植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

戦争は起こしてはならない では、貧乏くじ(ガチャ)を引いたら???

2021年10月25日 | 時事
 ワタシはS31年生まれで、終戦から10年経っております。「戦争を知らない子供たち」なので、戦争の悲惨さや恐怖、死の恐れなどを体験するはずも無いのです。普段は、戦争になんの関係も興味も感じていないワタシ達ではありますが、その過去の事実を知っておくことと、それを後世に伝えていく責務は有ろうと思います。先日このブログに掲載した師の書本「冬の衣袴」の衣袴は、兵隊が身に付けた軍服の別称であります。


 家内によると、最近はネットや2チャンネルで「親ガチャ」とよぶそうです。子供が大好きなガチャは、ほとんどが欲しくないものが出て来るのに、たまにいいものが入っているので欲しがるのだそうです。親ガチャは、ポンと生れ落ちた時の、親の状態に左右されます。子供は親を選べず、誕生した時に、授かった遺伝子や親の職業・地位、財産で自ずとそれからの不公平不平等が生じているのです。

 家内が言うには「国ガチャ」もあるのだそうです。映画を撮影する小道具に実弾入りの拳銃を使う国、半島全体が北朝鮮の領土で韓国が記載されない地図を発行する国、テロ集団とテロ国家同士で殺し合う国、そんな国に生まれた国民は国ガチャがはずれだったのでしょう。今の日本国民は、なんだかんだ言っても、徴兵もなく、76年間戦争を起こさず攻められず、平和という当たりガチャを引き当てたと言えます。

 昨日は、地元の神社で「戦没者慰霊祭」が催行されました。境内には東郷平八郎揮毫の書が刻まれた、大きな慰霊碑が建てられていましたが、不信心なワタシはそんなことも知らなかったのです。自治会長になったおかげでこうした式典に呼ばれることになりました。ワタシの住む「須賀地区」では、246柱の英霊が、国の為に戦い命を捧げたのだと知りました。
 
 朗々とした降霊や昇霊の声が社中に響く中、秋の凛とした風が吹き渡ってきました。戦没者とは、赤紙一枚の召集が来ると、お国の為という命令で戦地へ赴き、実際に敵と対峙して戦死した若い人たちのこと。その尊い命と引き換えに、今の日本人が平和に暮らせているということであります。そのことを感謝し慰霊し、不戦の誓いを思い起こすという式典に参列するのは、まことに得難い経験でありました。

 ただ、その背景や史実を考えると、軍部・軍人政治家が、国政を恣にして天皇の名前の元に無謀な戦争に突入した、その「犠牲者」であることを忘れてならないと思います。日清・日露戦争から、第一次世界大戦まで、「大日本帝国」は戦勝国として成功体験を重ねてきました。帝国主義的な領土拡張に戦争を利用して、北方領土や台湾、満州、朝鮮などを一時的にせよ実効支配、領土獲得したのでした。

 第一次世界大戦では、戦争ガチャで「日英同盟」があったために、結果的に漁夫の利を得ました。ところが太平洋戦争では、世界の勢力図を見間違えてドイツと手を結び、物量や軍備・情報力などの圧倒的な劣後に対して、精神論で戦うという 一部政治家と軍部の狂気によって敗北必至の戦争に突入したのです。

 230万人と言われる太平洋戦争の戦死者の多くは病死と餓死で、実際に敵の弾に当たったり爆弾で吹き飛ばされたのは少数なのです。一説ではその60%が餓死だそうです。兵站の重要性を軽視して供給や連絡体制が崩壊したため、食料などの補給路を断たれて、戦わずして死んでいったのです。のみならずマラリアなどの熱帯病や感染症にかかり栄養失調となり病気でも亡くなりました。輸送船が攻撃されて溺死した将兵が、20万人もいたと言われます。

 感傷的いえばこの人たちの「御霊」は永久に浮かばれないとさえ思います。陸海軍で反目し、職業軍人たちの無知と軍益・私利私欲のために、無謀で大義の無い戦争に駆り出され、食うものも銃弾も尽きて「犬死」、無駄死にしたのですから。

 後世の評論家などは、戦争に負けたおかげで今の日本が有るのだとか、原子爆弾投下で終戦が早まり、日本の領土が侵略され民間人に犠牲者が増えずに済んだのだ、とか無責任なことを言います。これは結果論であります。近代の日本で、天皇制という国の基盤となるシステムのどこかで誰かが、幾度か「軍国ガチャ」を引いたのです。軍部が国政を掌握し、軍を優先させるようになると誤った方向へ暴走し始めます。ミャンマー・北朝鮮、アフガニスタンなどがその典型であります。その圧政・暴虐の後に待っているのは累々と横たわる国民の亡骸でありましょう。

 憲法第九条で「戦争を永久に放棄したはず」なのです。「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と定められた条文を安倍総理は「自衛隊」の存在を正当化し盛り込もうとしました。世界有数の実質的な軍事力を有した自衛隊であります。実際に軍隊があるのだから、それを明確に憲法でオーソライズしようというのです。これは、軍政に向かう第一歩ではなかろうか、と思います。

 先日、中国とロシアの合同の艦隊が堂々と津軽海峡を航行して太平洋に抜けたと報じられました。外務省や防衛庁は、なんの抗議も排除活動もしていません。いいんですか? 日本の海上自衛隊の艦隊が、中国領海に入っていったら中国は笑って見過ごすのでしょうか? 国際法上の領土侵犯や領海・領空侵犯がどういう定めなのかは知りませんが、こんな弱腰では、国際社会で日本が舐められているのは当然ですね。
 無防備なまま、敵性国家の軍艦や戦闘機が領土を侵害して侵入しても排除できない現状を容認するのか。実に悩ましいのであります。

 大当たりの「親ガチャ」のおかげで労せずして国政のトップで安穏としていられる麻生さん、安倍さんや、岸田さん、タローさん(河野さん)などの所業を天上にいる英霊たちが、どんな思いで見ているのか聞けるものなら聞いてみたいと思う一日でありました。


 

 

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« コロナ退治の大チャンスなん... | トップ | フェイジョアが落ちると秋を... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
些細なことですが (三郎)
2021-10-25 20:39:26
度々訪問させて頂いております。
津軽海峡は全て日本の領海ですが、不文律ですが国際海峡と呼ばれ、軍艦を含む全ての船舶の無害通行が認められております。
同様にマラッカ、ボスポラス、ホルムズ等のように中央に領海線を有する海峡も国際海峡と認知されており、領海線に関係なく通行が許されるべきという国際的共通認識であります。
そのことが、ホルムズ海峡におけるイラン革命防衛隊の船舶攻撃が非難される所以であります。

コメントを投稿

時事」カテゴリの最新記事