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「金は出すが口は出さない」研究支援

2020-02-20 07:00:00 | 報道/ニュース

1月30日 NHK「おはよう日本」


大阪大学の石井優教授。
体の中で細胞がどう動いているのか 目で見てわかるようにする
“イメージング”という研究分野の第一人者である。
具体的な製品開発に直接は結び付かない
生命の謎を探る基礎研究である。
(大阪大学 石井優教授)
「基礎研究は本当の意味で世界を進めるもの。
 10年後20年後を見据えた意味では絶対必要なものだと思う。」
所属する大阪大学免疫学フロンティア研究センターは
免疫学の分野で国内トップの研究機関である。
しかし5年前 センターは存続の危機に陥る。
年間13億円の国の補助金が終了することになり
研究者の3分の1が大学を去った。
日本の科学技術の予算が伸び悩む中
このように補助金が打ち切られる研究機関やプロジェクトは少なくない。
資金確保のために大阪大学が考えたのが
民間企業との連携だった。
応じたのが製薬大手企業2社である。
企業側は毎年10数億円を10年間 大学に提供する。
しかも研究内容に一切口を出さない。
その代わり企業側は
センターの研究内容や成果を外部に発表する前に知る権利が得られる。
世界でも例がない仕組みだという。
なぜそれほど気前よく資金を提供できるのか。
年間10億円を提供している中外製薬。
大学の基礎研究から生まれる自由な発想を
早い段階で共有できるメリットを強調する。
(中外製薬 岡部尚文 上席執行役員)
「iFReC(免疫学フロンティア研究センター)では
 今まで分からなかった知見が生まれていると
 同時に
 それが創薬につながるかどうか
 そういう評価はそれほど簡単ではない。
 10億円という額は
 実際に現地に入って先生と一緒に基礎研究をして
 そこに創薬の可能性を見出す機会をもらえるということに対しては
 リーズナブルなバリュー(適正な価値)。」
企業との連携で研究資金のめどが立った石井教授。
年間1,000万円が配分され
これまでと変わらずに
テーマを自分で決めて自由に研究を進めている。
(大阪大学 石井優教授)
「非常にいい。
 使途に関して企業から口出しというかあれこれ言われることは一切ない。
 みずからの研究テーマを遂行していくことが可能な状況。」
さらにこの連携で新たな動きも。
現在 石井教授のもとでは中外製薬の研究員が研究に参加している。
外部に発表していない研究内容に中外製薬が興味を示し
共同研究をすることになったのである。
石井教授の技術を活用して
さまざまな薬が体内でどんな効果を出しているのか
視覚的に比較する研究を進めている。
国からの補助金が途絶えるなか
民間企業と連携することで
国内トップレベルの研究機関の存続に成功した大阪大学。
この仕組みを
他の大学や企業でも参考にできるのではないかと考えている。
(大阪大学 尾上孝雄理事)
「企業との連携は十分できていると思う。
 大学の運営費交付金が厳しい状況にあるなかで
 こういう新しい展開が大学として必須になってくる。」

この仕組みが導入されてから
研究者の数はピーク時の9割にまで回復。
研究成果も出始めていて
世界トップクラスの研究水準を維持しているということである。




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