4月1日 キャッチ!
中米のタックス・ヘイブン(租税回避地)はイギリス領のケイマン諸島やバージン諸島が有名だが
プエルトリコもその一つである。
特徴は
・アメリカの自治領で通貨は米ドル
・債券購入は無税
・外国企業の法人税が特に優遇されている
といったことがあげられる。
これまで欧米からの資本をもとに高い成長を続けてきたプエルトリコだが今その経済に異変が起きている。
スペイン統治時代の面影を残す町並み。
開放的なビーチ。
プエルトリコには年間400万人の観光客が訪れる。
ビジネスにやってくる人も少なくない。
航空会社社長のガリー・フォスさんはこれまでアメリカのバージン諸島にあった本社をプエルトリコに移転することにした。
決め手となったのがプエルトリコ政府の手厚い支援策である。
ビーチから車で5分の市街地が新たなオフィスである。
賃料の半額をプエルトリコ政府が負担。
税制も優遇されこれまでの4分の1となる。
現在この航空会社の利用客は年間30万人。
プエルトリコで新たに100人を雇用し事業を拡大したいとしている。
(航空会社社長 ガリー・フォスさん)
「これからプエルトリコ政府の積極的な支援を受けて会社をどんどん大きくしたいと思います。」
支援策にひかれプエルトリコに拠点を移す企業は年間100社以上にのぼる。
中でも歓迎されているのが高い技術を持つ企業である。
メキシコの製薬会社も去年工場を建設。
従業員100人を現地で採用した。
プエルトリコ政府が期待しているのがこの雇用である。
新規の雇用人数に応じて補助金を出し外国企業の進出を後押ししている。
さらに進出した企業が持つ技術が高ければ高いほど
それを吸収することで国内産業の発展にもつながると計算しているのである。
(政府関係者)
「プエルトリコはシンガポールやスイスのように安い税金で起業を呼び込んでいます。
それにより雇用も新たな産業も生まれます。」
外資を呼び込むことで成長してきたプエルトリコの経済。
しかしここにきてその戦略に暗雲が立ち込めている。
(保護者)
「子どもたちの権利を守るために私たちは戦っているのです。」
プエルトリコ北部にある公立小学校。
約200人の生徒が通っている。
ところが今年5キロ以上離れた学校に統合され閉鎖されることが決まった。
理由は政府の財政難である。
実は今プエルトリコでは財政難による公的機関の閉鎖が相次ぎ大きな社会問題になっている。
財政難の最大の原因と考えられているのが過剰な公共投資である。
外国企業を呼び込むためとしてインフラ整備に多額の資金をつぎ込み政府の債務が拡大した。
もうひとつの原因が地元企業の不振である。
外国企業が4%程度という低い税率の優遇を受ける一方で
地元企業の税率は20%近く。
競争力を失って破綻する企業が相次ぎ税収が減少している。
こうしたなか今年2月プエルトリコ政府が発行する債券の格付けが引き下げられ衝撃が走った。
プエルトリコ政府の債権は欧米の金融機関が販売する投資信託など様々な金融商品に組み込まれている。
プエルトリコ経済が破たんすればこうした金融商品の価値も下落し
欧米の経済にも打撃を与えかねない。
政府は公務員の年金や社会保障費を大幅に減らす方針だが
市民の間ではまず外国企業への優遇策を見直すべきだという声が高まっている。
(市民団体代表)
「外国企業はもっと金を払うべきです。
税率を1%上げればいいと思います。
国が無駄な投資をやめれば教育などにお金を回せるはずです。」
(経済専門家 ビジャミル氏)
「取り組みb歴ことは多くありますが
まずは税制を見直すことです。
このままではお金がなくなり政府は身動きが取れなくなります。」
税制の優遇措置で外資を呼び込み経済成長を続けてきたプエルトリコ。
その戦略が今大きな曲がり角を迎えている。
プエルトリコは40年前から債権を欧米の投資家に販売し続けてきた。
プエルトリコの債権には購入の際 全く税金がかからないため人気も高く
現在プエルトリコが抱えている借金は700億ドルにのぼる。
去年 財政破綻したアメリカのデトロイトの借金の総額が180億ドルだから実にその4倍近くである。
これらの債権が欧米の様々な金融商品(投資信託、年金など)に組み込まれている。
日本の金融機関はそれほど多くのプエルトリコの債権を扱っていないとしているが
年金や生命保険にもプエルトリコの債権が一部組み込まれている可能性もあり
プエルトリコが破たんすればその価値が大きく損なわれるなど影響も大きいと思われる。
そういう状況でも3月半ばに発行されたプエルトリコの債権があっという間に売り切れた。
金利が10%近いドル建ての債権ということもあるが
プエルトリコの債権がよく売れる背景には
多くの投資家がプエルトリコの破たんにはまだ時間がかかると考えていることがある。
プエルトリコがアメリカの一つの州ではなく自治領という特殊な存在だからである。
自治領というのは
外交や軍事面は完全にアメリカに依存しているが経済面では独立性が保たれている。
このため仮に財政破綻に直面していてもデトロイト市のように連邦破産法が適用されず
簡単に破たんすることができないのである。
現在プエルトリコはアメリカの州になることを望んでいるが承認されるには時間がかかる。
自分の資産を切り売りしてでもギリギリまで借金を返さなければならない状況である。
投資家に人気があるため返せる見込みがうすいのにどんどん借金ができるという悪循環に陥っている。
こうした状況が続けば世界経済のリスクが高ることにもなり早急な対応が求められる。
中米のタックス・ヘイブン(租税回避地)はイギリス領のケイマン諸島やバージン諸島が有名だが
プエルトリコもその一つである。
特徴は
・アメリカの自治領で通貨は米ドル
・債券購入は無税
・外国企業の法人税が特に優遇されている
といったことがあげられる。
これまで欧米からの資本をもとに高い成長を続けてきたプエルトリコだが今その経済に異変が起きている。
スペイン統治時代の面影を残す町並み。
開放的なビーチ。
プエルトリコには年間400万人の観光客が訪れる。
ビジネスにやってくる人も少なくない。
航空会社社長のガリー・フォスさんはこれまでアメリカのバージン諸島にあった本社をプエルトリコに移転することにした。
決め手となったのがプエルトリコ政府の手厚い支援策である。
ビーチから車で5分の市街地が新たなオフィスである。
賃料の半額をプエルトリコ政府が負担。
税制も優遇されこれまでの4分の1となる。
現在この航空会社の利用客は年間30万人。
プエルトリコで新たに100人を雇用し事業を拡大したいとしている。
(航空会社社長 ガリー・フォスさん)
「これからプエルトリコ政府の積極的な支援を受けて会社をどんどん大きくしたいと思います。」
支援策にひかれプエルトリコに拠点を移す企業は年間100社以上にのぼる。
中でも歓迎されているのが高い技術を持つ企業である。
メキシコの製薬会社も去年工場を建設。
従業員100人を現地で採用した。
プエルトリコ政府が期待しているのがこの雇用である。
新規の雇用人数に応じて補助金を出し外国企業の進出を後押ししている。
さらに進出した企業が持つ技術が高ければ高いほど
それを吸収することで国内産業の発展にもつながると計算しているのである。
(政府関係者)
「プエルトリコはシンガポールやスイスのように安い税金で起業を呼び込んでいます。
それにより雇用も新たな産業も生まれます。」
外資を呼び込むことで成長してきたプエルトリコの経済。
しかしここにきてその戦略に暗雲が立ち込めている。
(保護者)
「子どもたちの権利を守るために私たちは戦っているのです。」
プエルトリコ北部にある公立小学校。
約200人の生徒が通っている。
ところが今年5キロ以上離れた学校に統合され閉鎖されることが決まった。
理由は政府の財政難である。
実は今プエルトリコでは財政難による公的機関の閉鎖が相次ぎ大きな社会問題になっている。
財政難の最大の原因と考えられているのが過剰な公共投資である。
外国企業を呼び込むためとしてインフラ整備に多額の資金をつぎ込み政府の債務が拡大した。
もうひとつの原因が地元企業の不振である。
外国企業が4%程度という低い税率の優遇を受ける一方で
地元企業の税率は20%近く。
競争力を失って破綻する企業が相次ぎ税収が減少している。
こうしたなか今年2月プエルトリコ政府が発行する債券の格付けが引き下げられ衝撃が走った。
プエルトリコ政府の債権は欧米の金融機関が販売する投資信託など様々な金融商品に組み込まれている。
プエルトリコ経済が破たんすればこうした金融商品の価値も下落し
欧米の経済にも打撃を与えかねない。
政府は公務員の年金や社会保障費を大幅に減らす方針だが
市民の間ではまず外国企業への優遇策を見直すべきだという声が高まっている。
(市民団体代表)
「外国企業はもっと金を払うべきです。
税率を1%上げればいいと思います。
国が無駄な投資をやめれば教育などにお金を回せるはずです。」
(経済専門家 ビジャミル氏)
「取り組みb歴ことは多くありますが
まずは税制を見直すことです。
このままではお金がなくなり政府は身動きが取れなくなります。」
税制の優遇措置で外資を呼び込み経済成長を続けてきたプエルトリコ。
その戦略が今大きな曲がり角を迎えている。
プエルトリコは40年前から債権を欧米の投資家に販売し続けてきた。
プエルトリコの債権には購入の際 全く税金がかからないため人気も高く
現在プエルトリコが抱えている借金は700億ドルにのぼる。
去年 財政破綻したアメリカのデトロイトの借金の総額が180億ドルだから実にその4倍近くである。
これらの債権が欧米の様々な金融商品(投資信託、年金など)に組み込まれている。
日本の金融機関はそれほど多くのプエルトリコの債権を扱っていないとしているが
年金や生命保険にもプエルトリコの債権が一部組み込まれている可能性もあり
プエルトリコが破たんすればその価値が大きく損なわれるなど影響も大きいと思われる。
そういう状況でも3月半ばに発行されたプエルトリコの債権があっという間に売り切れた。
金利が10%近いドル建ての債権ということもあるが
プエルトリコの債権がよく売れる背景には
多くの投資家がプエルトリコの破たんにはまだ時間がかかると考えていることがある。
プエルトリコがアメリカの一つの州ではなく自治領という特殊な存在だからである。
自治領というのは
外交や軍事面は完全にアメリカに依存しているが経済面では独立性が保たれている。
このため仮に財政破綻に直面していてもデトロイト市のように連邦破産法が適用されず
簡単に破たんすることができないのである。
現在プエルトリコはアメリカの州になることを望んでいるが承認されるには時間がかかる。
自分の資産を切り売りしてでもギリギリまで借金を返さなければならない状況である。
投資家に人気があるため返せる見込みがうすいのにどんどん借金ができるという悪循環に陥っている。
こうした状況が続けば世界経済のリスクが高ることにもなり早急な対応が求められる。