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ロンドンから徒然に

風と共に“去りぬ”

2008-07-10 | 映画・演劇


 前回のロンドン赴任からは10年以上が経っているので、当然の話ながらミュージカルの演目も随分様変わりしました。永遠に続くかと思われた『キャッツ』だとか『ミス・サイゴン』だとかの大人気ミュージカルもいつの間にか幕を閉じています。
 そう考えると、未だにチケットが入手困難な(入るには入りますが割引率のいいチケットの獲得が難しいです)『オペラ座の怪人』なんて本当に快挙だなと思います。ロンドンだけでなく、NYはもちろんのこと世界各国で展開しているのですから、そのビジネスの規模も分かるというものです。

 この春『風と共に去りぬGone with the wind』がミュージカル化されるということで話題になりました。
 トレバー・ナンTrevor Nunnと言えば、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー出身で、イギリス演劇界では知らない人がいないほどの重鎮ですが、彼が演出を手がけるということ、相当な宣伝もかけたこと、原作も映画も知名度が高いこと、等々からその成功は約束されたようなものでした。
 ところが4月5日のプレビュー後の新聞各紙からの酷評(Independent紙は褒めていたようですが)の嵐に負けたのか、4月22日の正式上演からも客足が伸びずに、それから2ヶ月足らずの6月14日に幕を閉じてしまいました。

 不評のひとつが上演時間の長さで、当初なんと4時間20分もあったそうです。大抵のミュージカルは7時半に始まり、途中20分ほどの休憩を挟み10時半には終わるという感じですから、比べてみるとその長さが尋常じゃないことが分かるでしょう。
 さすがにまずいと思ったのか、上演開始から1ヶ月後には3時間10分に修正されましたが、それでもBBCの言うように“too little, too late”でした。

 水商売とはよく言ったもので、本当に当たると当たらないでは天国と地獄に分かれてしまいます。このミュージカルも大ヒットを狙って巨額な制作費をかけたに違いありません。
 ロンドン・ミュージカルの収益はけっこう観光客に支えられていると思うのですが、最近では不景気の煽りを受けて動員も減っているということです。生き残るだけでも大変なのはどのビジネスでも同じでしょう。

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