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ロンドンから徒然に

脳内イコライザー

2019-07-01 | 日常
ううん、難しいなぁ。
最近わけあってバイオリンの音を聴き比べた。と言っても、高級なものではなく子供用のハーフサイズのもの。将来バイオリニストを目指している子供ならともかく、これをずっと使うわけではなく、すぐにサイズを3/4そしてフルサイズと代えていかなくてはならないから、何よりコスト・パフォーマンスが望まれる。

とはいえ、チューニングがやりにくかったり、弾きにくかったりすると、音色以前の問題として継続しなくなるのは、楽器をギターに置き換えて考えるとよく分かる。なので、「バイオリンの形をしたおもちゃ」というわけにはいかない。

自分で弾くことができればなぁ、そういう点も含めて判断できるんだけれど…
ちなみにちょっと弾かせてもらったけれど、やはり僕の腕ではこれが仮に高級バイオリンであったとしても、それこそおもちゃに聞こえてしまいそうだ(苦笑)

なので、もうこれはひたすら自分の耳を信用して聴き比べるしかない。
ところが、これじゃちょっと…と思っていた音色も、何度か聴いていると耳に馴染んできて、これはこれでありじゃないかと思えてくる。

で、ふと思い出した。
以前読んだサウンド・デザイナーの椎野秀聰さんの著書の中で触れてあったんだけれど、人間の脳は高度なイコライザーで、耳障りな音や聴きたくない音をシャットアウトして、補正された音が入力される仕組みになっている。コンサートに行って、最初の2〜3曲の後に音が良くなったように感じるのは多分にこの影響である、と。(ちなみに、彼がPAスタッフに後で尋ねたらセッティングを大きくはいじっていないという返事だったのこと)

ううん、そうなるともう最初に聴いた時の印象だな。
ということで、その時に一番暖かな音色に感じたものを選んであげた。気に入るといいが。

もしかして人間の脳って、音色だけじゃなく感情なんかもイコライズしているのかな。そう言えば、苦しかった経験や悲しかった出来事なんかも振り返ってみると、何だか一枚やさしいものにくるまれた感じで思い出せる。



25年来の長い付き合いだった親友が亡くなった。
訃報を聞いてもしばらくは実感が湧かず悪い冗談のようにも思え、何気なく電話をしようとして思いとどまり、(諸事情から行うのが遅れた)葬儀からこちらは今度はいきなり気持ちが揺さぶられて涙まで出て、おまけに自分まで実はずっと体調が悪くて病院で検査の繰り返しだったので、昼間にひとりで過ごすのが辛かった。

でも、やっと脳内のイコライザーが効いてきたみたいだ。

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