MELANCOLICO∠メランコリコ!

ゆめと心理と占いのはなし
Por donde, amor, he de ir?
 Rosalia de Castro

逗子ストーカー殺人事件、市役所のお粗末

2013-11-08 01:45:13 | 日記

一時期、よくおかしな電話がかかってきた。受話器をとって「はい」と答えると、数秒間無言が続く。そして・・・
「こんばんは。実はどこどこに新築マンションが建ちまして、そのご案内を差し上げたく・・・」と話し始める。何となく落ち着きのない男の声だ。
「あ、不動産なら考えていないのでよろしいです」
「いやぁ、人は住む家が必要なんですよ。今のお住まいは借家でしょ?」
「ご用件をおっしゃってもらえませんか。こちらも出かける用事がありますので」
「いやぁ、まずあなたが私の訊いたことに答えてください」
「え? でも、借家かどうかって失礼ですがあなたと関係ないんではないですか」
「いやぁ、まずそこを答えていただかないと・・・」
「借家でも借家でないとしても、何しろ今は不動産を買うことは考えていませんから」
「不動産を買えなんていってませんよ」
「え? 新築不動産の案内っておっしゃいませんでしたか?」
「言ってませんよ。ところで、えっと、お名前なんで言いましたっけ?」
「名前を聞いてどうするんですか」
「まずは名前を言うのが常識でしょ?」
・・・

これが数日間、一日に何回かかかってきた。そのうち、いろいろと支障があったけど電話に出ないようにしたら、留守中に大量の白紙のファクスが届いた。それで警察に電話して対応をお願いしたら、「電話番号を変える」「ナンバーディスプレーの電話機に替えてみる」「かけないようにお願いしてみる」・・・と、あきれるほど無関心、無責任な「対策」が返ってきた。市民が大迷惑を被っているのに、所轄の警察は動こうとしなかった。「逆探知してほしい」って言ったら、それをするには煩雑な手続きが必要で、具体的に何か被害を被っているとかでないと手続きに入れないと言う。「では、ファクス用紙ワンロールを無駄にしたんですが・・・」って物的被害を訴えると、「う~、それではね・・・」と、やる気のない声で答えた。

こうした電話は、単なる愉快犯ではなく、情報収集を目的としている。名前、住所、年齢、家族構成なんかを盛んに聞き出そうとしていたけど、一個人にそうした4つか5つのデータがくっつくと、電話による詐欺の類が簡単にできるからだ。ぼくが想像するに、振り込め詐欺なんかは、こうした事前の準備があるんだと思う。むやみやたらに電話して「ぼくだよ、ぼく」って言っているんじゃなくて、高齢単身者のリストなんかをどこかから買っているんだと思う。そして、そんなリスト作成業者がうじゃうじゃと世に存在しているんだと思う。

警察は実際に被害が生じないと動かない。下手に動いて、無実の人を逮捕でもしちゃったら大変なことになるからだ。これもだいぶ前のことだが、アダルトサイトへのアクセス料の督促状のようなハガキが届いたことがある。まったく覚えのないものだったので、そのハガキをビニールの袋に入れて所轄の警察署に持って行った。その葉書には振込先口座、名義、会社の住所、電話番号が書いてあった。でも、対応してくれた警察官は、「紙から指紋をとるって難しいんですよ。それに、もうここにはこの方はおられないとおもうので・・・」と、迷惑そうな顔をして、「まだ、振り込んでいないんなら、いいんじゃないですか」って言い放った。仕事を増やすなよってことなのか。

最近、警察がよくアイドルやスターを使った振り込め詐欺防止キャンペーンといったイベントをやったりポスター作ってるけど、こうしたお金があるなら専従の警察官を育成して、こうしたおかしな情報収集行為を積極的に捜査対象にしていった方が効果があるんではないか。これができないのは縦割りだからか。某広告会社が利権を守るために裏で動いているからか。

逗子市のストーカー殺人事件は、裁判で警察が被害者の結婚後の姓、そして住所を途中まで読み上げていたことでストーカーにかなりな情報を与えていたことが明らかになっている。そして、昨日は、加害者に依頼された探偵事務所が、ぼくにあったような電話を市役所にして、さらに詳しい住所を聞き出していたことが判明した。いわゆる役所の危機管理の杜撰さ、無責任さが浮き彫りになった。逗子市の市長がことの経過を説明しているのをニュースで見たけど、コンピュータとかインターネットといったものにまったく無知な様子が見て取れた。市民の膨大な個人情報を預かる市役所といったところの最高責任者が、こうした情報管理に無知なままで許されるのか。現代は、行政法の知識と同等にそうした知識も必須の時代なのではないか。少なくとも保険とか納税とかいった情報へのアクセスにIDやユーザーパスワードを設定するとかもしていなかったみたいだ。お粗末すぎる。

長くなったけど、何しろ言いたいことは、個人情報管理の大切さである。個人情報を集めるなら、情報管理責任者を明確にして、不正ができない、または、証拠が確実に残る、そして定期的にチェックが入るといったシステムにするべきだ。それに、職員は、世の中にはこんなことに悪用しようとする人間がうようよしているといったことへの認識が必要だ。何しろ公務員はへまをしても個人として処罰の対象になりづらいので、危機意識が実に低いと感じる。逗子ストーカー殺人事件に近いケースは全国で無数に発生している。今回の事件を機に、情報管理システムを全国的に徹底して、故意、過失にかかわらず、かかわった公務員への強力な罰則規定を設けて、意識の向上につなげてほしいと思った。逗子事件の被害者の方の家族や友人は本当に悔しい思いをしただろう。冥福を祈りたい。


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