植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

石印材は在庫とみるべし

2024年04月06日 | 篆刻
  • ワタシが篆刻というものに初めてトライしたのが約5年前でありました。
会社を退職して、老後の趣味として第一に考えていたのが「書道」で、60才過ぎてすぐに地域でも有名な先生の門をたたいたのです。最初は、楷書から行書・草書と書体に合わせて古典を「臨書(お手本として真似て書く)」していました。数年後、「そろそろ作品作りに入りましょう。公募展に出品しましょう」と言われました。

その時、初めて落款に使う自分の「姓名印」が必要になったのです。篆刻も書道のジャンルの一つであります。ワタシも勿論試しに自分で彫ってみましたが、そう簡単に石が彫れるはずもありません。「篆書体」という印専門の書体を学んで初めて石を彫るための「字入れ・下書き」=布字が出来ます。その通りに彫るだけでもなかなかこまかな技術と集中力が必要なんです。

そこで、安直に、人に頼んで彫って貰ったのです。近所のはんこ屋さんで「篆刻家」さんが居ると聞きつけ、ワタシのお気に入りの印材を持ち込んで姓名印1個を依頼したところ、なんと彫賃だけで2万円でありました。書道用の落款側款に使う印は、姓名印のほかに「雅印」「引首印」あるいは遊印などがあります。まとめて三顆がセットになります。これをいちいち専門家に頼んでいたらヘタすると印材・箱込みで5万円以上になります。

書の内容によっては幾種類かの三顆印が必要で、それを揃えるとなると十万円以上かかる、と知って「自分でなんとしてでも篆刻印を自作するよりない」と心に決めたのが4年ほど前でありました。以来石印材・印刀・印床などをヤフオクで次々に落札することになりました。手がけたのは書道の臨書と同じく「名人の作品」を模刻することでした。来る日も来る日も徐三庚先生や呉 昌碩先生の印譜を模倣しました。

それらの印材をヤフオクで集め、必死に彫るうち、篆刻の魅力に取りつかれていったのです。またその傍ら、石印材にも安い寿山石・青田石から非常に高価なブランド石があることを知り、石の持つ美しさや奥深さにも魅了されました。さらに、ヤフオクにかなりの確率で混じっている印面に刻あり、篆刻家さんの側款あり(側面に彫った作者の雅号等)は、文化的芸術的価値が付加されて高値で取引されていることも知りました。

結果として、自分で彫るだけの実用印から、コレクションとして価値の高い石印材も両方集めるようになりました。石は腐らない・いつでも印面を潰して再利用できる・田黄石・鶏血石などの銘石は、本物であれば値上がりする、といった「資産価値がある在庫」兼印材コレクションとして自分の手持ち資金を優先的にヤフオクに投入してきた結果、その数は4千個を超えております。

石集めに待ったがかかったのは、昨年終わりでした。自分自身、ガーデニングや書道・ブログなど様々な趣味や愉しみに手を出しているうちに、いつのまにか自分が老化が進み、手に負えなくなりつつあると実感したのです。そして「終活」に入ったのが昨年暮れからであります。現預金や銀行口座その他の債権などを整理し、一つの口座に集約しました。散らかし放しだったワタシの仕事場も人に頼んで清掃整理に入りましたし、自分で植えて育ててきた庭木も初めて植木屋さんに剪定を頼んだのです。

そうして、もしワタシに何かあったら一番家族が当惑するのが処分に困る価値のわからない「石印材」であろうと考えました。
そこで自分が元気なうちに①自分で摸刻したもの、他の素人の人が使っていた印材の印面を潰して磨く ②一本5千円~1万円以上するものを単品で整理しヤフオクで販売する ③未刻印はまとめて10~20本単位にしてヤフオクに出品する・・・などを始めて、よほど気に入っているものと、人に頼まれて彫る質のいい印材以外の石を換金しようと考えたのです。

残念ながら、ヤフオクは落札はさんざんやりましたが、出品したことは未経験であります。また、現在はいささか病んで体調不良なので、出品→落札→品物の発送までちゃんとこなせるか心配なのです。とりあえず、整理に入ると決めた以上、新たに落札して石を増やすというのは原理原則に反しますわね。

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