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ロンドンから徒然に

ダイアナ妃とヴィクトリア女王

2008-08-11 | 日常
 以前住んでいたのがノッティング・ヒル・ゲイト駅の近くだったので、よくケンジントン・ガーデンズには散歩に来ました。当時この中にあるケンジントン・パレスはダイアナ妃の住居として使われていましたが、文字通り国民的人気の妃ゆえ、彼女の写真を狙う連中は後を絶たず、カメラとトーキーを手にしたパパラッチが連絡を取り合い、グループで張り込みしているのをよく見かけました。
 まるで昨日のことのように思いだされますが、その時の宮殿の主ももうここにいないと思うと寂しい気がします。



 ところで、宮殿の正面にある像は誰をモデルにしたものだか分かりますか?そうです、ヴィクトリア女王です。1837年から1901年まで、なんと64年もの間、女王として君臨し、イギリス帝国の繁栄を堅固なものにしました。産業革命による経済の発展が絶頂期に達し、世界各地がイギリスの植民地と化したのもこの頃です。
 
 こう書くと、気丈な男勝りの女性のような気がしますが、実は1861年に愛する夫アルバート公が死去した後、悲嘆に暮れて何年もの間事実上の隠遁状態になってしまったことがあります。
 周囲は女王の公務復帰を画策して、アルバート公の従僕だったスコットランド人を呼び寄せますが、この男ブラウンとの間の“恋”を描いた映画が『Queen Victoria 至上の恋』です。原題の“Mrs. Brown ブラウン夫人”は、彼らの仲を面白おかしく噂する人々が揶揄を込めて女王に付けた名前です。

 ダイアナにしろ、ヴィクトリア女王にしろ、身分の違う者へ気持ちを許すことでしか癒すことのできない孤独と緊張感があったに違いありません。
 公園はそんな物語など関係ないかのようにのどかでした。