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アメリカ 景気拡大 その影で・・・

2020-02-21 07:00:07 | 報道/ニュース

1月20日 NHKBS1「国際報道2020」


アメリカの景気拡大の局面は
10年半と
史上最長を更新。
2019年12月の失業率は3,5%と50年ぶりに低水準に。
アメリカはいま好景気の真っただ中である。
しかしその一方で深刻となっているのが路上生活者ホームレスの問題である。
アメリカ政府が1月に発表した統計では
ホームレスの数は全米で約57万人と
前年比で2,7%増えた。
特に目立つのが大都会のニューヨーク州や気候が温暖なフロリダ州である。
そして最も深刻なのが西海岸のカリフォルニア州で
前年より16%増えて15万人を超えた。
好景気の中なぜホームレスは増えているのか。

カリフォルニア州最大の都市ロサンゼルス。
高層ビル群の下には3,000人はいるというホームレスの居住区がある。
地域の支援施設には食事を求めるホームレスの人たちの長い列。
好景気にもかかわらず増え続けるホームレス。
その要因は皮肉にも好景気による家賃の高騰だった。
ロサンゼルスでは
日本の1LDKにあたる平均家賃が8年間で30%(7万円)上昇した。
(ホームレス支援団体)
「家賃が急激に上がり
 普通のアパートで
 月2,000~2,500ドル(約22万~25万円)もします。
 家賃を払えないとたちまちホームレスになってしまうのです。」
働いていても帰る家がない。
そんな人々のよりどころになっている場所が州南部のサンディエゴにある。
ホームレスの人たちが寝泊まりするための駐車場。
夜 次々と車がやってくる。
この駐車場は
ホームレスの人たちが車内で安全に寝泊まりできるよう無料で開放されている。
利用者の70%は収入がある。
ただ住宅費が年々高騰しているため家を借りられないという。
約1年前からこの駐車場を利用しているウッドワードさん。
長年 警備会社で働き現場の責任者も任された。
「ここで寝ています。
 冬は冷蔵庫のように寒く
 夏はとても暑い。」
夫に先立たれたあと住宅費を切り詰めるためルームシェアもしたが
高騰する家賃を支払えなくなったという。
(ウッドワードさん)
「軍の施設で長年 警備の仕事をしていました。
 この町では家賃が高すぎて
 ひとりでは住めません。」
いまはホームレスの支援団体を手伝って生活費を稼ぎ
再起を目指している。
(ウッドワードさん)
「車の生活から抜け出して
 自分の場所を見つけることが目標です。」
普通に暮らしていた人が
ある日突然ホームレスに転落してしまうアメリカ。
低所得者が入居できる住宅を増やすことが
緊急の課題である。
しかしこうした住宅の建設には地域の住民の同意が必要である。
業者が住宅の建設を計画していることが明らかになり
波紋が広がっている町。
計画は
小学校のそばに7階建て60部屋余の住宅をつくるというものである。
(反対派の住民)
「ハンバーガーの店を作るならいいですが
 小学校の近くにホームレスの施設はあり得ません。
 この町では薬漬けのホームレスも見かけ
 そこら中に注射針も捨てられている。」
住民集会には200人以上が出席。
地域の牧師が計画受け入れの意義を説くが
(牧師)
「ホームレスもこの地域にいるのだから
 彼らが住む場所を我々が見つけるしかない。」
参加者のほとんど全員が計画に反対した。
(反対派の住民)
「ホームレス問題の解決にはかかわるべきですが
 私たちが同意していない計画は撤回すべきです。」

通勤の電車やバスの中では
大きな荷物を抱えたホームレスの人を見ない日はない。
またバスが通る大通りでは
テントで暮らす人たちが集まる区域が新たに作られている。
図書館に行けばホームレスの人たちが顔を洗ったり
あるいは来館者に食べ物を求めたりする光景をよく見かける。
ホームレス問題が最大の政治課題だという人も多く
メディアも連日のように詳しく伝えている。
こうしたなかホームレスの問題に地域ぐるみで取り組んでいる場所がある。

常夏の島ハワイ。
高い人気を誇るこの観光地でも
2015年 ホームレスの増加が深刻化し非常事態を宣言。
州をあげて支援に取り組んできた。
自治体が提供した土地にNPOがホームレスのための共同体をつくっている。
住宅は東日本大震災の被災地で仮設住宅をして使われていたもの。
NPOの代表を務める日系人が被災地で使われなくなったものを取り寄せた。
短時間で約300人のホームレスの住環境を整えることができた。
町の中心からは離れているため
地域の住民から目立った反対の声は上がっていない。
子連れでホームレスになったモニスさん。
半年前からここで暮らしている。
電気・水道・インターネットも利用でき家賃は月8万円。
NPOから仕事も紹介してもらえる。
(モニスさん)
「こんな住宅は見たことがありませんでした。
 どんなに探しても家賃を払える家がなく
 インターネットもありませんでした。
 しかしいま家を持っていて
 自分のキャリアに取り組むことができます。」

この問題はアメリカで「ホームレス・クライシス」と呼ばれているほどで
選挙戦の中でさけて通れないテーマになる。
民主党ではバイデン前副大統領が
所得の低い人たちのため数千億円を投資して住宅を用意するとしている。
またサンダース上院議員も
3兆円以上かけてホームレスのため住宅をつくるという政策を掲げている。
一方のトランプ大統領は
ホームレスの問題が深刻が深刻なのは
民主党の有力議員が選出されている州だと主張している。
(アメリカ トランプ大統領)
「あいつら(民主党)が何もしていない。
 ホームレスの問題で阿野地区は最悪だ。
 路上には薬物の注射器があふれているし
 ひどい汚物が太平洋に流れ込んでいる。」
格差の拡大によってもたらされたこのホームレスの問題は
アメリカ社会にとって深刻なものになっている。
候補者たちは説得力のある対策を打ち出すことができれば
次の大統領の座に一歩近づくという展開になるかもしれない。


  


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