植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

臨書を臨書する

2021年07月27日 | 書道
毎日誰かの書を臨書しています。臨書というのは、本来中国の名筆をお手本に真似て書くので、通常ほとんどは二玄社や天来書院が発行している古典になります。これらは、大元が中国の王義之、顔真卿、 王鐸・欧陽詢・孫過庭など書聖・大家が書いたものですが、紙に書いた真筆が残されて写真から転写されたものではありません。多くは古に原典を弟子が書き写し、そのどれかが石工によって石に刻まれ、数百年以上経過して、毀損摩耗した石碑を誰かが拓本にとったものが印刷されたに過ぎません。

 つまり、書いた方がどんな名人であろうが、その書が見事であろうが、その後何人もの手によって形を変えてオリジナルとは相当異なる(劣化し変形した)ものと思っていいのです。市販されている手本書、法書法帖 ・名蹟を見てもすごい上手な書に見えてこないと言うのはそういう理由によるものだと思います。

 そこで、これはうまいなぁ、こんな字を書きたい、と思わせるものが「臨書本」であります。中国・日本を問わず数えきれない無数の書道家が臨書してきた古典です。その中で古典の書・書聖・名人たちの書法を学び理解し、独自に技法を確立した諸先生の「臨書」を臨書するのが上達の道であろうと考えております。
 篆書ならば、篆刻の始祖ともいえる呉昌碩さんの「石鼓文臨書」、「蘭亭序」なら欧陽詢 臨本などです。近年発行されたこうした臨書本は、絹本とか糸綴じ、半紙に書きやすいような縦長の「折り手本」などいろいろなパターンがあります。しかし、とうてい文庫本にはなりませんから、ポンポン売れるものでないこともあり一冊数1,000円から1万円近いものもあり、汚損するような練習の手本にするには高価で手が出にくいものなんです。

 ワタシはそこでヤフオク「書道本まとめて」を幾度も落札して入手しています。書道家さんの遺品整理、廃品業者さんからの出品が多いのですが、書を学んだ人たちの多くはいろいろな「書道字典」の類に混じって臨書・手本を保有しています。そういうものに下手なものはありません。ほぼすべてが真似て学ぶに値する手本になります。

 ワタシの手元には、古くは明治の三筆の「日下部鳴鶴」「梧竹」さんはじめ、「石田栖湖」「青山杉雨」さんなどの臨書本がたくさん集まりました。このような中古本は単品出品でも案外お安いものなんです。書き込みがあろうが乱丁・汚損・破損なにも関係ありません。お手本になる字さえ見れれば問題ありません。

 本ブログで、先日書きましたがこのところずっと鳴鶴先生の十七帖臨書(王羲之)の下巻をずっと臨書していました。 いままでも十七帖だけで3種類の手本を臨書・練習してきました。稽古していたのが下巻(坤)しかないのでそのうちヤフオクで見つけねばと思っていたら、なんと後ろの書棚に隠れていました。ヤフオクでたしか2千円位で上下セットで落札したのをコロッと忘れていたんですね
(´;ω;`)ウゥゥ 情けない
 昭和4年発行、当時一冊参円で販売されております。現在価格では6,7千円というところでしょうか。これは古書店などで買うと上下2冊で2万円以上するそうです。


 かくして、ワタシの作業場にはいつしか書道本と篆刻用印材、書道紙であふれております。せっせと書き(臨書本をひたすら臨書する)、せっせと彫る(ヤフオクで入手した古印・篆刻印作品集を摸刻する)。なにもその先のことは考えず書道に励む日々であります。

 ついでにヤフオクで見つけた「風俗画報」を紹介しておきましょう。明治22年刊行のわが国最初のグラフィック雑誌 だそうです。(決してえっちな風俗情報を掲載したものではありません 笑)。江戸時代が終わって20年ちょっと経った時代の貴重(かどうかはわかりません)な雑誌で、まだ、浮世絵の木版の技術が残っている様子です。ほとんどが活字の説明文、わずかに白黒の絵、色刷りの見開きは数ページでありました。130年ほど前に印刷されたこの雑誌の色はさほど褪せてもなく、日本の浮世絵・版画技術の高さを感じるものですね。因みに定価は15銭と書かれています。現代の物価で言えば(2万倍くらい)3千円!大変高価な雑誌だったんですね。


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