まつお文庫からのご案内

仙台市若林区中倉3-16-8にある家庭文庫です。水・土の3時~6時(第2土は休み)どなたでも利用できます(無料)。

新しく買った本 Ⅱ

2021-05-09 22:19:27 | 文庫のページ
新しく買った本 その2
③『したきりすずめ』 石井桃子 再話  赤羽末吉 画 福音館書店1982
 語り継がれてきた「したきりすずめ」の話に、牛洗いどんや馬洗いどんが登場することを知ったのは、石川県江沼郡の昔話をもとに再話した松谷みよ子さんの『したきりすずめ』(ポプラ社1968)を読んだ時です。牛洗いどんや馬洗いどんとの問答も楽しく、牛や馬の洗い汁を7桶も飲んでやっと雀のお宿に着くというところも興味深いと思いました。
 石井さんの『したきりすずめ』では、この場面が牛や馬をきれいに洗うとなっています。どこの昔話をもとにしているのか、ずっと気になっていたのですが、今回、赤羽さんの絵本を調べていて、この絵本を編集なさった方の文章に出会い、納得しました。この方の推察では、石井さんは汚れ水や、牛や馬の小便を飲むというイメージを子どもに与えたくなかったのではないかということでした。
 赤羽さんはこの絵本では何種類かの和紙を効果的に使っています。見返しにはもえぎ色、右側の絵のページにはベージュ色の和紙、左側の文字のページには茶色の地模様の入った和紙というように、場面によって和紙の色を変えています。すずめのお宿は白地に墨で描き、他の場面は丹緑本(墨摺りの版本に簡単な彩色をしたもの)の形式で描いています。凝った作りになっています。
④『絵本よもやま話』赤羽末吉 偕成社1979
 赤羽さんの最初のエッセイ集です。絵本作家になったいきさつなど、興味深い話がいっぱいです。「絵本作りの画室から」では自作の絵本、15冊を取りあげ、絵本ができるまでのこと、絵本に込めた思いなど、詳しく語られています。
⑤新装版『私の絵本ろん 中高生のための絵本入門』 赤羽末吉 平凡社ライブラリー2020
 1983年に偕成社から出版されたエッセイ集です。その後2005年に平凡社から出版され、昨年、新装版が出ました。1980年に日本人で初めて国際アンデルセン賞画家賞を受賞した時の受賞挨拶も載っています。「絵本ができるまで(画室から)」ではさらに12冊の絵本が取りあげられています。子どもの本に対する赤羽さんの造詣の深さを知ることのできるエッセイ集です。。
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新しく買った本 5月

2021-05-09 18:34:34 | 文庫のページ
新しく買った本 Ⅰ
*3月のレンゲの会で赤羽末吉さんを取りあげたので、文庫には赤羽さんの昔話絵本が17冊ぐらいあるのですが、新しく3冊購入しました。
①『さるとかに』 神沢利子 文  赤羽末吉 絵 BL出版 2017
 最初に出版されたのは1968年(講談社)。その後絶版になり、1974年に銀河社から出版され、2017年にはBL出版から復刊になりました。
 インパクトのある表紙です。たくさんのカニにおそわれ、あわてて逃げ出すサルを動きのある線でダイナミックに描いています。裏表紙にまで続く絵は迫力があります。青い柿をカニに投げつける場面も、サルの顔めがけてクリが飛んできた場面も、見開き一杯に描かれるサルの姿も表情も動きがあり、愉快です。カニたちと一緒に仇討に向かうクリや牛のふんやうすが、両手を出して黍団子をもらう場面も愉快です。白い画面に色鮮やかに描かれるカニたちもインパクトがあります。
 当時、『スーホの白い馬』を、2年かけて仕上げた後だったので、解放されたい気持ちもあって、思い切り楽しい『さるとかに』を描こうと思ったと、赤羽さんは言っています。
 松居直さんが『絵本を読む』(日本エディタースクール出版部 1983)で、この絵本と、『かにむかし』(木下順二/清水崑 岩波書店)と『さるかに』(松谷みよ子/瀬川康男 講談社)の3冊を取りあげて、興味深い比較をしています。興味のある方はぜひ一読を。
②『ほしになったりゅうのきば』 
        蕭甘牛 採話  君島久子 再話  赤羽末吉 画 福音館書店 1976
 最初に出版になった『ほしになったりゅうのきば』(福音館書店 1963)は水墨画風の絵本で、赤羽さんの4作目の絵本です。初めての単行本でしたが、その後、描き直すことになります。「壮大華麗な大ロマンという設定で」「絵も密度の高い華麗なものにして」(『絵本よもやま話』赤羽末吉)描き直したのがこの絵本です。中国苗族の民話です。
 子どものいない老夫婦の願いが叶って授かった男の子、サンの壮大な冒険の物語です。南山に住む竜と北海に住む竜が争って、天が破れ、その裂け目から雨やひょうが降って人々を苦しめます。その天の裂け目を繕うためにどうすればいいか、サンは九十九の川を渡り、九十九の山を越えて、ライロン山に住む老人を訪ねます。老人は繕いが上手なクマ王の娘のことを教えてくれます。クマ王には3人の娘がいて、その娘たちとのやり取りが楽しいです。やっと3番目の娘が結婚を承諾し、繕ってくれることになりますが、サンの前にはまだ困難な仕事が残っています。どんな困難にも立ち向かっていくサンの勇気に感動をもらえます。
 横長の大型絵本の画面で描かれる赤羽さんの絵は、どのページも物語の持つ壮大さを見事に描き、素晴らしいです。表紙の竜の絵も迫力があります。子どもの空想力をかき立てるような壮大な物語を子どもたちにいっぱい見せたいという赤羽さんの思いが伝わる絵本です。
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5月・6月の文庫の日

2021-05-09 18:15:49 | 文庫のページ
○未定のところがありますが、近日中に決まります。
5月12日(水)
 4:00 おはなし「三びきのくま」 松尾
 4:30 おりがみ(三段組花ごま)
5月15日(土)
 4:00 おはなし「おんちょろちょろ」 松尾
 4:30 おりがみ(三段組花ごま)
5月19日(水)
 4:00 おはなし「三枚のお札」 武田
 4:30 紙テープのしおり
5月22日(土)
 4:00 おはなし「だんなもだんな大だんなさま」 松尾
 4:30 紙テープのしおり
5月26日(水)
 4:00 おはなし「ちいちゃいちいちゃい」 松尾
 4:30 おりがみ(ミニバッグ)
5月29日(土)
 4:00 おはなし「死人の恩返し」 武田
 4:30 おりがみ(ミニバッグ)
6月2日(水)
 4:00 おはなし「あるだんなさんとおかみさんの話」 松尾
 4:30 おりぞめ
6月5日(土)
 4:00 おはなし「アディニファスの英雄」 中村
 4:30 おりぞめ
6月9日(水)
 4:00 おはなし「いぬのびょうき」 笹森
 4:30 新聞紙のヨーヨー
6月12日(土)
 第2土曜日は文庫お休みです

お願い!! 文集「なかま」43号に原稿をお寄せください!
 3月の文庫だよりで、原稿の締め切りは4月28日とお知らせしましたが、1ヶ月伸ばして5月末にします。
 子どもは本のアンケートを、大人の方は「ひろば」に、どうぞ原稿をお寄せください。4月末におひとり「ひろば」の原稿を届けてくださった方がいて、うれしい思いをしました。今年も発行が遅れるとかもしれませんが、なんとか出したいと思っていますので、どうぞご協力ください。
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寄贈本 5月

2021-05-09 14:39:03 | 文庫のページ
寄贈本  ありがとうございます。
◆福島県の市塚加代子さんからいただきました。
 4月16日の朝、全然存じ上げていない方から小包が届き、驚きました。一昨年、文庫で講演していただいたスウさんの本が4冊も入っていました。ブログのおかげでしょうか。「まつお文庫にたどり着きました」という言葉が添えてありました。まつお文庫ならスウさんの本を読んでもらえるだろうと送って下さったのです。市塚さんの大事な本を寄贈していただき、有難く思いました。
 1978年から1983年に出版された本で、スウさんが「紅茶の時間」を始める前の30代の頃に出版した本です。4冊とも絶版になっている貴重な本です。若い頃のスウさんに出会えるすてきな本です。
①『想いのコンクジュース スゥのおたより絵本』 水野スウ 新宿 圭文社1978
②『やさしさのパッチワーク』 水野スウ 立風書房1979
③『ありがとうのパッチワーク』 水野スウ 立風書房1981
④『雪の手みやげ 金沢からの四季の手紙 水野スウ 立風書房1983
◆角田の堀米薫さんからいただきました。
①『青空モ―オー!』 堀米薫 学研プラス 2021.5
 夏休み、東京に住む小学4年の陸が、岩手の牧場で過ごす7日間の物語です。いとこの働く牧場で、牧場の娘、まりん(小学4年)と一緒に、初めて牛の世話をする陸の驚きと感動が伝わってきます。大自然の中で、牛たちと共に生きる人々の生活が陸の眼を通してさわやかに描かれ、生き物と向き合う人々の姿に感動できる物語です。
②『はくさいぼうやとねずみくん』 堀米薫/こがしわかおり 新日本出版社 2021.4
 堀米さんの2冊目の絵本です。畑で芽を出した白菜の坊やと小さなねずみの出会いと友情の物語です。小さなねずみくんの表情がいいです。おひさまや風など自然の営みに心震わすことや寒さに負けずに生き抜くことを、白菜坊やはねずみくんに教えてくれます。すてきなメッセージが伝わる絵本です。
◆なかがわちひろさんの新刊の本がのら書店より届きました。
『すてきなひとりぼっち』 なかがわちひろ のら書店 2021.5
 ひとりぼっちの一平のすてきな物語です。雨の日、学校から帰るとお母さんは留守。ひとりぼっちで涙が出そうになるが、がんばってお母さんを探しに行くことにします。落ち込んだり、喜んだり、ひとりぼっちの一平のつぶやきが楽しいです。夜明け前、たった一人、目覚めた一平が宇宙の神秘に触れ、「うん。このひとりぼっちは、きもちいい。」と思うところはすてきです。このコロナ禍で自由に人と会えない今、ちょっと元気をもらえる作品です。
 表紙のカバーに金箔が使われています。一平の蹴った石が星になって空に飛んでいきます。その星が本当に光っています。ちょっと豪華な作りです。
◆広野多珂子さんから新刊の絵本をいただきました。
『くだもの みいつけた』 ひろのたかこ こどものとも0.1.2 2021年6月号 福音館書店
 2005年に出た『はっぱのなかで みいつけた』(こどものとも0.1.2)は大きな葉っぱの中にかくれている野菜が何かをあてていく絵本でしたが、今回はその果物バージョンです。葉っぱのかげから次々に顔を出す果物はどれも子どもの大好きな果物ばかりです。特に最後のいちごの場面では子どもの喜ぶ声が聞こえてきそうです。すべて広野さんのお庭で育てている果物を取りあげています。まっ白な画面に細部まで丁寧に描かれた緑の葉っぱの美しさと、本物そっくりに描かれる果物の色の美しさに、大人も感動できます。
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大人のコーヒーサロンとレンゲの会 そしてお知らせ

2021-05-07 11:42:56 | 文庫のページ
《大人のコーヒーサロン》  5月12日(水)1:00~3:00(月1回 第2水曜日)
 4月はコロナの感染拡大で文庫もコーヒーサロンも開けませんでしたので、今年度最初のコーヒーサロンになります。ただ、まだまだコロナが収束しそうにありませんので、申し訳ありませんが、今回はコーヒー抜きで開きます。コーヒーサロンなのにコーヒー抜きは残念ですが、仕方ありません。お時間のある方はどうぞ元気なお顔を見せてください。お待ちしています。
  次回は 6月9日(水)です。

レンゲの会  5月31日(月)10:00~13:00
     月1回、子どもの本についておしゃべりしています。どなたでも参加できます。
     残念ですが、今年度も会食なしでおこないます。
  かつおきんやさんの作品を取りあげて
 江戸時代の終わりの頃、権力をふりかざす侍たちに対して、北陸の農民たちが命がけで闘った史実をもとに書かれた『天保の人びと』(1968)や『安政五年七月十一日』(1970)を取りあげます。
 『天保の人びと』は3部作です。『五箇山ぐらし』『雪の人くい谷』と続きます。『五箇山ぐらし』は今回、古本で購入しました。図書館が再開したら、『雪の人くい谷』を借りてきたいと思いますので、どうぞ手に取ってみてください。
 その他、文庫には『おばあさんのゾウ』『時をこえるロバの旅』『マレーシアの語り人』『ニーハオといわなかったころ』『緑の島はるかに 台湾少年工物語』もありますので、時間のある方は読んでみてください。
 次回は 6月28日(月)10:00の予定です。 絵本の読み聞かせの会です。好きな絵本をお持ちください。読み聞かせを楽しみたいと思います。

《お知らせ》
◆児童文学者の岡田淳さんのYouTubeができました。
  <つながろうアート> 岡田淳 「物語が生まれる部屋」15分 (2021.3.27)

インターネットで検索してみてください。
最初の作品が生まれたいきさつ、2作目の作品について、ファンタジーについてなど、興味深いお話が聞けます。岡田さんの作ったものでいっぱいのお部屋も魅力的です。
4月には「こそあどの森のおとなたちが子どもだったころ」という新刊が出ました。文庫で注文しましたので、楽しみにお待ちください。
◆5月12日~6月27日 仙台文学館で 星野道夫写真展「悠久の時を旅する」が開催されます。
 米アラスカ州を拠点に、極北の大自然や先住民の暮らしを丹念に写真とエッセーで発進した星野道夫さんの没後25周年の写真展です。
 5月3日から河北新報で「星野道夫のまなざし」(5回シリーズ)というタイトルで展示作品を紹介しています。
 月曜日と第4木曜日は休館  一般・大学生810円 高校生460円 小中学生230円
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新学期が始まって1ヶ月、元気にしていますか?

2021-05-07 11:15:30 | 文庫のページ
文庫は5月12日から始めます!
 新学期が始まって一か月、元気にしていますか?
■さわやかな5月の風と光の中で、木々の緑がまぶしいまでに目に飛び込んできます。気持ちがいいですね。仙台はケヤキが多いと改めて思います。卸町のケヤキ並木もいいですね。
■4月は、申し訳なかったのですが、あまりの感染拡大で文庫をお休みしてしまいました。
みなさん、お元気にしていましたか。新学期が始まって早くも一か月になります。新しいクラスで、新しい先生やお友だちにも慣れた頃でしょうか。コロナの感染拡大で、お友だちを誘って文庫に遊びに来るのがむずかしいと思いますが、本の好きなお友だちがいたら、どうぞ文庫のことを教えてあげてください。文庫は5月12日(水)から始めます。どうぞ遊びに来てください。
■連休中はどうしていましたか。お家で過ごすことが多かったかもしれませんが、お家の近くで散歩を楽しんだ人もいたでしょうか。タンポポはいたるところで見かけますね。冬の間も葉っぱを広げて太陽の光をいっぱい浴びて、花を咲かせる準備をしていました。
 今月は、まど・みちおさんの「タンポポ」の詩を選びました。動物たちもタンポポが大好きなのですね。まどさんには動物たちのおしゃべりが聞こえるようです。動物によってみんな呼び方が違って、愉快です。楽しい詩です。どうぞ声に出して、楽しんでください。
■文庫の庭は今、色さまざまな花が咲き乱れています。新しいベンチができました。どうぞ座って眺めてください。
 玄関わきのフジの花が咲き始めました。薄桃色のフジです。花房が毎日どんどん伸びて全部花を開くと、どのくらいの長さになるのだろうと今から楽しみです。今日は5月6日、もう2.3日したら満開になると思います。どうぞ見に来てください。
 文庫の部屋からは、ハナミズキの白がひときわ目立ちます。ただ私たちが花だと思っているところは、実は花の付け根の葉っぱだそうです。ボタンのピンク、今年やっと咲いたライラックの赤紫、モッコウバラの黄色、シャクナゲの白、オダマキの青紫、勿忘草の青、みんな微妙に色が違っていて、目を楽しませてくれます。文庫に来た時、どうぞ楽しんでください。
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今月の詩 5月

2021-05-07 10:41:22 | 文庫のページ
   タンポポ
          まど・みちお
 だれでも タンポポをすきです
 どうぶつたちも 大すきです
 でも どうぶつたちは
 タンポポの ことを
 タンポポとは いいません
 めいめい こう よんでいます

 イヌ    ・・・ ワンフォフォ
 ウシ    ・・・ ターモーモ
 ハト    ・・・ ポッポン
 カラス   ・・・ ターター
 デンデンムシ・・・ タンタンポ
 タニシ   ・・・ タンココ
 カエル   ・・・ ポポタ
 ナメクジ  ・・・ タヌーペ
 テントウムシ・・・ タンポンタン
 ヘビ    ・・・ タン
 チョウチョウ・・・ ポポポポ

   (『つけもののおもし』
        まど・みちお
         ポプラ社文庫)
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