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ロンドンから徒然に

“期間限定”でなくなった内部拝観 ~ カサ・バトリョ

2008-08-28 | 旅・イベント
 枯葉があちこちに散って、ロンドンはもうすっかり秋の気配です。現地では辛かったバルセロナの暑さが懐かしい気もします。写真もまだたくさんあるので、もう少しガウディをネタに書いてみようかと思います。
 カサ・ミラ(ラ・ペドレラ)、サグラダ・ファミリア、グエル公園、コロニア・グエル教会と書いてきましたが......そうだ、カサ・バトリョの紹介がまだでした。

 現地のカタルーニャ語ではカサ・バッリョと発音されるこの建物、まるで仮面のようなバルコニーと破砕タイルの壁、そして動物の骨にも見える支柱と屋根のカーブが特徴的です。その外観は夜になってからの派手な照明と相俟って、マスカレード(仮面舞踏会)そのものの怪しい雰囲気で、道行く人の注目を集めています。



 ずっと長い間、内部に入ることはできなかったのですが、ガウディ生誕150年を記念する2002年の“ガウディ・イヤー”時に1年間限定の触込みで建物内部が一般公開されたのです。予想通りの人気の高さで、連日長蛇の列だったそうです。そこで決まった“1年延長”。
 ここで済まないのがスペインの良いところで(笑)結局その後に“期間限定”を取っ払ってしまいました。おかげで今回も内部を見ることができたというわけです。

 以前は2階(現地でいう1階)部分が見学の基本で、追加料金で屋根裏部屋と屋上を見ることができる仕組みだったのですが、今は両方通しのチケットに統一されています。
 もちろんその分値段も高くなって、僕はバルセロナ・カードを利用して割引で入ったのですが、正規料金は確か17ユーロ(約2,900円)以上していたと思います。ちなみにこの値段は数あるガウディの建築物の中でも突出して高い入場料です。オーナーがあのチュッパ・チャップスの創業家の出身らしいので、商才に長けているのかもしれません(笑)

 入口をくぐってすぐの螺旋階段からして十分に好奇心を掻き立てますが、そこからはもう天井を見ても、床を見ても、窓を見ても、溜息の連続です。この耽美さは何なのでしょう。先日書いたCMの中のナレーションに、確か“石作りなのに柔らかい”みたいな表現があったと思うのですが、これも独自の曲線によるものなのかもしれません。





 エレベーターを使わずに階段で屋根裏部屋まで登って行く途中にはいくつもの個性的なドアがあります。この部分はプライベートに使用しているらしく、中には表札がかかっている部屋もありました。こんな部屋に住めるなんて羨ましい。
 屋根裏部屋にはつい山彦を連想してしまう幾条ものカーブが描く通路とホールがあります。そして屋上へ。カサ・ミラにも通じる煙突の造形はやっぱり楽しくて、色んな角度から眺めてみました。



 それにしても、基本的に“改築”だけを行ったはずが、これだけの中身にしてしまうのですから、やっぱりガウディの力は底知れないものがあります。こんな才能を生みだすのもやっぱりスペインだからかな。