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ロンドンから徒然に

サグラダ・ファミリアの完成日

2008-08-23 | 旅・イベント
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 ガウディの建築物と言うと、やっぱり誰もが一番に挙げるのがサグラダ・ファミリアだと思います。スペイン語でSagrada Familia、英語に置き換えるとSacred Fasmily ということになるので、日本語に直すと“聖家族”でしょうか。貧しい人々のための贖罪教会として計画されたのですが、最初に建築を依頼されたフランシスコ・ビリャールという人が辞任したため、急遽まだ当時は無名だったガウディが受け継ぎ、一から設計を練り直しています。そしてガウディ亡くなった今も未だに建設が続いており、クレーンが建築物の一部のようにさえ見えます。



 実は僕はバルセロナを1990年前後から今までに数回以上訪れています。その度に必ずサグラダ・ファミリアには立ち寄っていたのですが、最初の頃は東と西のファサード以外に目立った進行は見えませんでした。
 壁も屋根もないので真ん中は広場のようになって、建築資材も雨ざらしで、その上いつ来ても工事している人の姿を見かけませんでした。ところがこの数年前からは一気に工事が進んだように思えます。四方の壁だけでなく屋根も付いて、段々と完成の暁の姿が想像できるような気がしてきました。下の予想図にもあるように、既にある90mを越す塔のさらに上を行く170mの塔が20年後に完成すると言われています。



 それでも、工事に着工してから既に125年が経ったにもかかわらず、まだまだ建築は続き、現在の予測では完成は2256年頃だというのですから、本当に気が遠くなるような話です。
 その訳はスペイン人ののんびりした性格ばかりでなく(笑)別のところにもありそうです。実はガウディは詳細な設計図を残しておらず、製作した模型も内戦などで焼失しています。そこで残されたわずかな資料や職人からの伝聞で、その時代時代の建築家がガウディの思想を推測するということを行っているらしいのです。

 でもまぁそのおかげで(?)細部は世界中の色んな人達の芸術感のミックスになって面白い結果になっています。東側の“生誕のファサード”の彫刻を手掛けたのは日本人の彫刻家、外尾悦郎氏。彼の作品が出来上がった当時に来た時は全ての彫刻が真っ白で、古くからの建物からは浮いたように見えましたが、さすがに何年も経って、それなりに貫録の出た汚れが付いてきました(笑)
 また西側の“受難のファサード”はJosep Maria Subirachsというカタルーニャ人の彫刻家による作品で飾られ、その個性あるキリスト像は最初から物議を醸しましたが、これもまた何年か経って馴染んだ感じがします。



 この先何らかの奇跡が起こって、スペイン人の性格が変わり、建築技術に飛躍的な進歩があって、完成が早まるなんてことがないかと期待しているのですが、今日何人かと接した限りでは、少なくとも前者は望み薄なようです(笑)