植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

ヤフオクで妙な石ばかりを落とす悪い癖

2023年10月25日 | 篆刻
忘れたころに「コロナのワクチン接種」をやりました。派生型「XBB」 というのが最新型の変形種で、これに対応するファイザーとモデルナのワクチンを打つという「無料」の接種券が届いたので1年ぶりに出向くことにしました。5回目は面倒でパスしたのです。おかげで昨夜から打った箇所が痛く、頭痛と倦怠感も出て参りました。腕の痛みを感じるので妙な寝相になって腰も痛いのです。今朝は速攻―で鎮痛薬を飲んで、いくらか楽にはなりましたが。

相変わらずヤフオクでちまちまと印材を物色しては安いものを落札しております。優先順位は①田黄石(のようなもの) ②紐や薄意という装飾の彫があるもの ③著名作家の側款があるもの、といったところですが、③はそもそも値段が高くなるので落札はほぼ皆無であります。あとは、手持ちのコレクションに無い外観の美しい石、書道家さんが長く使っていたと思しき彫のある印をまとめて落札というのもあり、です。たまに上等の印材や篆刻作家さんの印が紛れ込んでいることがあるからです。

さて、この数日に届いた落札品の紹介であります。一つは田黄石擬きで表面に薄意がある、という優先順位が高い品です。重量は184gでした。
出品時の説明書きには「天然石 松竹人物図 田黄?」と記載されておりました。出品者は印材には詳しくないのは明らかでした。田黄(擬き)に入札する際の前提条件は「自然石」であることです。田黄石はほとんどが、田黄石と間違いやすい別の自然石でありますが、これに加えて粗悪な人造石(溶剤に様々な人工物を溶かし込んで固める)が無数に存在します。ワタシはそれでけで数十個の人工石を(騙されて)保有していて処分に困っております。

今回の石は、未刻ながら天然石であることは明らかでした。地肌・印面・薄意をちょっと丁寧に観察すればわかるようになりました(授業料はずいぶん払いましたが)。で田黄石かと言えば、ほぼNoであります。見た目は半透明で自然石形、薄意があるということから田黄石の基本的特徴は有していますが、184gで落札価格が9000円弱、ということはほとんどのコレクターが、こいつは田黄では無かろう、と判断した結果です。狭義の本物の田黄は、同じ重さの金の価格で取引されたと言います。現在の地金の1gは約1万円ですから、半分としても100万円ちかい値段になりますね。発見される田黄の原石はだいたい10g前後であったようですが、今は掘り尽くされてほとんど出土しないそうです。

ワタシの見たところ良くて「高山凍・杜陵坑・坑頭黄」あたりであろうと思います。大山黄というのも似ているようですが、どのみち田黄石では無くて、1万円程度が相場とみてよかろうと思います。田黄石ではなくても、それに並んで高く評価される似たような石も多いのです。

もう一つは「専用の木箱に入った」赤い印面に彫がある対章であります。
ぱっと見は、古いもののように見えますが、使っている板は「合板」ですし、留め具はここ数十年で普及したものです。上部に能書きらしき刻字があり、印面もしっかり多文字が刻まれております。手慣れた彫に見えますが「側款・作者名」も無いのでほとんど価値は認められません。ワタシがこの石に興味を持ったのは、赤い半透明な石で微妙な斑紋が流れていることでした。手に取って簡単にサンドペーパーでこすり印刀を充ててみたところ、とても柔らかい「滑石」に近いもののようです。この手の石はいくら磨いても、傷つきやすく白っぽくなって表面に艶が出ないのです。

数冊の印材・石の専門書をみてもこういう感じの石は皆無でした。自然石ではありますが、篆刻に使われる「ヨウロウ石」の範疇から外れた「新材」なのかもしれませんね。柔らかく細工がしやすい石のようなので、いずれ上下を潰して何かを彫ってみようと思います。

実は昨夜も、懲りずに同じ出品者から出ている未刻印を5件落札しました。「封門・青田藍星・老性芙蓉・天青石・善伯」などという本当は珍しい高級印材の名前をうたい文句にした石たちですが、実際のところあてにはなりません。計7本であわせて1万円ちょっとなので、まがい物に近くても腹は立ちません。

本当は、本題は、篆刻の祖と言われる「文彭」さんの篆刻印を解説するつもりでしたが、ワクチンのせいで体調が今一であります。また後日にさせていただきましょう。

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