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ロンドンから徒然に

カラスの存在感

2009-10-25 | 日常
 所変れば品変る、で国が変われば風俗習慣や物事に対する考え方が違うことが多いですね。

 同じアジアでも例えば日本では結婚のご祝儀は“割れない”数字ということで奇数を好み、1万円、3万円、5万円といった風な包み方をするのに対し、中国は逆に“ふたりが対になるように”と偶数が好まれるみたいです。

 こちらでは、イタリアで黒猫が不吉の象徴として忌み嫌われるのに対して、意外とイギリスでは幸運の象徴と見なされることが多いようです。

 ところが、同じ黒でもカラスはイギリスでは不吉な意味に取られることが多いです。これはアーサー王伝説において、魔法をかけられたアーサー王がカラスにされてしまい、そのためカラスを傷つけることはイコール国王への反逆だと見なされるからだと言われています。

 ところで英語では“カラス”の訳がいくつもあります。一般的なcrowの他にraven(ハシブトガラス、オオガラス、ワタリガラス)、rook(ミヤマガラス)、jackdaw(コクマルガラス)などがその例ですが、上に書いたカラスはravenです。

 ロンドン塔を訪ねたことのある人なら気付いたかもしれませんが、ここには大きなravenがいます。
 シティの大火で大量の焼死者が出た際に、腐肉を求めたravenがたくさん発生し、ロンドン塔にもたくさん住み着きました。
 ところが、これを駆除しようとした時、カラスがいなくなるとロンドン塔が崩れ英国も運命を共にする、という占い師の予言があり、それ以来ロンドン塔ではravenが一定飼育されているのです。驚くことにraven masterというちゃんとした国の役職まであるとのことです。



 でも、こういった特別な場所を別にすれば、一般的にはあまりカラスは見られません。特に日本でその数の多さとふてぶてしさを知っていると、意外と思うほどの存在感のなさです。
 餌を狙ってやってくるのも、まずは鳩とリス、カラスはその後におとなしく控えているという感じです。ゴミを漁るのも殆ど鳩ばかり。
 これじゃあまり“不幸の象徴”としても貫禄がないかな(笑)

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