AGI Model 511その1
以前はあまり興味が無かった製品でしたが動作品がオークションに安く出ていたので落札しようと熱くなってしまいこんなアンプに45,000円も出して落札してしまいました。
当時ハイスピードアンプとして発売されたプリアンプで同時代に出ていたMARK LEVINSON LNP-2Lは高くて購入できない人などが購入していて結構売れたようです(口の悪い人に言わせるとプアマンズ マークレビンソンと言われていました)。まあ私はどちらも購入できませんでしたが・・
シンプルな外見でトーンコントロールは無くスルーレイト250V/μsec以上、ライズ/フォールタイム0.01μsec以下、タイム・ディレイ0.0035μsec以下という高性能を売りにした製品ですがそれでも40年近く前の製品ですので今となっては普通のプリアンプです。この時代オペアンプを使用したプリアンプは性能は良くても音が悪いのが多く、あまり良いイメージはありませんでした(今でもそうですが)。しかし木の箱に入るとなかなか高級品に見えてしまうのはどのアンプも同じですね。
正面 汚れがありますが木のケースに入っていると高級感があります、
リア RCA端子はガタがあるので交換します。
アールエフ・エンタープライゼス株式会社が輸入販売していました。
上のカバーを取ったところ 密閉構造なのできれいです。メイン基板はスルーホール基板を使用しています。部品の交換は必ず交換前についていたところに付けます。私は安易に同じところではなく違う場所に付けてしまったところ動作が不安定になってしまいました。
National Semiconductor LF 357N JFET 入力オペアンプ
Faurchild μA739 Dual Audio オペアンプ
米国MIL規格の部品を使用していますが経年劣化には勝てません 電解コンデンサーは全て交換します(何しろ電源が常時ONのままなので電源回路のコンデンサーは劣化が進みます)。よくSprague社のコンデンサーはこういう音がするとかいう人がいますが私はあまりこだわりはありません。国産の優秀なコンデンサーがありますのでそちらを使用します。タンタルコンデンサーは大丈夫なようですのでそのまま使用します。
トランスも小さくシールドも厳重にされている感じはしません。この配線を見るとわかるのですがこのAGI Model 511はコンセントを刺した時点で電源がONになります。それでは電源SWは何のためにあるのかというとLEDランプのON,OFFとリアにあるACコンセントのON,OFFのみとなり本体の電源SWではありません。多分電源SWがONのときにポップノイズを嫌ったためと思われますが・・今回は設計者の意思の通りそのままにします。
当時のどの日本製アンプよりも歪の無いクリアーな音だったと感じましたが、その後の世界中のアナログミキサーのミキシング回路は全てこの回路になってしまいました。5534にしても5532にしても出力回路、またはバッファー回路として使うにはパワーが足りないので、低音の力感が再現できないと個人的に感じています。しかし、市販のCDプレーヤーのほとんどは、5532で済ませているので、低域にはいつも欲求不満を感じます。
ちなみに、5534は、オリジナル、フィリップスの白ライン、TI、JRC全て音が違うので、ミキサーの中には使い分けしている人もいたと聞いていました。実際、低域以外は全て異なりましたが、TIはアースラインの引き回しが悪い設計なのが音が濁り勝ちでしたね。