く降っていることがわかります。
広重は欧米のコレクターたちの間で最も人気のある浮世絵師の一人。
フィンセント・ファン・ゴッホも広重の浮世絵を収集していて、この作品を所有。
また模写もしています。
ゴッホは生活が苦しいなかでもコレクションをしていて、死後、手元に残されていた浮世絵は480枚ほど。
すごい。。。

歌川広重「名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣」
吉原遊郭の二階と思われる場所から外を見るネコ。
木格子ごしに見えるのは夕暮れの空と富士山。
行列の人々。
ゴッホは480枚ものコレクションがあったと先ほど書きましたが、それに並ぶのかクロード・モネ。
300点近い浮世絵はジヴェルニーのモネ邸を飾り、没後はクロード・モネ美術館となって公開されています。
なお、モネは先ほどの「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」も所有していました。

平田就亮「虫図七宝鐔」
刀の鐔。
七宝で舞う蝶や蜻蛉が施されています。
繊細で色の組み合わせも美しい。
蜻蛉はその表情もかわいらしいです。

ブシュロン社 デザイン:ポール・ルグラン「インクスタンド」
日本風モティーフを組み合わせたインクスタンド。
浮世絵や漆工芸、型紙などから引用した図案が施されています。
富士山っぽいもなや女性像、自然風景などがぎっしり。
また、狛犬らしきものがいたり、インクスタンド全体を4匹の亀が支えていたりと見所たっぷり。

伝小川破笠「棕櫚意匠料紙箱」
非対称の棕櫚の文様を、蓋上部から箱の側面へとつながるようにのばしたデザイン。
今見てもおしゃれ。
19世紀の末、アメリカ人画家でステンドグラス作家でもあったジョン・ラファージによって購入されました。
そして1908年、オークションに出品され、ボストン美術館のために岡倉天心が落札しました。

ジュール・フェルディナン・ジャックマール「ファミーユ・アルカイク、日本の磁器(『美術・商工業磁器史』図版1原画)」
柿右衛門を模写したもの。
皿とコップ、水差しが描かれています。
柿右衛門はヨーロッパに大量にもたらされ模した食器もたくさん作られました。
ジャポニスムへの熱狂が伝わってきます。

ウェッジウッド社「クイーンズウェア・プレート一対」
一対のお皿。
当時、ヨーロッパの窯では日本的モティーフをあしらったテーブルウェアをこぞって制作しましたが、このお皿は歌川国員の浮世絵を忠実に写したもの。
皿のふちには紅葉まで描かれています。
日本より日本的なのでは、とも思う。

ジョン・イリングワース・ケイ(またはアーサー・シルヴァー)帰属、シルヴァー・スタジオ「家具用ファブリック」
蓮の花に松、富士山、月。
日本の風景表現を応用したビロード生地。
とてもおしゃれで素敵。
神秘的な感じもします。

ルイ・デュムーラン「京都の鯉のぼり、端午の節句」
京都四条の通りが描かれています。
空には鯉のぼりが悠々と。
ルイ・デュムーランは日本に旅行した経験も、ありますが、この作品はイタリア人写真家、アドルフォ・ファルサリの写真に着想を得たもの。
描かれた風景は写真そっくりですが、写真には鯉のぼりはありません。
この作品の隣には、歌川広重の「名所江戸百景 水道橋駿河台」が展示されていましたが、こういった作品が参考にされたのでしょう。
日本の景色を描くうえで鯉のぼりのような日本的なものが重視されていたことが伺えます。

ヘンリー・ロデリック・ニューマン「日光東照宮外壁」
日光東照宮の外壁を写したもの。
石の質感、木彫の質感まで伝わってきます。
色彩も美しいし、細部まで丁寧に描かれています。
ヘンリー・ロデリック・ニューマンはアメリカの水彩画家。
彼が日本を訪れたとき1897年までには、日光東照宮は重要な観光地として確立していたのだそう。

《2.女性》
20世紀、女性の社会進出が、より活発となり、芸術運動のなかでも存在感を増していきます。
当初、日本趣味は輸入ものの絹製品を身につけ、珍しい品々を買い求めて室内を飾りつけした女性たちの存在と密接に関わり合うものでした。
着物を原型としたドレスや日本的要素を取り入れたデザインが流行します。
こうした衣服を身につけた女性を描くことも。
当時、日本文化は"女性的なもの"ととらえられていたそうです。
それはオペラなどで知られるお菊さんや蝶々夫人といった存在から日本を夢想していたため。
浮世絵の題材としても、美人画など女性に溢れていました。
ここでは、華やかな花魁、母親、娘たち。
様々な女性が展示されています。

溪斎英泉「鯉の滝登り打掛の花魁」
ベロ藍が目にも鮮やかな作品。
こちらに背を向け立つ遊女の打掛には今にも動き出しそうな鯉の図。
あでやかです。

アルフレッド・ステヴァンス「瞑想」
アルフレッド・ステヴァンスは初期ジャポニスムの画家。
緑の花模様の着物を着た女性が描かれいています。
物憂げな表情が美しい作品。

エドマンド・チャールズ・ターベル「夢想(キャサリン・フィン)」
白い服の女性が物思いにふけるかのような表情。
後ろに屏風らしきものがあるけど、これがジャポニスムってことかな。

喜多川歌麿「母子図 たらい遊」
木だらいに水を入れ、魚のおもちゃで遊ぶ子ども。
後ろには母親がいて子どもを支えています。
かわいらしい。

メアリー・スティーヴンソン・カサット「湯浴び」
喜多川歌麿「母子図 たらい遊」の隣にあったもの。
構図は反転していますが、とても似ています。
裸の子どもを抱えて湯に手を入れている母親。
子を思う母の気持ちなどは日本だろうと西洋だろうと通じるものなのでしょう。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック「『レスタンプ・オリジナル』第1年次のための表紙」
この作品は三菱一号館美術館で開催された「ロートレック展」でも見ています。
ロートレックの作品への日本の版画の影響は周知のこと。
ロートレックが着物を着ておどけた表情でいる写真もあるぐらい。
『レスタンプ・オリジナル』は出版家アンドレ・マルティが当時の芸術家に依頼してつくった版画集。
その表紙がこの作品。
印刷所の風景です。

ジェームズ・ジャック・ジョゼフ・ティソ「新聞」
モノクロのエッチング。
羽のついた帽子かぶり新聞読む婦人。
ちょっと冷たい印象がありますが、とても美しい。

ピエール=オーギュスト・ルノワール「花飾りのある帽子」
1892年の油彩をもとにしたカラー・リトグラフ。
帽子をかぶった2人の少女が描かれています。
黒髪の少女が小さな少女の帽子に花をつけてあげています。
その柔らかく優しい色彩と表情になごみます。

ポール・ゴーギャン「『ヴォルピーニ連作』より《ブルターニュの楽しみ》」
この作品のどこに日本的要素が?と一瞬迷います。
描かれているのは2人の農婦。
枠の外に犬2匹。
そして平坦化された構図。
これこそが浮世絵の影響なのでしょう。

礒田湖龍斎「雪中美人」
雪の中、傘をさして歩く女性。
傘には雪が積もっています。
しんしんと、静けさが伝わってきます。

ヘレン・ハイド「赤子を背負う母と男児」
縦長の画面に描かれたのは、柳の木の下にいるのは赤ちゃんを背負った母親と男の子。
とても日本的。
横浜美術館で開催された「魅惑のニッポン木版画」でも彼女の作品を見ています。
この作品と同じく、母と子を扱ったもの。
優しい眼差しを感じます。

歌川国貞(三代豊国)・歌川広重「当盛十花撰 夏菊(二代目沢村訥升、初代沢村由次郎)」
暗い背景に大きな菊が鮮やか。
これは菊の花を花火に見たてたもの。
その色彩感覚が素敵。

フィンセント・ファン・ゴッホ「子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人」
椅子に座った女性が描かれています。
背景には菊の花模様。
女性の顔など丁寧に描き込まれていますが、背景もしっかりと描かれています。
女性の服などは強い色彩なのですが、柔らかく見えるのはこの背景のおかげなのかも。。

エミール・ベルナール「画家の祖母」
自身の祖母を描いたもの。
この作品を描く少し前にゴッホが企画した浮世絵展を見ていたベルナール。
この作品に見られる単純化などは浮世絵の影響でしょうか。
描かれている祖母は非常に現代的な女性でベルナールが画面になることを両親に反対された際に支えた人物なんだそう。
自身で洗濯屋を経営し、孫のためにアトリエを建ててやりました。
かっこいいぞ!!

ババーニ社「女性用着物、または室内着」
19世紀後半、ジャポニスムは西洋のファッションにも影響を与えました。
ゆったりと身を包むように羽織る衣装は東洋趣味のティー・ガウンやネグリジェとして流行。
"ル・ジャポン"、"ル・キモノ"などと呼ばれました。
東洋風の品々や衣装、香水などを広めるのに一役買ったのがバニーニ社。
友禅染が鮮やかな紫色の振袖。
多色の絹糸、金糸で桜や松、藤などが刺繍されています。
素晴らしいです。

クロード・モネ「ラ・ジャポネーズ(着物をまとうカミーユ・モネ)」
大きい。
思っていたよりもかなり大きくてびっくりしました。
等身大だそう。
モネといえばジャポニスムの画家として名前が出てきますが、この作品は直接的ジャポニスム唯一の作品。
妻のカミーユ・モネがモデルです。
カミーユはもともと黒褐色の髪でしたが、ここではブロンドのかつらをつけ、鮮やかな緋色の着物をまとい、振り返るようにこちらを見ています。
壁と床には団扇が貼られ、床には茣蓙が敷かれています。
着物の裾には刀を手にした武士の刺繍が施されています。
デザインは能の紅葉狩から、と思われます。
とすると、美女の正体に気づいて刀を抜いた瞬間かな。
金糸の刺繍の豪華さが伝わってきます。
これを表現するのは大変でしょう。
モネの力量と観察眼に驚かされます。

《3.シティ・ライフ》
19世紀後半、ヨーロッパ諸国の都市は大規模な変貌を遂げます。
建築様式の変革、産業革命などがあり、新しい都市文化が生まれました。
江戸の大相撲、パリのシャンソン・カフェ……。
都会のエンターテイメントや街角の光景は、洋の東西を超えて画家たちの格好のテーマとなりました。

歌川国貞(三代豊国)「勧進大相撲興行之図」
歌舞伎と並び、江戸庶民の娯楽性として愛されたい相撲。
透視遠近法で描かれ、壮観です。
観客席はぎっしり埋まり、満員御礼です。

アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック「騎手」
フランスにおいて、上流階級のスポーツであった乗馬。
市民の娯楽として競馬が人気を得るようにぬるのは19世紀半ば。
走りゆく馬を後ろから描いた作品。
躍動感あります。

楊洲周延「上野不忍共同競馬会社開業式之図」
日本では馬を競わせる“競馬”が奈良時代から神事として行われていました。
洋式競馬は開国後に居留地に住んだ外国人が横浜で行ったのが始まりとされています。
この作品に描かれているのは日本初の競馬会社・共同経営会社が1884(明治17)年に開催した、上野の不忍池での競馬会。
明治天皇も隣席されたそう。
明治の浮世絵を代表する赤色が印象的。
文明開化の雰囲気です。
空には祝賀の花火も打ち上がり、中に仕掛けられたものがふわふわ浮いています。
タコや牛、魚など。。
こうゆう花火があるんだなぁと知るとともに。
傘を差した洋装の女性もふわふわ浮いています。
彼女は、、、メリー・ポピンズ!?

ジョン・エドガー・プラット「ジャイアント・ストライド」
なんかすごい。
ジャイアント・ストライドとは回転式遊具。
それで遊ぶ子供たちが、描かれていますを
浜辺でくるくる回るジャイアント・ストライドで遊ぶ子供たちは楽しそう。
色彩も明るく面白い作品。

エドガー・ドガ「カフェ・アンバサドゥールのベカ嬢」
カフェ・アンバサドゥールは、パリ随一の人気シャンソン喫茶でマドモワゼル・ベカは人気歌手。
彼女を真ん中から少し左側に配した構図やはっきりとした明暗表現は浮世絵からかな。
影絵みたいで幻想的。
とても素敵です。

フェリックス・エドゥアール・ヴァロットン「版画集『息づく街、パリ』より《にわか雨》」
突然降り出した雨に駆け出す人々。
はっきりとした表現もヴァロットンらしくて。
おしゃれで素敵な作品。

ジョン・スローン「春の花」
花をたくさん積んだ花売りの馬車が雨に濡れた道を行きます。
他にも傘さす婦人が道を歩いています。
色彩も構図もとても素敵。
斜め上から見下ろすような構図ですが、これは画家のアパートから見た光景なんだそう。
ジョン・スローンは、20世紀初頭のニューヨークの生活を多く描いたアメリカの画家。
都会の生活や労働者などを描きました。

以上、「その1」になります。
とても面白い作品だらけ。
有名どころもそうではないものもその力量の高さには驚きです。
「その2」では風景画や工芸品なども登場し、ジャポニスムの広がりを感じることができます。



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