まつお文庫からのご案内

仙台市若林区中倉3-16-8にある家庭文庫です。水・土の3時~6時(第2土は休み)どなたでも利用できます(無料)。

新しく買った本 ’20.4月

2020-04-29 18:29:33 | 文庫のページ
2020年度の文庫が開けない状態が続いています。早く開きたくて、おばさんは気がせいているのですが……。
せめて「新しく買った本」の紹介をすることにしましょう。
新しく買った本
今日は4冊の本の紹介をします。
①『「へてか へねかめ」おふろでね』 宮川ひろ/ましませつこ 童心社 2019.10
 祖父とお風呂を楽しむ男の子の物語。
 そうたの家では、お風呂からあがる時、「へてか へねかめ」を3回唱えてあがることになっています。これはおじいちゃんのお母さんからずっと続いてきたことでした。
 「へてか へねかめ」が何ページにもわたって唱えられる場面の絵は楽しく、思わず口に出してみたくなります。意味は不明ですが、リズムがあって、お風呂で唱えたら最高に盛りあがりそうです。
 30年以上前、宮川さんが近所に住んでいた方から教えてもらったお風呂での楽しい唱え言葉です。いつか形にしたいと思い、ましまさんのすてきな絵で絵本になりました。宮川さんの『おとうさんのつうしんぼ』にもこの唱え言葉が出ていたのを思い出します。
②『ずるやすみにかんぱい!』 宮川ひろ/小泉るみ子 童心社 2010
 今日は学校に行きたくないと思う、そんな子どもたちへの応援歌のような作品です。
 みんなにからかわれ、学校に行きたくない気持ちの雄介にお父さんはずる休みを提案します。楽しいことをいっぱいやって力をもらおうと、お父さんは言います。お父さんの親友の青おじさんのところに出かけ、普段できないことをいっぱい体験し、おしゃべりもいっぱいして、雄介の心はどんどん元気を取り戻していきます。
 すてきな大人たちが登場する物語です。
③改版『ちいさいおうち』 バージニア・リー・バートン 岩波書店 2019.11
 1909年生まれのバートンは、昨年生誕110年を迎えました。改版された『ちいさいおうち』には息子のアリスがあとがきを寄せています。また表紙に、これまでの日本語版にはなかった『HER-STORY」という文字が入りました。バートンは時の流れを「HIS-STORY」ではなく、「HER-STORY」と表現しています。中表紙の次のページの、ひな菊の花で縁取られた円の中にあった夫への献辞も再現されています。さらに絵の色を細部まで見直し、原画や原書の初版の色あざやかさを再現したといいます。これまでのものと比べるとその違いに気づきます。緑やオレンジ、白や黄色など、どの色もくっきりあざやかに目に飛び込んできます。星のまたたく夜空の明るい群青の色も印象的です。今まで以上に絵に深みと奥行きを感じます。
 表紙とカバーの絵が違うことにも、今回初めて気づくことができました。
④『明日をさがす旅 故郷を追われた子どもたち』 アラン・グラッツ さくまゆみこ訳 福音館書店 2019.11
 さまざまな事情で難民として生きなければならなくなった3人の子どもたちの苛酷な運命の物語です。
 1939年、ナチスのユダヤ人迫害を逃れるため、家族とセントルイス号でキューバに向かうドイツの13歳の少年ヨーゼフ。
 1994年、食糧難の続くキューバからアメリカをめざして家族とボートで脱出する11歳の少女イサベル。
 2015年、内戦で住む家を失い、家族とドイツをめざすシリアの12歳の少年マフムード。
 3人は、それぞれに容赦なく襲いかかる困難と向き合い、大切な家族の一人との突然の別れに戸惑いながらも、のこされた家族と自分を守るため、どう生きるか模索していく姿が心に残ります。物語が進むにつれ、接点のないはずの3人の物語が時を超えて交差していく展開に、驚きと感動がもらえます。ヨーゼフの物語が、後の時代を生きるイサベルやマフムードの人生にどうかかわっていくのか、とても興味深いです。
 知らない地名もたくさん出てきますが、3人のたどった旅の足跡を知ることのできる地図も最後に載っています。作者のあとがきには3人の置かれた国の状況がさらに詳しく語られています。難民の問題は今まさに世界の大きな課題だと気づかされます。
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新しく買った本 4月

2020-04-15 23:45:52 | 文庫のページ
新しく買った本
①『わたしのちいさないもうと』 みうらとも 岩波書店 2019.11
 もしも妹がいたらどんなに楽しいだろうと、豊かな想像を膨らませていく女の子の物語です。
 まっ白な画面がまぶしいくらい印象的です。その白を背景に、黒のワンピースを身につけた女の子とたくさんの妹たちが、画面を縦横無尽に動き回り、楽しそうです。白と黒のコントラストが美しい絵本です。
 自分には妹がいないという現実に心がしぼんでいくのですが、一つだけ、うれしいことがあることに気づき、女の子はまた笑顔になります。
 2016年のボローニャ国際原画展で入選したみうらさんの初めての絵本です。海外で、フランス語で出版され、昨年、日本でも出版になりました。
②『図書館のふしぎな時間』 福本友美子/たしろちさと 玉川大学出版部 2019.10
 上野にある国際子ども図書館を舞台にした物語です。
 「すこしはものしり」という妖精に案内されて、図書館内を探検する女の子が登場します。
 お母さんが調べ物をしている間、一階の「子どものへや」で本を読んでいるゆりかの前に現れたのは、500年以上も前にイギリスで出版された本に住んでいるという妖精です。ふだん入ることのできないこの図書館の書庫にある、その本を見せてくれます。明治時代からの古い子どもの本が集められている「児童書ギャラリー」や、展示会の会場になる「本のミュージアム」の部屋も案内してくれます。読者はゆりかと一緒に、100年以上も前に建てられた旧帝国図書館の建物を利用してできた国際子ども図書館の、重厚な趣のある内部を興味深く味わうことができます。
 この妖精が登場する本は、1868年に実際にイギリスで出版され、今は、この図書館の蔵書になっています。時を超え、国をこえ、集められた本を所蔵する、知の宝庫としての図書館への熱い思いが絵からもお話からも伝わるすてきな絵本です。
③『ハンカチともだち』 なかがわちひろ アリス館 2019.11
 すてきなハンカチを持ったふたりの女の子の物語。
 学校で友だちから「ハンカチ、貸して!」といわれるたび、今日のはるちゃんは困ってしまいます。実は、はるちゃんのハンカチには小人がいて、今、ベッドから起きて、歩き出したところです。とても友だちに貸してあげることはできません。そんなはるちゃんを助けてくれたのは、誰ともおしゃべりをしないミヨンちゃんです。実はミヨンちゃんもイグアナのついたすてきなハンカチを持っていました。偶然言葉をかわすことになったふたりはハンカチの中の小人とイグアナのおかげで仲良しになります。
 さし絵が多く、絵が豊かに物語を語ってくれます。はるちゃんにはピンクを使って、ミヨンちゃんはミントグリーンを使って描いています。ほんのちょっとした色づけですが、とてもセンスのよさを感じます。その2色で描かれた表紙と裏表紙も凝った作りになっています。ひとり読みを始めた子どもたちに手渡してあげたい本です。
『文字のない絵本』 宮川ひろ/永田治子 ポプラ社 2003.10
 子どもの頃の話を語る祖母と孫娘との交流を描いた物語です。
 子どもの頃、絵本は一冊もなかったけれど、自然という大きな字のない絵本を読んできたという祖母が話してくれたこと。
 2年生になる春休みに、兄と一緒に麦ふみをした時、かげろうを見ながら兄が話してくれた。「春になるとおらたちだってうれしい。土だって同じ。うれしくて土の心が燃えている。それがかげろうだ。その燃え立つことを『希望』という」。
 この話は宮川ひろさんの子どものときの体験です。お兄さんは23歳で戦死。エッセイ『母からゆずられた前かけ』に詳しく出てきます。現代の民話として書かれた『つばきじぞう』にも同じ場面が出てきます。宮川さんにとっては生涯、忘れることのできないお兄さんとの大切な思い出だったのだろうと思います。
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レンゲの会 5月

2020-04-12 23:46:40 | 文庫のページ
月一回子どもの本についておしゃべりしています。
    レンゲの会  5月25日(月)10:00~13:00(予定)

好きな絵本をお持ちください。よみきかせを楽しみたいと思います。
2020年度のレンゲの会で取り上げる作家・作品についても話し合います。
 *今回も会食なしで、13:00で終わりにしたいと思います。
 *開催できるかどうかは、5月の文庫だよりで再度ご連絡します。

 *次回は6月29日(月)10:00
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寄贈本 ’20.4月

2020-04-12 23:34:36 | 文庫のページ
寄贈本 ありがとうございます。
内田麟太郎さんからいただきました。
『へんかしら そうかしら』 内田麟太郎/高部晴市 すずき出版 2020.2 
 愉快なことば遊びの絵本です。絵と言葉が絶妙に響き合い、ページを開くたび、読者の想像をはるかに超える世界があらわれて、びっくりさせられます。どのページも見事ですが、「ほしうお」、「とびうお」、「すずめばち」、「かがみもち」のページは、最高に愉快です。内田さんの「へんかしら そうかしら」という、とぼけた声が聞こえてきそうです。ほしうおが夜空を飛んだり、見事なタイが縄跳びをしたり、すずめが楽しそうに小太鼓をたたいていたり…。高部さんの絵も素晴らしいので、絵をじっくり見て楽しんでください。たびたび登場する猫も愉快です。
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かつおきんやさんを悼んで

2020-04-12 18:55:55 | 文庫のページ
児童文学者のかつおきんやさんが4月4日、92歳でお亡くなりになりました。  
   
心よりお悔やみ申し上げます。

 昨年、9月にお招きした石川県津幡町にお住いの水野スウさんに教えていただきました。
かつおきんやさんは金沢市出身の児童文学者。中学校の教師を経て、愛知県立大学、梅花女子大学の教授を歴任し、新美南吉の研究でも知られています。1972年から自宅で奥様と一緒に「笠舞若竹文庫」を開いています。スウさんのなさっている「紅茶の時間」を、いつも奥様と一緒に応援して下さっていたそうです。
 かつおさんの作品『安政五年七月十一日』(1970)(偕成社1982)の偕成社版に、スウさんが解説を書いていらっしゃいます。スウさんにとっても、金沢の人々にとっても、とても大きな存在の方だったと知りました。
 文庫には、『天保の人びと』(1968)(アリス館1976)、『おばあさんのゾウ』(リプリオ出版1984)、『時をこえるロバの旅』(大日本図書1992)、『子どもの国からの贈りもの ―かつおきんやと読む児童文学の世界ー』(民衆社1992)の4冊があります。
 文庫を始めた頃、『天保の人びと』を読んで、とても感銘を受けたのを覚えています。今回、40年ぶりに読み返しました。物語の最初に「これは、権力をふりかざすさむらいたちに対して、みんなで力をあわせてたたかいぬいた、江戸時代の終わりごろの北陸の農民たちの物語である」とあります。天保9年に加賀藩で実際に起こった話を、かつおさんが長い時間をかけて丹念に調べ、書き上げた作品です。苛酷な暮らしを強いられる農民たちと、情け容赦ない権力を握る人々の姿がリアルに描き出されています。
 50年前の作品ですが、今の子どもたち(中高生)にも手渡したい、貴重な作品だと思いました。同じように、農民たちの闘いを描いた、後藤竜二さんの『白赤だすきこ〇の旗風』を思い出しました。
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お願いとお知らせ

2020-04-10 22:21:09 | 文庫のページ
お願い!! 文集「なかま」42号に原稿をお寄せください!
 3月、ほとんど子どもたちが来ていないので、子どもたちにお願いができていません。
 原稿が集まるかどうか、心配ですが、
 時期が遅れても発行したいと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
 FAXで送ってください。022-231-2712 です。

《子どもたちへ》 〆切は5月13日(水)
①おもしろかった本を5冊あげてください。
②その中でぜひお友だちにすすめたい本を紹介してください。
③おはなし会で聞いたお話で、おもしろかったお話・好きなお話をあげてください。
④おばさんへ―――文庫で楽しいことを教えてください。
  ※※アンケート用紙を持っていない人は、他の紙に書いてもかまいません。

《大人の方へ》 〆切は5月末
 時間だけはいっぱいあっても、なかなか書く気持ちが起こらないかもしれませんが、「ひろば――お母さんたちのページ――」に原稿をお寄せいただけたらうれしいです。
 長さは自由です。子どものこと、文庫のこと、本のこと、何でもかまいません。よろしくお願いします。

お知らせ 大人のコーヒーサロン
    5月13日(水)1:00~3:00(月1回 第2水曜日)

5月13日(水)に文庫が再開できるときには、1時から開いていますので、どうぞおいでください。
久しぶりにおしゃべりできたらと思っています。コーヒーを用意してお待ちしています。
  次回は6月10日(水)です。
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5月の文庫の日(予定)

2020-04-10 22:12:05 | 文庫のページ
5月13日
 4:00 おはなし「三びきのくま」 松尾
 4:30 おりぞめ
5月16日(土)
 4:00 おはなし「おいしいおかゆ」 松尾
 4:30 おりぞめ
5月20日(水)
 4:00 おはなし「おんちょろちょろ」 松尾
 4:30 おりがみ(トトロ)
5月23日(土)
 4:00 おはなし「三びきのこぶた」 松尾
 4:30 おりがみ(トトロ)
5月27日(水)
 4:00 おはなし「マメ子と魔物」 松尾
 4:30 おりがみ(三段組みの花ごま)
5月30日(土)
 4:00 おはなし「ヤギとライオン」 松尾
 4:30 こまであそぼう!

 5月13日(水)から文庫を始めたいと思っていますが、1か月後、どんな状況になっているか、もっと厳しい状況になっているかもしれませんので、その時はまたお知らせします。早く収束するよう、ただ、ただ祈るばかりです。
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文庫をお休みします!

2020-04-10 21:54:01 | 文庫のページ
4月15日(水)~5月9日(土)まで
    文庫をお休みします!

 みんなどうしていますか。元気にしていますか。
 3月の文庫だよりでは、4月15日から文庫を始めるとお知らせしたのですが、5月の連休明けまでお休みすることにします。
 仙台でも新型コロナウイルスの感染者が毎日増えています。いつどこでだれが感染するか、だれにもわかりません。学校も公共図書館も休みになり、本を読みたくても手に入らない人もいるかもしれません。せめて文庫だけでもあけておきたいのですが、3月とは状況がずいぶん違いますので、お休みすることにしました。
 3月の一斉休校では、今、文庫に来ている子どもだけでも来てくれたらと思い、文庫を開けたのですが、子どもの利用は少なく、ふだん来ている子どもも来るのが難しかったようです。大人の利用はいつも通りで、本もたくさん借りられました。
 3月の利用状況は下の通りです。来てくださった方には本当に感謝しています。
【3月利用状況】
4日(水) 子ども2人 中学生1人 大人5人 貸出冊数10冊
7日(土) 子ども2人       大人4人 貸出冊数4冊
11日(水)子ども4人 中学生1人 大人7人 貸出冊数36冊
18日(水)子ども2人       大人4人 貸出冊数21冊
21日(土)子ども1人       大人4人 貸出冊数12冊
25日(水)子ども4人 中学生1人 大人7人 貸出冊数48冊
   ※※※16日(月)のレンゲの会にも8人参加、貸出冊数は14冊
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今月の詩 ’20.4

2020-04-10 21:39:23 | 文庫のページ
     かぜにのせて
             あげはゆりこ
 はなの そばで
 ひらひら はばたくと
 ちいさな かぜが うまれます

 ちいさな かぜにのせて
 はなのかおりを
 そらにとどけます

 するとそらに
 はなのかおりが しみこんで
   ・・・・・・・
 ほら しんこきゅうしてごらん
 せかいは
 「はる」でいっぱいです
       (『のはらうたⅤ』工藤直子 童話屋)

今月は、工藤直子さんの「のはらうた」からあげはゆりこさんの詩を選びました。
ーせかいは「はる」でいっぱいですー 本当にそうですね。たんぽぽもチューリップも咲いて、春爛漫です。外に出て、春を満喫したいところですが、今年は新型コロナウイルスの感染予防で、できるだけ出かけず、家で過ごすことが多く、つらいですね。
 でもちょっと窓を開けて、大きく深呼吸してみましょう。少し元気が出るかもしれません。
 あげはゆりこさんの詩を、どうぞ楽しんでください。
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