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“空のハブ”競争 シンガポールの戦略

2014-07-02 07:15:00 | 報道/ニュース

6月10日 キャッチ!


世界の航空市場に今異変が起きている。
アラブ首長国連邦のドバイ国際空港は国際線の利用客は右肩上がりを続け
今年に入ってロンドンのヒースロー空港を抜き世界1位に躍り出た。
(利用客)
「ドバイ経由で中国に行きました。
 ナイジェリアからの便は満席でした。」
背景にあるのが地元ドバイの政府系航空会社エミレーツ航空の躍進である。
欧米の航空会社が資金繰りにあえぐなか
潤沢なオイルマネーをもとに近年 各国に路線を拡大し続けている。
去年11月にドバイで開かれた航空ショーではボーイング社の最新鋭機など200機の航空機を一度に発注。
総額は10兆円近くに上り関係者を驚かせた。
この攻勢をまともに受けているのがシンガポールである。
エミレーツ航空は去年オーストラリアの航空会社と新たな業務提携を結んだ。
この航空会社の65路線の経由地がシンガポールからドバイに変更されたのである。
国の人口の10倍近い年間5300万人の利用を誇るシンガポールのチャンギ国際空港。
アジアの空のハブの地位を守るため対応を迫られている。
(シンガポール リー・シェンロン首相)
「東南アジアの活力あるハブ空港で残りたいか
 それとも私たちの地位や仕事を誰かに奪われたいのか
 それは私たちの選択次第だ。」
リー・シェンロン首相は国民向けの演説で新たな空のハブ戦略を発表した。
空港の中に植物園やショッピングモールを兼ねた巨大な複合施設を建設。
空港でレジャーや観光が楽しめるとアピールする。
2020年代半ばまでにチャンギ国際空港のターミナルを今の3つからさらに2つ増設。
利用者を2倍以上の年間1億3千万人以上に増やす計画を打ち出した。
新たなターミナルはただ規模を拡張するのではなく効率性を最大限追求する。
建設工事を請け負った日本の大手建設会社。
チケットだけでなく荷物まですべて自動で預け入れる世界初のシステムが導入される予定である。
乗客が利用するフロアーは簡素になるぶん
ほかの機能を床下や天井裏に詰め込むため他の空港でも例がないほど高度な設計が求められると言う。
(竹中工務店 シニアデザインディレクター 山口広嗣さん)
「全員がチェックインを自動にできて的確に目的地に行くにはどうしたらいいのか。
 技術を一個一個チェックして実現していくことに苦心している。」
そしてシンガポールへの利用客の呼び込みを担うのが政府系のシンガポール航空である。
イギリスの調査会社による人気ランキングではエミレーツ航空の1位に対して3位。
強みとするサービスに磨きをかけることで巻き返しを図っている。
客室乗務員の学校と呼ばれる専用の研修施設。
客室乗務員は約8000人。
経験を積んだ乗務員にはソムリエの資格が取得できるよう知識を備えた講師が定期的にワイン講座を開いている。
特に力を入れているのが狭き門をくぐり抜けた女性客室乗務員の育成。
新入社員の研修期間は業界平均の2倍とも言われる約15週間。
乗務員はまず「サランケバヤ」という伝統の衣装を着こなし優雅にふるまうことが求められる。
一方で機内持ち込みの荷物を素早く扱えるよう筋力トレーニングも行っている。
周囲の客に配慮しながらトラブルを引き起こす客にどう対応するか。
マニュアルはなく講師は乗務員のたまごたちに自ら徹底的に考えさせる。
一つ一つの対応の意味を理解し自分で問題を解決する能力を身に着けさせる。
臨機応変で柔軟なサービスができるようにすることを目指している。
(新人乗務員)
「自分自身で考えるので記憶に焼きつきます。
 どんな状況に置かれてもすぐに対処できると思います。」
中東に新たなプレイヤーが登場し世界の空の地図が塗り替えられようとするなか
いかに利用客を引き寄せ続けることができるのか。
シンガポールの国を挙げた取り組みが続く。

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