村の公民館にて……
「アーノンとは……便宜上、つけた名前です。英語のunknownから来ています」
智美は、村人たちの前で、説明した。
「人間の心に干渉して、幻覚のようなものを見せる能力があると思われます」
敦美の父の、飯田紀之が、手を挙げて質問した。
「うちの敦美が死んだのも、そいつのせいかね?」
「はい……でも、アーノンは、敦美さんを殺そうとして、殺したのではないと思います」
「そりゃ、どういうこったい?」
「アーノンは、人間が海では生きられないことを、知らなかったのかもしれません」
「……」
村人たちが、ざわつき始めた。
「海が光っているのを見たら、すぐに逃げなきゃならねえな」
「海に近づくのも、危ねえんじゃねえか?」
「この噂が広まったら、誰もこの村に来なくなるぞ」
勝部は大きな声で、
「静かに! まだ説明は終わってねえ!」
大工の倉部勝(くらべまさる)が、
「善さん、なんであんたが仕切るんだ」
「なに……」
「この村みんなの問題じゃねえか」
「わかったわかった、とにかくあの子の説明を、最後まで聞けちゅうんだ」
「ふん……」
村人たちがようやく静まると、智美は続けた。
「なにか、訴えかけているのかもしれないんです。なにか感じた、という方がいらっしゃったら……」
とりあえず、一通りの説明は終わり、集会は解散となった。
「すまなかったな、智ちゃん」
「いいえ……」
「みんな家族みてえなもんだが、事が切羽詰まってくると、手前勝手なことしか言わねえ。情けねえこった」
勝部と智美が話していると、
「あの……よろしいですか」
青白い顔をした女が、話しかけてきた。
「おお、滝沢さん」
「うちの娘なんですが……」
「ええと、絵里ちゃんか?」
「ええ、今……お恥ずかしい話ですが、引きこもっておりまして」
「……」
「あの子は、なんといいますか、カンが鋭いというか……そういうところがありまして」
「うん」
「他の人にはわからないものが、見えたり、聞こえたりするらしいんです。特に最近では、海のほうをじーっと見やっていることが多くて」
「……ふむ」
「もしよければ……お役に立てるかどうか、わかりませんが」
勝部と、智美は、顔を見合わせた。
もしかすると……?
(つづく)
「アーノンとは……便宜上、つけた名前です。英語のunknownから来ています」
智美は、村人たちの前で、説明した。
「人間の心に干渉して、幻覚のようなものを見せる能力があると思われます」
敦美の父の、飯田紀之が、手を挙げて質問した。
「うちの敦美が死んだのも、そいつのせいかね?」
「はい……でも、アーノンは、敦美さんを殺そうとして、殺したのではないと思います」
「そりゃ、どういうこったい?」
「アーノンは、人間が海では生きられないことを、知らなかったのかもしれません」
「……」
村人たちが、ざわつき始めた。
「海が光っているのを見たら、すぐに逃げなきゃならねえな」
「海に近づくのも、危ねえんじゃねえか?」
「この噂が広まったら、誰もこの村に来なくなるぞ」
勝部は大きな声で、
「静かに! まだ説明は終わってねえ!」
大工の倉部勝(くらべまさる)が、
「善さん、なんであんたが仕切るんだ」
「なに……」
「この村みんなの問題じゃねえか」
「わかったわかった、とにかくあの子の説明を、最後まで聞けちゅうんだ」
「ふん……」
村人たちがようやく静まると、智美は続けた。
「なにか、訴えかけているのかもしれないんです。なにか感じた、という方がいらっしゃったら……」
とりあえず、一通りの説明は終わり、集会は解散となった。
「すまなかったな、智ちゃん」
「いいえ……」
「みんな家族みてえなもんだが、事が切羽詰まってくると、手前勝手なことしか言わねえ。情けねえこった」
勝部と智美が話していると、
「あの……よろしいですか」
青白い顔をした女が、話しかけてきた。
「おお、滝沢さん」
「うちの娘なんですが……」
「ええと、絵里ちゃんか?」
「ええ、今……お恥ずかしい話ですが、引きこもっておりまして」
「……」
「あの子は、なんといいますか、カンが鋭いというか……そういうところがありまして」
「うん」
「他の人にはわからないものが、見えたり、聞こえたりするらしいんです。特に最近では、海のほうをじーっと見やっていることが多くて」
「……ふむ」
「もしよければ……お役に立てるかどうか、わかりませんが」
勝部と、智美は、顔を見合わせた。
もしかすると……?
(つづく)
ホラーものやファンタジーものはあまり読まないので、まったく先の予想が出来ません…(^-^;
どうなるのか、ヒントを教えて下さい(笑)
すでに物語は後半に入っており、この先もう一人、新たな登場人物が現れます。
実はその人物は……って、これを言ったらネタバレになってしまいますね。
苦手なジャンルなのに、読んでいただき、ありがとうございます!
13回にて完結の予定です。よろしくお願いします。
読めるもんだねーーーーーーーーー!!!
よく、新聞に連載小説ってあるけど
まさに、そんな感じーーーーーーーー!!!
ほんと、読書嫌いな宮ちゃんが
こうやって読めてるのも
トロさんのお蔭ーーーーーーーーー!!!
感謝ーーーーーーーーーーーー!!!
僕も、毎日投稿して、皆さんの反応を見るというのが、
たいへん楽しく、そして勉強になります。
読書嫌いな方でも面白く読めるように書くことを心がけていますが、
なかなか難しいですね~。
こちらこそ、感謝です!
最終回まで、よろしくお願いいたします!
普段は小説なんて、わくわくするような特別な理由でもない限り目にも止めない私ですが、
トロさんの連載小説は毎日欠かさずどころか何回も読み返して、皆さんのコメント込みで楽しんでます(笑)
特に、作家さんの創作活動中に話しかけて今後の話の展開のヒントが貰える辺りとか、こんな読者との新しい形が今まであったんだろうか?ってくらい面白いです♪
他のブログを見ていたらトロさんのコメントする内容が前々からちょっと気になっていて、
そこから飛んでこちらのブログでトロさんのポエムに触れて、
やっぱり面白くてもうちょっと長い文章も読んでみたいと思っていたら連載小説が始まって、
待ちに待った2作目も愛読して、今ではすっかりトロさんの小説ファンになりました( ^ω^ )
えー、もう小説は後半に入っていたとは、楽しい時間はあっという間ですね。
残りの小説も楽しみにしています☆
読んでくださる方がいる、というのは書く者にとってとても嬉しいことです。
まして、感想などをコメントしてくださる方もいて、そのコメント込みで楽しんでいただけている、というのは、
大変勉強にもなりますし、小説を書いていて良かったなあ、という気持ちになりますね~。
そして、このブログでの連載という形は、たいへん良い修行になっていると思います。
最終回まで、どうかお付き合いくださいね。
3作めも、すでに構想はしているんですが…。
トロさんはなかなかのアイデアマンなんですね〜
コレからも創作活動を楽しんじゃって下さいね_φ(・_・ ふんふんふふ〜ん♪
まだ出来ているわけではありません。
でも、いずれブログでお目にかけますよ、3作目。
ちょっと時間はかかるかもしれませんが。
何よりも、書く習慣がついた、というのは大きいですね。
大事なことですから。